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勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」3/14

勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」


勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」



146 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 21:12:30.54 ID:D4ip/Q2eo
―――魔王城

魔王「首尾は?」

魔物「はい。順調でございます」

魔王「そうか。トロルの失態で幾分かの後れは生じたが、今のところ問題はないか……」

魔王「あるとすれば―――」

ドラゴン「魔王様」

魔王「ご苦労。トロルを打ち倒した者について何かわかったか?」

ドラゴン「はい。どうやら、とある小国で選出された『勇者』のようです」

魔王「ほう?今まで、勇者と呼ばれる人間など何の脅威でもなかったが、ここに来てついに骨のある人選をしたわけか」

ドラゴン「しかい、交戦した者たちに聞きますとすこし可笑しなことが」

魔王「なんだ?」

ドラゴン「それが魔法を使う素振りを一切見せなかったようなのです」

魔王「魔術なくしてトロルが率いていた軍勢を突破することなどできないはず。それほどまでに武芸に秀でているか……あるいは……」

ドラゴン「もう少し調査の必要があるでしょう。幸いにも先日、その勇者一行は黄金の国に入ったとのことですので」

魔王「それは好都合だな。既にあの地は我らの領土。そこでそやつらのことを丸裸にしてくれよう……」




元スレ
勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」
SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServise掲示板




147 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 21:18:48.59 ID:D4ip/Q2eo
―――黄金の国 村

勇者「……」

僧侶「えと……」

魔法使い「黄金なんてどこにも無いわね」

勇者「なんてことだ……」

僧侶「掘ればでるかもしれません!!金は土ですし!!」

勇者「なるほど!!」

魔法使い「馬鹿か……」

村人「あの……貴方たちは?」

勇者「どうも。遠路遥々やってきました。金をよこしやがれ」

村人「旅の人……。悪いことはいいません。すぐに立ち去りなさい」

僧侶「え……?どうしてですか?」

村人「この国は魔王の手に落ちたのです」

魔法使い「魔王に……?」

勇者「詳しい話を聞かせてもらえますか?」


148 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 21:27:53.38 ID:D4ip/Q2eo
―――村長の家

勇者「失礼いたします」

村長「旅の人か。村民から聞いておる。座りなさい。これ、茶を」

村娘「は、はい」パタパタ

僧侶「お構いなく」

村長「この国のことはお聞きになりましたかな?」

勇者「はい。魔王に占領され、酷い圧政を受けていると」

村長「若い者は皆、連れて行かれ……どこかで奴隷のような扱いを受けていると聞きます」

僧侶「酷い……」

勇者「女性もよく連行されているようですが?」

村長「この国を取り仕切っている魔物が女を好んで喰らう」

勇者「いい趣味をしていらっしゃる」

魔法使い「皮肉に聞こえないわよ?」

村長「月に数人、女は生贄にされている。この村だけでなく、他の村でも同じのようだ」

僧侶「許せませんね……」


149 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 21:34:42.90 ID:D4ip/Q2eo
勇者「いや、全くです。僕の天敵となる魔物だ。絶対に排除せねば」

魔法使い「はぁ……」

村娘「ど、どうぞ、お茶です……」

勇者「……」パシッ

村娘「え……?」

勇者「僕の側室になってくれませんか?」

村娘「えぇ……?」

魔法使い「ねえ?手を貸して?」

勇者「はい」ギュッ

魔法使い「ありがとう」ギュッ

勇者「あづぃぃ!?!?」

魔法使い「痴漢。国境を越えてすぐに馬脚を露せないで」

勇者「やけどしたぁ……。―――応急措置」ムニュ

僧侶「きゃぁぁぁぁ!!!!!」

魔法使い「胸を揉むなぁ!!」


150 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 21:40:33.98 ID:D4ip/Q2eo
村長「あの……。あなた方は一体?」

