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女「人間やめたったwwwww」1/10


女「人間やめたったwwwww」



1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 20:40:19.40 ID:nbU0t01Go
「俺、未来から来たって言ったら、笑う?」は時をかける少女だったか。
見てないけど。
一瞬、黙りはするだろう。
直後、ご冗談を、と笑うと思う。
そこで初めて笑う。
ハハハ、こやつめ。

で、僕は今、笑われようとしている。
二学期の初日の朝。
教室は昨日の通り魔事件の話題で持ちきりだ。
そんな中、僕は夏休み最後の日に仕入れたネタを引っ提げて登校し、後ろの席の女友達に披露しようとしている。
体をねじって声をかけると、「はよーん」と
出来損ないの「おはよう」が返ってきた。



元スレ
女「人間やめたったwwwww」
SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServise掲示板
2スレ目
女「人間やめたったwwwww」2 1/2






2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 20:41:56.84 ID:nbU0t01Go
「俺、吸血鬼見たって言ったら、笑う?」

「ハハハ、こやつめ」

期待を裏切らない奴。
大口を開けて笑うものだから八重歯が丸見えだ。
ひとしきり笑った後、ちろっと唇を舐めるのが妙にコケティッシュでそそる。
僕は彼女のその仕草が気に入っているが、一瞬のことなので見逃すまいと見つめてしまう。



3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 20:44:10.83 ID:nbU0t01Go

「えっ、なに。海苔ついてるとか?」

彼女は落ち着きなく口元を覆う。
手の平を包帯でぐるぐる巻きにしていることに、初めて気がついた。
大げさに心配してはいけない気がした。

「うん」

彼女はトイレに走り、すぐ帰ってきた。
鏡でも見てきたのか。

「ついてないじゃん。腹立つー」

「ハハハ、こやつめ」

「引っかかった引っかかった」とばかりに指さして笑ってやる。

(視姦バレ回避……)
ターゲットには気取られないように。
不快感を抱かせないのが、紳士の嗜み。


5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 20:52:16.87 ID:nbU0t01Go
「ファック。まじファック」

「ははは。怒るな怒るな」

「怒るわ。償え。乙女心をもてあそんだ罪」

手を机の上に出している。
これで触れない方が、かえって不自然だろう。

「お前、その手どうしたんよ」

彼女は露骨に嫌そうな顔をした。

「あー、これね」

荒くため息をついて、「ちょっと」と僕の耳に口を寄せる。
息がくすぐったい。

(これはおいしいな)

僕は瞬時に、全神経を耳に集中させた。
日常のエロスは拾えるだけ拾う。
それが俺の流儀だ。

彼女が短く囁く。

「ぼうぎょそう」

(ぼうぎょ……そう?)

聞き慣れない言葉を頭で繰り返しているうちに、彼女は離れていた。


7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 20:53:35.86 ID:nbU0t01Go
「つっこんだ話は放課後にしよ。まだ頭が整理できてないんだ」

「お、おう……」

「さ、それはそれとしてさ」

「うんうん」

「償え。乙女心をもてあそんだ罪」

「まだ言ってんのかよ」

「当たり前だ。根に持ってやる」

彼女はいつもどおり笑えないことを笑って言う。


8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 20:54:42.01 ID:nbU0t01Go
「実際、不便だしね」

と、お手上げをする。
そりゃそうだろう。

「だから、お世話して」

「お世話?」

「お世話」

「下の?」

「ファック」

「ノート取ったり?」

「うんうん」

「食べ物を口に運んだり?」

「うー……ん?」

「ははは。遠慮すんなよ。なんなら性欲処r」

「サノバビッチ!」



9 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 20:56:05.81 ID:nbU0t01Go
「お前、ここがスラム街なら今朝だけで3回は死んでるぞ……」

「ここは日本ですしおすし」

「お寿司……」

「カリフォルニアロール。エビフライ巻き巻きー」

「あれは認めんぞ。あれは寿司じゃなくてSUSHIだ」

「えー。頭かたい男はきらーい」

なんだかんだ言って会話だけは平常運転だ。
少しは安心していいのかもしれない。
おちょくるのはこのへんにして、放課後じっくり聞いてやろうじゃないか。


10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:04:16.73 ID:nbU0t01Go
―――――放課後・中庭―――――