勇者「ただの勇者です」キリッ

村娘「勇者……様?」

村長「まあ、よくわかりませんが、ともかくこの国には長居しないほうがよい」

勇者「そうですね。ご忠告ありがとうございます」

村長「いえ」

勇者「行きましょう」

魔法使い「どこに?」

勇者「そうですね……」

村娘「あ、あの……」

勇者「なんですか?」

村娘「勇者様……この国を救っていただけませんか……?」

村長「これ!何を言っておる!他国の者を巻き込んでいい話ではない」

勇者「貴女に頼まれては断れない。この国を恐怖に陥れている元凶はどこにいるのですか?」

村長「な……!?本気ですか?!」


151 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 21:48:34.86 ID:D4ip/Q2eo
勇者「どちらにせよ、僕の夢を脅かす存在は消さねばならないので」

村長「なんという……」

魔法使い「まあ、ものすごい不純な動機よね」

僧侶「でも、その想いこそが勇者様の原動力なわけですし」

魔法使い「そんな原動力、燃えてしまえばいいのに」

勇者「燃えているからこうして行動に移しているのではありませんか」

魔法使い「はいはい。―――で、その支配者はどこに?」

僧侶「ふふっ」

魔法使い「なによ?」

僧侶「あ、ごめんなさい。討伐することには反対じゃないんだなって思って」

魔法使い「見てみぬフリはできないわ」

僧侶「そうですね」

魔法使い「ふんっ」

村長「みなさん……ありがとうござます。では、お教えします」

勇者「はい、お願いします」


152 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 21:50:05.67 ID:4kBnyG1Yo
支援


153 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 22:01:15.63 ID:D4ip/Q2eo
勇者「地図を」

僧侶「は、はい」

勇者「場所からしたら……この辺りに問題の洞窟があるのですね」

村長「ええ」

僧侶「なるほど」

魔法使い「ここからならそう遠くないわね」

勇者「では、明日の朝向かいましょう。こちらも万全にしておくべきです」

僧侶「はい」

魔法使い「わかったわ」

勇者「では、村長様、よそ者の僕たちに色々とありがとうございます」

村長「気にしないでください。それより、もしよければ、今日はこの家で休んでいくといい」

勇者「え……?」

村娘「勇者様。是非、そうしてください」

勇者「……なるほど。貴女の入浴中に僕が間違って入ってしまうという展開ですね?」

魔法使い「いい加減にして」


154 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 22:10:05.49 ID:D4ip/Q2eo
―――客間

勇者「……」

僧侶「勇者様?どうかされましたか?」

勇者「黄金の国にしては随分とオープンだなと思いまして」

魔法使い「どういうことよ?」

勇者「自分が聞いた話では他国の人間に対しては排他的な態度を取るということだったのですが」

僧侶「あまり隣国とも交流しない国だって言われてますね」

勇者「得体の知れない僕たちの話を簡単に信用しているのが解せない」

魔法使い「考えすぎじゃない?私たちだって黄金があるとかいう風説を信じてたわけだし」

勇者「だといいですけど」

魔法使い「……」

勇者「まあ、でも、今はそんなことなど瑣末事ですね。なにせ、今日は相部屋ですし。これは間違いが起こる予感。いや、起きろ」

僧侶「ま、間違いって……」

魔法使い「早く寝てよ。明日は大変なんだから」

勇者「馬鹿な……。同じ部屋で寝るのにぱふぱふも無しだと……?」


155 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 22:18:32.57 ID:D4ip/Q2eo
―――翌朝 

勇者「一食一飯の恩、忘れません。魔物の討伐をもって、返します」

村長「それはおつりが出るぐらいだな。お願いします」

勇者「はっ」

僧侶「では、行きましょう」

魔法使い「お世話になったわ」

村娘「お気をつけて、勇者様」

勇者「はい。貴女の笑顔を取り戻すために行って参ります」

村娘「そ、そんなぁ……照れます……」

魔法使い「……」ガシッ

勇者「つめたぃ!?」

僧侶「あの……仲良くしてください……」オロオロ


村長「……では、行って参ります」

村娘「できるだけ奴らの実力を引き出せ」

村長「はい」


156 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 22:22:36.03 ID:D4ip/Q2eo
―――洞窟

勇者「ここか……」

魔法使い「嫌な空気ね。魔物の巣窟だと思ったほうがいいかもしれないわ」

勇者「ええ。十分に警戒して進みましょう」

僧侶「は、はい……」

勇者「僕の腕にしがみついていてもいいですよ?」

僧侶「で、では……」ギュゥゥ

勇者「ああ、癒される」

魔法使い「……もう文句を言う気力もないわ」

魔物「グルルル……!!」

勇者「早速ですね」

僧侶「ひっ……」

魔法使い「……」パシンッ

勇者「お二人は僕の後ろにいてください」

魔物「ガァァァァ!!!」ダダダッ


157 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 22:33:17.31 ID:D4ip/Q2eo
勇者「―――随分と歩きましたね」

僧侶「そうですね」

魔法使い「休憩にする?」

勇者「ええ。それがいいでしょう」

僧侶「はぁ……申し訳ありません。私のために……」

勇者「僕も疲れてますし。お互い様です」

僧侶「そうですか……?」

魔法使い「私もつかれた―――きゃっ!?」ビクッ

勇者「どうしました?僕の魅力に興奮してしまったのですか?!」

魔法使い「水滴が首筋に当たったの」

僧侶「水滴……?そういえば、ここ鍾乳洞なんでしょうか?」

勇者「地形的にそうでしょうね。きっと最深部に行けば綺麗な水がいっぱいあるのでしょう」

僧侶「こういうところのお水は絶品だって聞きますよ」

勇者「身を清めるのには打って付けですね。お二人とも、ここは僕を気にせず全裸になって泳ぐことをお勧めします」

魔法使い「こういうところの水温がどれだけ低いか知ってて言ってるの?」


158 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 22:37:54.04 ID:D4ip/Q2eo
―――最深部

勇者「む……?」

僧侶「誰か……いる?」

魔法使い「もしかして……」

勇者「奴の足下を見てください」

僧侶「え……?な、なんですか……あれ……?」

魔法使い「骨ね」

僧侶「うっ……?!」

勇者「神聖な水場でこのような蛮行を行っているとは、僕も驚きを隠せませんね。これではお二人を泳がせるわけにはいかない」

魔法使い「泳ぐ気なんて更々ないけど」

魔人「―――来たか」

勇者「貴様がこの国を支配している魔物か」

魔人「その通りだ。矮小なニンゲンどもめ。自ら餌になりに来るとは殊勝な心がけだな」

勇者「この二人は僕が食べる!!手を出すな!!」

魔法使い「真面目にやって……お願いだから……」


159 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 22:44:04.58 ID:D4ip/Q2eo
魔人「カカカカ!!可笑しなことをいう。今から八つ裂きにされる者が私に命令するか?」

勇者「まあ、手を出す隙なんて与えないけどな」

魔人「減らず口を……」

僧侶「く、くる……!!」ササッ

魔法使い「いいわね、盾」

僧侶「勇者様、がんばってください」

勇者「お二人もサポートお願いします」

魔法使い「出来ればいいけど……」

魔人「行くぞぉ!!!」

勇者「こいっ!!」


村娘「さて、その実力いかほどか」

村娘「色々と見せてもらおうか……」

村娘「ん……?あの後ろにいる二人は何もしないのか……?」

村娘「それとも……何か狙いがあるのか……?」


161 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 22:58:39.14 ID:D4ip/Q2eo
勇者「せぇぇい!!!」ギィィン