「昨日のさ、通り魔」

「いきなり核心をついてきたな」

「つっこんだ話するために放課後まで引っ張ったんでしょ」

「教室じゃ憚られるような話なんだな?」

「うん」

彼女は相槌を打つと、少しの間何かを思い出して不快そうにしていた。

「私ね、現場にいた」

「そうか」

見当はついていたけど、大勢には知られたくないだろう。



11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:05:34.68 ID:nbU0t01Go
「普通に歩いてたら、なんか向こうで悲鳴があがってんの」

「うん」

「何が起こってるかもわからなくて、逃げた方がよさそうだなって思ったときには」

(聞きたくない。こいつが痛い話はいやだ)

「犯人……だったんだろうなぁ。このとおりだよ」

と、僕に手の平を向けた。



12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:07:29.80 ID:nbU0t01Go

「防御創。抵抗したらできるんだってさ」

「だってさ?」

「それがよく覚えてないんだよね。気がついたらピーポーに運ばれてた」

「犯人、自殺したんだよな」

「らしいね。だから私の勝ちだ」

彼女はそう吐き捨てた。



13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:09:38.68 ID:nbU0t01Go

「この手のうんこ野郎は、たくさん殺して死刑になりたがってるか、道連れにして死にたがってるんだ」

「でもお前は生きてると」

「うん。犯人ざまあwwww」

目が笑ってなかった。
何か言うべきだと思ったけど、言葉が出てこないので、彼女の手をとった。
包帯に血が滲み始めていた。

「あ、消毒行かなきゃ」

彼女は最寄りの病院がある方角に目を遣った。

「大丈夫か、一人で」

ハナから一人で行かせる気なんてない。

「うん」

「でも」

どこか違和感があった。
ヘヴィーな話の後で、僕が取り残されたくなかっただけかもしれない。



14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:11:08.73 ID:nbU0t01Go

「迷惑だろうがついてくぞ。お世話するんだからな」

「うわ。頼まなきゃよかった」

「もう遅いわ。それに、その手」

「う」

鞄の取っ手にかけた指を解く。

「持っててやるよ。今は少しでも楽しとけ」

彼女は少し迷って、小さく礼を言うと歩きだした。



15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:13:35.88 ID:nbU0t01Go

―――――病院・待合―――――

「早かったな」

「消毒だけだもーん」

「一日経っても血が出てるってことは、相当深いのか」

「わかんない。縫合されてるの、グロいから見たくないし」

「自分の怪我の程度も知らんのか……」

「傷口とか血とか、見た瞬間に痛くなるじゃん」

「しんどいときに、熱測って熱があったら余計しんどくなるようなもんか」

「それそれ」

「リハビリとかするの?」

「たぶん大丈夫。指は動くし。今動かすと皮がつっぱって痛いけどね」

「そうか」



16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:15:51.21 ID:nbU0t01Go

彼女の名前が呼ばれ、立ち上がった。

「小銭出しにくい……」

「あー、貸してみ」

受付で支払いをして薬を受け取る。
痛み止めと抗生物質、解熱剤。
休んだ方が良かったんじゃないか?

「早く元気になるー」

病院を出たところで、彼女は伸びをする。

「うんうん。焦らないでいいんだよ」

(行動を共にする口実になるしな)

「あなたの優しさが神田川!」

「空元気出すなよ。熱出るぞ……っとと」

急に動いたせいか、彼女は足をもつれさせてよろけた。
転ばないように、とっさに支える。
体が熱かった。



17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:17:28.58 ID:nbU0t01Go

「うーん……時すでにおすし……」

腕の中で言うなら、もうちょっとシリアスに願いたい。

「寿司から離れようぜ」

「ねむいお腹すいた痛いだるい」

「家までがんばれ」

「私……家帰ったら、出前取るんだ……」

「何のフラグだよ」

うなりながら彼女は体勢を直して歩きだした。
「行こ」とかそういう合図はないのだ。



18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:18:56.35 ID:nbU0t01Go

―――――帰り道・公園―――――

「一緒にどうだい?」

公園に入ったところで、急に言われた。

「なにをだよ」

「なにってごはんだけど」

「ああ」

「手が使いにくいから、ちょっとずつじゃないと食べれなくてすぐお腹すくの」

「なるほど」



19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:20:40.25 ID:nbU0t01Go

人の少ない公園。
ボール遊び禁止なのに、小学生がキャッチボールをしている。

彼女は数歩進んで振り返ると、固まった。
視線が僕をすり抜けている。
僕も後ろを見る。

「あの人……」

指さしたりしなくてもわかる。
視線の先には、公園のベンチには不釣り合いなド派手なおねーちゃんが座っていた。

真っ赤なスリップドレスに黒の羽織物。
たっぷりとした金の巻き毛。
サングラス。

ええと、どこウッドから来日されたので?