魔人「カカカカ!!!なんだそれはぁ!!」ドゴォ

勇者「がっ?!」

魔人「私の体を切り裂くには力量が足りないようだな」

勇者「ふっ!!」シュッ

魔人「きかぬわぁ!!」

勇者「化け物め。トロルでも掠り傷程度のダメージはあったのに」

魔人「カカカカ!!!」ドガァ

勇者「づっ!?」

魔人「カカカカカ!!!期待ハズレだな。ここで終わりにしてやろう!!」

勇者「―――それはどうかな?」

魔人「なに?」

勇者「気がついていないのか?この空間の空気が凍りつつあることに」

魔人「貴様ぁ!!何をしているぅ!!!」

魔法使い「内緒に決まっているでしょ?」


162 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 23:05:24.29 ID:D4ip/Q2eo
勇者「ここは鍾乳洞だ。色々と水が多い。それが寒さで凍れば……」

魔人「くだらぬ。私を氷柱で殺すとでもいうのか?」

勇者「そうだ!!もう天井は無数の氷柱だらけだ!!見てみろ!!」

魔人「なんだとぉ?!」バッ

勇者「かかったな!!」ダダダッ

魔人「―――ひっかかるか、アホがぁ!!!」ドゴォ

勇者「がはっ!?」

僧侶「勇者様!!」ダダダッ

魔法使い「……っ」

魔人「この程度の温度で氷柱ができるわけないだろうが!!」

勇者「ごもっとも……」

魔人「コケにして……死ねぇ!!!」

勇者「ちっ!!」ギィィン

魔人「飛び散れっ!!」ゴォォォ

勇者「魔法か……!!」


163 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 23:14:46.97 ID:D4ip/Q2eo
魔人「ハーッハッハッハッハ!!!」

僧侶「―――やぁぁぁ!!!」ダダダッ

魔人「はっ!?」

僧侶「シールドアタック!!」ガキィィン

魔人「うおぉぉ?!」

勇者「僕に集中しすぎたな」

魔人「ふん。これしきで―――」ダッ

魔法使い「あ、そこ凍ってるわよ」

魔人「なっ―――」ツルッ

ドボンッ!!

勇者「よし。リムストーンプールに落ちた」

魔法使い「私が凍らせられるのは手で触れられるところだけだから」ピトッ

魔人「ぷはっ!!―――力では敵わぬから溺死させようとするのか?カカカカカ!!!!実に浅はかだな!!」

魔人「魔物を舐めるのも大概にしておけぇぇ!!!ニンゲンがぁぁぁ!!!床に転がっている塵芥の骸となれぇ!!」

魔法使い「この巨大な水溜りと一緒に凍りなさい」コォォォ


164 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 23:24:12.05 ID:D4ip/Q2eo
魔人「こ、これは……!!!凍っていく……!!」

ピキ……ピキピキ……

僧侶「やりました!!」

勇者「魔物はすぐに熱くなるからわかり易くていいな」

魔人「おのれぇ……!!これしきで私の動きを封じたと思っているのか!!」

勇者「いいや。思ってない。だけど……すぐには身動きが取れないはずだ。これだけ深く、広い水源が一気に凍ればな」

魔法使い「……」スッ

魔人「なに……を……」

魔法使い「物理攻撃に強くても魔法ならどうかしらね?」ギュッ

魔人「きさまっ……」ゾクッ

魔法使い「燃えろぉ!!」ゴォォォ

魔人「ガァァァ……ァ……ァァ……」

勇者「ここで凄惨な死を遂げた人たちにせめてもの手向けを」

僧侶「はい。僭越ながら……祈らせていただきます……」

魔法使い「疲れた……。なんでいつも大量の魔力を使わせるの?」


165 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 23:28:31.29 ID:D4ip/Q2eo
勇者「それは貴女が―――」

村娘「実に有能な魔術師を連れているようですね」

勇者「なっ!?」

僧侶「え……」

魔法使い「貴女は……村長さんのところにいた……」

村娘「勇者様。全て見させてもらいました」

勇者「もしかして……僕の側室になってくれるのですか?」

村娘「私がニンゲンであれば……貴方に惚れていたでしょうね」

僧侶「人間で……あれば……?」

魔法使い「あんた……だれなの?」

村娘「ふふふ……実力をもう少し見せてもらおうか……勇者よ!!!」メリメリ

勇者「な……ななな……!?」

ドラゴン「―――予想以上に部下が使えなかったのでな。行くぞ?」

僧侶「あ……あぁぁ……」ガクガク

魔法使い「う、うそでしょ……?」


166 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 23:36:44.76 ID:D4ip/Q2eo
勇者「バ……バカな……」プルプル

僧侶「伝説の魔物が……いる……なんて……」ヘナヘナ

魔法使い「しっかりして!!」

ドラゴン「ふふふふ……。どいつも同じだな。俺の姿を見れば驚愕し萎縮する」

ドラゴン「魔王様は魔物を統べる王。ドラゴンが傍にいても可笑しくはないだろう?」

勇者「な……なんてことだ……そんな……ありえない……!!」プルプル

ドラゴン「ふふふふ……。さあ……その力を見せろ。魔王様の脅威となる存在なのかどうか……!!」

ドラゴン「ただし、勢い余って殺してしまうことになるだろうけどな」

魔法使い「そんな……」

僧侶「死ぬ……わたしたち……ここで……」

勇者「く……そ……!!!」ギリッ

ドラゴン(ふんっ。なんだ、他のニンゲンどもと変わらないようだな。恐怖に身を震わせ、絶望している。魔王様の杞憂だったか―――)

勇者「くそぉぉぉぉ!!!!ふざけんなぁぁぁぁぁ!!!!!!てめぇぇぇ!!!!!」

ドラゴン「……!?」ビクッ

勇者「さっさと女の子の姿に戻れよ!!!俺はあの女の子を側室候補にしてたんだぞ!!!なのにそんな醜い姿になりやがってぇぇ!!!」

168 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/07(木) 23:42:56.77 ID:D4ip/Q2eo
ドラゴン「み、醜いだと……!?」

魔法使い「な、なにいってるのよ!?そんなこと言ってる場合!?」

僧侶「そ、そうですよ!!勇者様ぁ!!」

勇者「俺を裏切りやがってぇぇ……!!絶対に……!!絶対に許さん!!!」

ドラゴン「き、貴様……!!俺の姿を見てなんとも思わないのか?!」

勇者「醜いトカゲに用はないんだよぉ!!!」

ドラゴン「きさ……ま……ニンゲンの分際で……!!!この俺に罵詈雑言を……!!」

勇者「俺の側室候補返せぇぇ!!!」

魔法使い「にげるわよ!!早く!!!」

僧侶「勇者様!!お気持ちは分かりますがここは退きましょう!!」

勇者「早く女の子に戻れ!!今なら一緒にお風呂で許してやらぁ!!!」

ドラゴン「ぬかせぇ!!ニンゲンがぁぁ!!!灼熱の業火にやかれろぉぉ!!!!」

勇者「こっちはとっくに腸煮えくり返ってるんだよぉ!!オオトカゲが!!」

ドラゴン「殺すっ!!―――焼け死ねぇ!!!」ゴォォォォ!!!

僧侶「きゃぁぁぁ!!!!」


169 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/08(金) 00:02:59.55 ID:jnE9pzLRo
勇者「お願いしますっ!!」

魔法使い「もうアンタと出会ってから毎日のように魔力が空になるのはなんでなのよぉ!!」コォォォ

魔法使い「―――凍れ!!」

ボゥン!!