20 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:22:05.82 ID:nbU0t01Go

「知り合い?」

「見られてる」

「グラサン越しだぞ。気のせいだろ」

「そうかなぁ」

「そうですとも」

「そうかニャーン」

「ほら行くぞ。じろじろ見たら失礼だろ」

腕をゆるく掴んで引く。
彼女はまだ女の人を気にしている。



21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:23:22.29 ID:nbU0t01Go

「ベガスにいそうな人だったね」

「エスコートサービスってやつか」

「欲望渦巻いてる系?」

「裏社会系?」

「仕事仲間の本名を聞くのは野暮系?」

「余計俺らとは関係ないと思うぞ……」

「そうかなぁ」

「そんなに気にするほどのことか?」

「うん。だってあれ、変装だよ」

「まあ不自然ではあるけどさ」

彼女はブツブツ言いながら歩き続ける。



22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:24:41.92 ID:nbU0t01Go

さっきのキャッチボール少年のどちらかが叫んでいる。

「きゃっ!」

彼女がとっさに両手を出して顔をかばう。

破裂音。

ゴムの焦げるようなにおい。

「大丈夫か?」

「あ、あれ?……ボールは?」

彼女にぶつかったんじゃなかったのか?

「ごめんなさい!」

「おねーさん大丈夫?」

「え? ああ、そうみたい」

「ボールどこいったんだろ?」


24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:25:51.91 ID:nbU0t01Go


「――これ」と、もう一人の男子が何か拾った。

白い、分厚いゴム片だった。

「爆発しちゃったのか」

「古いボールだったしなー」

ひとしきり不思議そうにして、謝ると彼らはどこかに行ってしまった。

「今のは……」

「あ、あたし――」

「大丈夫か?怪我は?」

「あたし、あたし――」

彼女の視線がふらふらする。
熱か、動揺か。

「早く帰ろう。今日は美味いもん食べて寝ろ」

彼女は泣きそうな顔でうなずいた。


25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:28:06.21 ID:nbU0t01Go
―――――女の家―――――

「あー、うー。出前とってー。電話してー」

具合は良くなさそうだが、気分は落ち着いたらしい。
少なくとも食欲はあるようだ。

「ほんとに出前取るんか。リッチだな」

「ごはん作ったら包帯ドロドロになるんだもーん」

「それはそうですけどー」

「さあ、お世話してくれい。たとえば代わりに出前をとるとか」

「もっとエロい方向で頼む」

「おまわりさんこの人です」


26 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:29:00.38 ID:nbU0t01Go


電話のそばにある、寿司屋のメニューを取る。

「おごり?」

「自費ですとも」

「俺、甲斐甲斐しいな」



27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:30:19.18 ID:nbU0t01Go

―――寿司到着―――

「寿司キター」

「寿司キター」

「うめえwwwwwww」

「…………」

「どうした」

テーブルに向かいに座る彼女の、箸を持つ手がぎこちない。
力が入らないらしい。

「うーん、つまみにくい……」

その様を僕は黙って見つめる。



28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:31:35.06 ID:nbU0t01Go

「……あ」

「目が合ったな」

「チッ」

「俺の出番がきたようじゃないか」

「認めたくねえー」

彼女は不服そうに寿司の入った容器と、醤油の小皿をスライドさせて、僕の隣に座った。
テーブルに額を付けて、しばらくうなだれていた。

「情けない……」

「元気出せよ」

彼女は長いため息をついた。
重そうに頭を上げて、僕に向き直る。
目元に力がない。



29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:32:30.47 ID:nbU0t01Go

「みんなには内緒だよ」

「相当参ってるな」

「今のうちだけど?」

つーん、とあごを上げて言う。

「何が?」

「食べさせたがってたじゃん」

「求められたい」

「言わせるか」

「言われたい」



30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:33:24.54 ID:nbU0t01Go

「……」

「さあ!レッツ!」

「…………じゃあ、食べさせて」

「よしきたああああああああ」

「ヘンタイだ。ヘンタイが喜んでる」

「さあ、おぢさんに口を開けてみなさい」

「おぢさんて。どんなシチュだよ」

「さて、君が食べたいのはこのお寿司かい?それとも俺の恵方まk」

「寿司にしてくれ」

「恵方m」

「寿司にしてくれ」

「最後まで言わせろよ」

「寿司にしてくれ」



31 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:35:06.17 ID:nbU0t01Go

「ちぇー。ほら、よく噛んで食え」

「ん」

彼女は目を伏せて口を開けた。
僕は彼女が口に入れる様を、息を止めて見ている。

「美味いか」

彼女は咀嚼しながらうなずく。

(何かに目覚めてしまいそうだ)

「ほら、次」

「ん」



32 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:37:30.36 ID:nbU0t01Go
―――完食―――

「ふー。お腹いっぱい」

しばらくおかずには困りません。
僕は満足していた。

「眠そうだな」

「そんなことはない」

処方された薬をシートから押し出して、渡してやる。

「昨日から寝てないんだろ」

彼女はそれを一気に飲む。



33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:38:24.03 ID:nbU0t01Go

「……夢に」

「出るのか」

「もっとひどい夢。お腹を刺されて、深く切られる」

彼女は腹に手をやる。

「傷から、腸みたいなのが、ずるんって」

食後すぐにはきつい。

「あいつが他の人を襲いに走った隙に、這って建物の間に逃げて……。
死ぬのかなって絶望して、そこでおしまい」

「そりゃ寝れんわ……」



34 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:39:04.39 ID:nbU0t01Go

「……夢に」

「出るのか」

「もっとひどい夢。お腹を刺されて、深く切られる」

彼女は腹に手をやる。

「傷から、腸みたいなのが、ずるんって」

食後すぐにはきつい。

「あいつが他の人を襲いに走った隙に、這って建物の間に逃げて……。
死ぬのかなって絶望して、そこでおしまい」

「そりゃ寝れんわ……」



35 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:40:04.44 ID:nbU0t01Go

「……夢に」

「出るのか」

「もっとひどい夢。お腹を刺されて、深く切られる」

彼女は腹に手をやる。

「傷から、腸みたいなのが、ずるんって」

食後すぐにはきつい。

「あいつが他の人を襲いに走った隙に、這って建物の間に逃げて……。
死ぬのかなって絶望して、そこでおしまい」

「そりゃ寝れんわ……」



36 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:41:29.19 ID:nbU0t01Go

「私、大丈夫かな……」

今度こそ彼女は泣いていた。
ここは抱きしめるところだと思ったので、そうした。

「ごめん、お腹いっぱいになったら、なんか安心してつい……」

彼女は勝利宣言していたけど、まだカタはついていない。
まだ事件は終わってない。

「……もう、大丈夫。今日はありがと」

彼女は僕から離れ、片方の頬を引きつらせた。
笑おうとして、うまくできないでいるみたいだった。

「ほんとに一人で大丈夫か」

「うん。そろそろ誰か帰ってくるし」

もう七時前だった。




37 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:42:21.79 ID:nbU0t01Go

―――――帰り道―――――

彼女の家から、僕の家はそう遠くない。
のんびり歩いても30~40分くらいだ。
僕はもう一時間くらい歩いている。
尾行されている。

何度か会社帰りの人に紛れてみたり、
変則的なルートを取ってみたが、諦める気配がない。
交番のすぐ近くで、止まってみることにした。



38 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:43:41.91 ID:nbU0t01Go

「俺に、何の用ですか」

振り返るのは怖かった。
僕のすぐ後ろで、コッ、と軽やかなヒールの音がする。
追跡者は女。

「君、意外と警戒心が強いのね」

「昨日、あんなことがあったばかりですから」

女はゆっくりと僕を追い越して、止まる。
僕は顔を伏せた。
なぜか、公園にいたあの派手な女を想像していた。

「私を見てもいいのよ。敵意はないもの」



39 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:44:30.09 ID:nbU0t01Go

ゆっくりと目を上げる。
僕の前に立つのは、娼婦じゃなかった。
OL風の、違う。
ダークグレーのスーツに、地味な化粧。
就活中の女子大生。

「それも、変装ですか?」

女は答えない。

「俺、昨日あなたを見てる」

「そう」



40 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:45:19.46 ID:nbU0t01Go

「事件現場の近く」

口から下を血塗れにして、よろめきながら路地へ入っていく女。

「血の印象が強すぎて、顔ははっきり見てなかったけど」

僕が吸血鬼だと思った女は、被害者の一人だったのか。

「あなたも襲われたんですね」

「ご名答」

女は満足そうだった。



41 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:46:18.12 ID:nbU0t01Go

「あの子に声をかけようと思ったんだけど……」

「俺がついてたから」

「それに、私を覚えてないみたいだった」

「あんなこと……忘れられるなら忘れた方がいいですよ」

「本当にそうかしら」

僕は苛立っていた。

「そうに決まってますよ!……大体、あなたはあいつの何なんですか!」