ドラゴン「霧?!」

勇者「退却!!!」ダダダッ

魔法使い「賛成!!」ダダダッ

僧侶「異議なしです!!」ダダダッ

ドラゴン「これしきの目くらましなど……俺の両翼で!!!」バサバサ

ドラゴン「―――くっ。逃げられたか」

ドラゴン「まさか俺の灼熱を利用して霧を発生させるとは……。この水溜りを一気に氷漬けにできるなら、不可能ではないか……」

魔人「おぉぉ……ドラゴンさま……お、た……すけ……く―――」

ドラゴン「役立たずは不要だ」ゴォォォ

魔人「ギャァ……ァァァ……!!!」

ドラゴン「確かに注意が必要かもしれないな」


170 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/08(金) 00:11:32.38 ID:jnE9pzLRo
―――フィールド

勇者「はぁ……はぁ……」

僧侶「はぁ……追っ手はいない……ようですね」

魔法使い「ねえ……もしかして……この国には……」

勇者「生きている人間はいないでしょうね」

僧侶「そ、そんな……」

勇者「魔王め……僕の理想郷成立を邪魔するのか……」

魔法使い「アンタねえ……」

勇者「完全に魔王の手によって落とされた国は、どこも同じと見ていいでしょうね」

僧侶「許せない……」

魔法使い「ええ。気分が悪いわ。私の力がどこまで通用するかわからないけど……」

僧侶「勇者様……私も……がんばります。できるだけのことはします」

魔法使い「人間を皆殺しなんてさせたくない。アンタは?」

勇者「勿論、皆殺しなんて見過ごせません。―――それって美人な人もいなくなるってことですからね」キリッ

魔法使い「……はぁ。はいはい。そうですね」


185 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 17:49:23.93 ID:ELyUqoS0o
―――魔王城

ドラゴン「魔王様、ただいま戻りました」

魔王「どうだった?」

ドラゴン「はい。魔王様の想像通り、中々の使い手でした」

ドラゴン「勇者と思われる男は自分の姿を見ても冷静さを失わず、したたかに行動していました」

ドラゴン「後方支援者と思しき術者も、空間を一瞬で凍らせるほど熟練された魔法を駆使していました」

魔王「なるほど」

ドラゴン「我が炎すらも掻き消すことができるニンゲンが存在するとは思いませんでした」

魔王「……よく無傷で帰ってこれたな」

ドラゴン「いえ。流石にそれだけでは勝てないと判断したのでしょう」

魔王「お前の炎を相殺できるだけの力量を持ちながら、即時撤退をしたというのか?」

ドラゴン「ええ、その通りです」

魔王「竜族を間近で見ても冷静な行動を取れるだけの思考能力と行動力があり、しかも対抗できる術を持っていて逃亡を即断するか……?」

ドラゴン「魔王様?」

魔王「炎を凌ぐ以上のことはできないのか……それとも……。どちらにせよ、もう少し知りたいな……勇者一行のことを……」


186 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 17:57:48.90 ID:ELyUqoS0o
―――夜 夜営地

勇者「テント、張れましたよ」

僧侶「いつもありがとうございます」

勇者「いえ。これぐらいのことは喜んでします」

魔法使い「不思議ね。あのドラゴン、追ってくると思ったのに」

勇者「初めから殺す気はなかったのでしょう」

僧侶「どうしてですか?あんな熱そうな火まで吐いてきたのに」

勇者「殺すなら僕たちが魔人と戦っているときに頭上かた灼熱の炎を吐けばいいだけですからね」

魔法使い「それは仲間を巻き込みたくなかったからじゃ……」

勇者「あのドラゴンは村娘に扮して僕たちをあの洞窟に誘いました。なら待ち伏せして丸焼けにだってできたはず」

魔法使い「あ……言われてみればそうね」

勇者「きっと力量を見ていたのでしょう」

僧侶「でもどうしてそんなことを?私たちでは絶対に太刀打ちできないのに」

勇者「あのドラゴンはきっと誰かに命令されて、あんなことをしたのでしょう。でなければ僕たちなんて瞬殺ですし」

魔法使い「ちょっと待って。それってつまり……ドラゴンを指示している……魔王が私たちのことを警戒をしているってこと?」


187 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 18:07:26.43 ID:ELyUqoS0o
勇者「はい」