42 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:47:26.09 ID:nbU0t01Go

言い過ぎたと思った。
この人も悲惨な目に遭ったのに――

「そうねえ……」

女は少し考えているようだった。

「血を分けた姉妹みたいなものね」

「えっと、昔の友達か何かですか?」

「さあねえ。それじゃ」

女は過剰に蠱惑的な笑みを作ると、去っていった。



43 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:48:19.10 ID:nbU0t01Go

―――――自宅―――――

長い道のりだった。
一時間緊張しながらの徒歩はきつい。

彼女から、一言「ありがとう」とメールが入っていた。
あんなに眠そうにしていたのに、
僕が彼女の家を出てから二時間も経っていない。
やっぱりまともに眠れてないじゃないか。

彼女に電話する。



44 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:49:26.38 ID:nbU0t01Go

「……もしもし」

「あのさ、俺。今大丈夫?」

「うん」

「お前、寝れてないだろ」

「あー……」

「明日、現場に行こう」

「…………」

「犯人は死んだけどさ、お前はそれを聞いただけで、実感してない」

「…………」

「お前にとっての脅威は、まだ去ってない」

「…………」

「お前の事件は、解決してない。決着がついてない」

「そう……かも」

「犯人の亡霊に、思い切り唾吐いて罵倒して怒り狂って泣き叫んで、
それから改めて勝利宣言してやれ」

「はは……すっきりしそうね、それ」

「だろ」

「うん」

「じゃあ、また明日」

「うん。また明日」

僕は、自分の胸板で彼女の胸がつぶれる感覚で、三回抜いて寝た。




45 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:50:40.47 ID:nbU0t01Go

―――――翌日・事件現場―――――

現場は封鎖されていた。

「入れないね」

ほっとしているのか残念なのか、表情からは読みとれない。

「帰るか?」

「……あ、私、あそこ見ておきたい」

「襲われた通りか?」

「そこもだけど、路地のとこ」

「ああ、夢の」

「うん。はっきり見えるの」

「何かあるかも、と」

彼女はうなずく。



46 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:51:53.25 ID:nbU0t01Go

「でも封鎖されてるんだよね……」

「路地か。裏から回れるかも」

一本隣の通りに移動し、ビルの隙間をすり抜ける。
簡単なことだった。

「通りは立入禁止だから、今日はここだけにしような」

何気なく足元を見ると、黒いしみが広がっていた。
靴の裏を見る。赤褐色。
血痕だ。

「おい、これ――」



47 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:52:55.06 ID:nbU0t01Go

言い切らないうちに、腕に痛みが走った。
切りつけたような、細い傷。

逃げたいが、足がすくんで動かない。
膝が震える。

「逃げ――がぁッ!」

見えない手に頭を掴まれ、壁に打ちつけられる。
痛い。怖い。
あいつは――あいつは大丈夫か。
手足に切り傷が増えていく。



48 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:55:18.23 ID:nbU0t01Go

そうか。
犯人は、切り足りなくて刺し足りなくて殺し足りなくて、
死んでかまいたちになったのか。

彼女が僕の惨状に気付く。

「にげろ」

悲鳴を上げる彼女。
僕には相手が見えない。
僕が狂って派手に自傷しているように見えているのかもしれない。

「にげろよ」

声になっているかわからない。
それでも口を動かすことはやめられなかった。


49 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:56:44.07 ID:nbU0t01Go

「はなせ――」

彼女の口が、そう動いたように見えた。

「その人を放せッ!」

そう聞こえた。
彼女が僕に駆け寄り、一瞬、楽になる。



50 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:57:32.18 ID:nbU0t01Go

「離れろッ!」

壁を殴ったのか――?
違う。
ちょうど人の頭くらいの大きさの見えないボールが、彼女の手と壁の間にある。

「おまえかッ!」

彼女はそのまま、何度も見えないボールを壁に叩きつける。

「おまえが!私を!殺したのか!!」

何度も、何度も、何度も。
見えないのに、肉の潰れる音、骨の砕ける音がする。



51 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:58:36.80 ID:nbU0t01Go

「ゆるさない」

彼女は止まらない。

「もう、いいよ……」

声になっているのか、わからない。

「おまえはこの人に手を出した」

彼女は犯人を殺すつもりだ。

「もういいよ」



52 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 21:59:26.45 ID:nbU0t01Go

止めるべきか、最後までやらせてやるべきかわからない。
今は彼女が苦しんでいることしかわからない。

「ぜったいにゆるさない」

死人を、亡霊を殺すつもりだ。
彼女には見えているのだろう、亡霊を地面に引き倒し、
馬乗りになって何度も殴る。
彼女のリーチ外にあるゴミ袋やがらくたが散乱する。
犯人が抵抗している。


53 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:00:38.11 ID:nbU0t01Go


「この先――」

彼女は拳を振り下ろす。

「私にも!」

殴る。

「この人にも!」

殴る。

「誰であろうと!」

手近なブロックを拾う。

「殺す」

ブロックを叩きつける。
地面の少し手前でぶつかる音がする。


54 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:01:25.06 ID:nbU0t01Go


「手を出したら殺す!」

「話しかけても殺す!」

「近づいても殺す!」

「目があっても!」

「夢に出ても!」

「殺してやる」

「何度でも殺し直してやる」

抵抗する音は止まった。
彼女も止まった。
僕は彼女を眺めていた。



55 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:02:12.88 ID:nbU0t01Go

「犯人、死んだよ」

しばらくして、彼女が口を開いた。

「今度こそ死んだのか」

彼女が殺した。

「うん。だから私の勝ちだ」

「がんばったな」

ふらつきながら僕のそばにきてしゃがむ。



56 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:04:26.94 ID:nbU0t01Go

「俺は大丈夫だよ」

額を割られているが、出血の割にダメージは少ない。
僕が抵抗できなかったのは、ヘタレだからじゃない。
相手が見えなかったからだ。
そこんとこよろしく。

「あ、血……」

彼女の視線が僕の額で止まる。

「大したことないよ」

「血、出てる……」

「見た目ほどひどくないって」

「ちょうだい」

「は?」



57 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:05:24.60 ID:nbU0t01Go

「ねえ、欲しい」

ぞっとした。

「おねがい」

彼女は僕の手を取り、手の甲の傷に舌を這わせた。
頭の奥がしびれてくる。

「ねえ、吸わないから。出てる分だけでいいから」

よく考えられなかった。
「好きにしろよ」と言ったと思う。
彼女は僕のシャツをはぎとり、恍惚としながら僕のことを舐めている。


58 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:06:36.96 ID:nbU0t01Go


「美味いか」

「……ん」

「そりゃ良かったな」

彼女はごく自然に、僕の口内に舌を滑り込ませてきた。
口の中が、僕の血の味で満ちる。
自分のもののせいか、嫌な感じはしなかった。

「おいしいでしょ」

彼女はとろんとした目で笑った。



59 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:07:18.39 ID:nbU0t01Go

なんだこれ。
封鎖された事件現場のすぐそばで、傷だらけで女の子に舐められる状況。

なんだかよくわからないが、とにかく僕は勃起していた。
そしてそれをごまかすために膝を立てるくらいには、
僕は冷静さを取り戻していた。

「大分、顔色良くなったな」

「ん、おかげさまで……」



60 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:08:13.43 ID:nbU0t01Go

余裕が出てくると、このままじゃ終われない気がした。
――ので、乳揉んだら一モミ目で手をはたかれた。

「ばか」

「いや、許されるだろ。この状況は。許せよ」

「ばーかばーか」

彼女は僕の額の傷を舐めている。
仕上げとばかりに念入りに舐めとっている。

目の前に、襟元からのぞく谷間がある。
深い深い谷間がある。
僕の自制心は、ユルユルになっている。



61 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:09:21.69 ID:nbU0t01Go

「はー、ごちそうさまー」

彼女は幸せそうに口元をぬぐった。

「なんかお前、おっぱい増えてないか?」

「ははは。ご冗談を……ん、きつい?」

自分で胸に手を当て、確認している。

「……」

「だろ?」

「ぬわああああああおっぱい革命きたあああああああ」

「もう少しかわいく驚けよ」

「うあああああ乳腺のクーデターやああああああああ」

「意味わかんね」



62 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:10:13.56 ID:nbU0t01Go

「……はあ」

「バーサーカーからいきなり賢者になったな」

「いや、素に戻ると、その、とんでもないことをしたと思いましてね」

(一方僕は……なんていうか……その……下品なんですが……
フフ……勃起……してしまいましてね…………現在進行系で)



63 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:11:05.98 ID:nbU0t01Go

二人で現状に呆れる。
でも、彼女は自分でケリをつけた。
もう大丈夫だと思う。

「この格好で帰るのか……」

切り刻まれたシャツを拾う。
穴だらけだし血糊がべったりだ。

「最高にパンクだと思うwww」

「アナーキーだわ。穴空きだけに」

「そのへんでTシャツ買ってくるわ」

「渾身のダジャレをスルーするなよ」

「嫌がらせTシャツにする!」

「白いのにしなさい」

彼女は衣料品店に走っていった。
10~20分もすれば帰ってくるだろう。



64 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:12:07.09 ID:nbU0t01Go

(しずまれ……ッ!俺の燃料棒……ッ!)

この時間を活かし、必死にエロとは無関係のことを考える。
良かった。
いろんなことが、普段通りに戻りつつある。



「それはどうかしら」



どこからか、昨日会った女の声が聞こえた気がした。





65 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:13:13.97 ID:nbU0t01Go

―――――女の家・再び―――――

彼女はお礼とお詫びに、と、ケーキを買って家で振る舞ってくれると言った。
僕はこのまま帰宅して、簡単に日常に戻るのも何なので、
お言葉に甘えることにした。

「もう、食べさせなくていいのか?」

あれはあれで気に入った。

「大丈夫だよ」と彼女は包帯をとって手のひらを向ける。
白い手のひらに何本かの赤い線、糸。

「ふさがったみたい」

回復が早すぎる。
僕の頭で、非現実的な仮説が加速していた。



66 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:14:00.12 ID:nbU0t01Go

「そんな顔しないで」

僕はどんな顔をしたんだろう。

「私、かわいそうじゃないよ」

「大丈夫なのか」

「私ね、全部思い出した」



67 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:14:50.70 ID:nbU0t01Go

夢に見たことは全て現実だったこと。

「自分の内臓と走馬燈見ながらさ、願っちゃったんだ」

そこに、僕が吸血鬼と勘違いした女が逃げ込んだこと。
女も傷を負っていて、彼女に血を要求したこと。

「私ね、お姉さんにお願いしたの」
助かりたいって。
だって、これからじゃない。だから願っちゃった」

彼女は女吸血鬼に血を与えた後、血を分けてもらった。



68 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:15:46.20 ID:nbU0t01Go

「人間じゃなくなるかもって言われた」

言葉が出てこない。

「でもね、それでも生き延びたかった。
私、あんたと生きてたいんだ。
お喋りして、笑って、くだらないんだけどさ。
あんたといると、生きてるって感じがするの」

嬉しい、愛しいと思う反面、彼女に申し訳なく思う。

「それでさ。覚悟決めて、お姉さんに頼んで」

なんでもないことのように笑わないでほしい。

「人間やめたったwwwww」



69 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:16:49.18 ID:nbU0t01Go

僕は、ああ、とか、うう、とかなんだかよくわからないうめき声を出した。



「悲しまないで。進化は不確定よ」



あの女の声だった。
勝手に人んちあがって「進化は不確定よ(キリッ」はないと思う。



70 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:17:47.29 ID:nbU0t01Go


「あ、おねーさん」

「思い出してくれたみたいね」

「あのときはありがとう」

「ううん、いいのよ。それよりそんな風に成長したのね」

「なに和やかにほほえみ交わしてんだよ」

「言ったでしょ。血を分けた姉妹みたいなものだって。
私はこの子がかわいいの」

「だから気にしてたのか……」



71 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:19:09.78 ID:nbU0t01Go
女吸血鬼は語る。

「血は吸うにしても与えるにしても、そこから24時間が大事なのよね」

吸血鬼は、彼女を気にかける一方で、観測していた。

「君、この子に、事件発生から24時間以内に不純な念を、
特に性的なものを向けたんじゃない? それも強烈に」

心当たりバリバリ。

「進化は不確定よ。あの時点で、この子は半人半妖になった。
それからどう変化するかは――」

「24時間が勝負、ですか」



72 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:20:32.54 ID:nbU0t01Go

「そう。彼女は中途半端な状態で安定してしまった。
ヴァンパイアの属性を半分保持したまま、別の進化を選んだ。
ヴァンプ止まりだったのよ」

「ヴァンプwwwwwwエロスwww」

今の彼女は妖婦ってほどじゃないが、将来有望だ。

「残りの”アイヤ”はどこいったんだ……」

彼女がつぶやく。安心半分。残念さも半分。

「アイヤーwww中国かwwww
半端イヤwww半端イヤwwwwww」

「いやああああああああ」



73 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:21:31.65 ID:nbU0t01Go

そこでお姉さんからスナップの効いた平手が入る。

「すんませんでした」

「妹をヴァンプにした責任、とってもらうからね」

なんかよくわからんが、責められてはいないし、痛い目に遭うこともなさそうだ。

「あ、はい」

「いいの?」

彼女の顔がぱっと明るくなる。

「いいんだよ。お前のことは元々好きだったし」

(僕、今さらっとすごいこと言ったな)

「なんつーか、うまくフォローできるかわからんけど、
未来は不確定なんだろ」

「そうよ」

彼女は、感無量といった感じで、目を潤ませてうなずいている。
ちくしょー、かわいいな。



74 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:23:49.92 ID:nbU0t01Go

「おめでとう。姉として一言贈らせてちょうだい」

お姉さんは、妹を嫁に出すときみたいに改まっていた。

「あなた、私ほどには血を吸わなくても平気よ。
彼が怪我したときに舐めさせてもらいなさい。
栄養になるし。おいしいでしょ?」

「じゃあ、私、人を襲ったりしなくていいんですね!」

僕も嬉しかった。
彼女が物騒なマネをしたり、危険視されたりするのはいやだ。



75 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:27:23.66 ID:nbU0t01Go

「そのかわり定期的に精液を欲するようになるけどねwwwwww
やwっwぱwりwごw愁w傷w様www」

「うはwwww」

「いやああああああああ」

彼女は顔を真っ赤にして自室に逃げてしまった。
これがヴァンプの宿命か。
悲しい女よ。


76 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:28:00.29 ID:nbU0t01Go


「さ、私は帰るから。妹をよろしく」

「いいんですか。あいつともっと話さなくて」

「私はどこにでもいるし、あの子が会いたいと思えば、いつだって現れるわ」

「お姉さんマジかっけーっす」

お姉さんは消えた。
いろいろと怪しい人だったけど、いい人だった。



77 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:28:46.08 ID:nbU0t01Go

僕は彼女の部屋に行く。
戸を開けると、ベッドでうつぶせになり、足をバタバタさせる彼女がいた。

「落ち着けよ。お姉さん帰っちゃったぞ」

「うん」

「大丈夫だよ。俺も無理に変なことしないよ」

「さっきおっぱい揉んだじゃん」

「あれは数に入らん」



78 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:29:43.75 ID:nbU0t01Go

「あたしだって、まるっきり嫌じゃないもん」

「ほう」

「あんたが、その、それ――」

と、僕の股間を指さす。

「その、気付いてたし」

「やめて。恥ずかしくておムコに行けない」

「気付いたけど、別に、嫌じゃなかったし……」

「ほうほほう」

「それにね、恐ろしいことに、お姉さんの言うとおりなんだ」



79 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:32:19.49 ID:nbU0t01Go

ああ、こいつは――

「あの、ね……その……ほしい……んだ……」

彼女の言わんとすることはよくわかる。
だから僕は、燃料棒を露出する。

「うわ。こうなってるんだ」

「あんまり見つめないで」

息がかかる。臨界しそうです。

「あんまり焦らしてると顔に出すぞ」

「えっ、やだ、もったいない」

「じゃあほら、遊んでないで」

彼女は一通り照れた後、

「いただきます」

そう言って、僕の性器を口に含んだ。


女「人間やめたったwwwww」おわり


80 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/09/12(月) 22:35:08.97 ID:VB8Yg2jLo
え?
もう終わり?
お前ならアドリブでまだまだ書けるはずだ俺は信じているぞ!!!


81 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:42:53.25 ID:nbU0t01Go
>>80
結構淡々とハイスピードで書いてったのに、見ててくれた人がいて嬉しいです。

注意書きでエロ有って書いてなかったので、また別スレで書かせてもらおうかな、と思います。
これ以上は怒られそうなので。


82 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県):2011/09/12(月) 22:44:25.18 ID:hVKNrsuyo
ほうら
怒らないから書いてごらん


83 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/12(月) 22:48:24.19 ID:uVgkGFlCo
乙良かったよ
しかし注意書きないってだけで立て直すほうがどうかと思うぞ



84 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東):2011/09/12(月) 22:48:34.76 ID:uO6bJmrAO
大丈夫、誰も怒らないから
さぁ書いてごらん


85 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/09/12(月) 22:52:01.74 ID:nbU0t01Go
>>82-84
ありがとう。やっぱり反応あるとうれしいね。

確かに本編で100行ってないのに別に立てるのはもったいない気もするけど…
【以下エロ有注意】くらいにして続けたら許されるんでしょうか。
その方が楽ではありますが。


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