僧侶「ど、どうして……」

勇者「トロルの一件が魔王を慎重にさせているのかもしれませんね」

魔法使い「そっか。側近を倒したから、無理な特攻がしにくいのね」

勇者「だと思います。トロルも魔王の側近だとするなら、トロル以上の強者は恐らくあまり居ない。あのドラゴンぐらいかもしれません」

僧侶「そのトロルを倒したから、魔王は警戒して力押しで来ようとしないのですか」

勇者「魔王からしてみればトロルが人間に倒されたことは予想外だったはずですから」

魔法使い「魔王にとって私たちは未知の相手ってわけね」

勇者「トロルより力がある者を嗾け、万が一、その者がやられてしまっては事です。相手は今、情報収集の最中なのでしょう」

魔法使い「なら、ボロがでちゃったら……」

僧侶「一気に攻めてくる……?」

勇者「そうなっては無残に死ぬしかありません」

魔法使い「……」

僧侶「そ、そんな……」

勇者「でも、安心してください。僕は死なない。貴女たちを側室に迎え入れ、楽しい隠居生活を満喫するまではっ!!」


188 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 18:16:09.44 ID:ELyUqoS0o
魔法使い「かっこつかないわね……いちいち……」

僧侶「そ、そうですか?」

魔法使い「えぇ!?」

勇者「格好の良い理想なんてありません。理想とはエゴ、私欲の塊。口にするだけで嫌悪される。それが理想というものです」

魔法使い「アンタの場合は野望でしょ」

勇者「願望も野望も夢も理想も全部同じですよ。人間の醜悪な部分ですね」

僧侶「そ、そうでしょうか?」

魔法使い「だから、アンタはそれを隠そうとしないから余計に気持ち悪く見えるんでしょう!!?」

勇者「バカな。勇者なのに気持ち悪いとは、これいかに」

魔法使い「あんたねえ……」

僧侶「でも、勇者様にはその強い野望が生命力に転換されているようですし、良い事ではないでしょうか?」

勇者「流石は神に仕えるお人だ。理解が早くて助かります」

僧侶「い、いえ……そんなぁ」

勇者「そう!!多くの美人をはべらせること!!それが僕の原動力!!魔王を倒す力となる!!」

魔法使い「そんな想いで倒される身にもなりなさいよね」


189 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 18:22:48.82 ID:ELyUqoS0o
僧侶「まぁまぁ。でも、将来の夢を持つことはいいことですよ?生きる糧になることは間違いないですし」

魔法使い「否定はしないけど……」

勇者「そういえばお二人とも魔王を倒すのが夢だと言っていましたね」

僧侶「は、はい」

勇者「どうしてそのような夢を?」

魔法使い「……」

僧侶「えっと……」

勇者「お金ですか?それとも名声?」

魔法使い「いいえ、違うわ」

僧侶「あ……」

魔法使い「復讐よ」

勇者「……」

僧侶「勇者様……あの……」

勇者「なるほど。合点がいきました。それで貴女たちは、自ら才能がないと認めながらも魔法使いと僧侶で居続けたのですね?」

僧侶「は、はい……」


190 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 18:33:29.64 ID:ELyUqoS0o
魔法使い「私たちみたいな境遇の人は珍しくないわ。孤児になる理由の七割以上は魔王の軍勢による侵攻のためだもの」

僧侶「私たちの国も魔王の軍勢に支配され……そして、親類を殺されました」

勇者「……」

魔法使い「だから、なんとしても魔王に一矢報いたい。そう思って、修行したわ。結果はこうだったけど」

勇者「半ば諦めていたのでは?」

魔法使い「ええ。最初のうちは反骨精神みたいな感じでがんばってきたけど、現実を突きつけられるうちにやっても無理だって思うようになった」

僧侶「きっと誰かが倒してくれる。仇討ちは見知らぬ勇者様に任せてしまえばいいって……そんなことを考えたこともあります」

魔法使い「誰についていっても役立たずでしかないし……」

勇者「なるほど」

魔法使い「幻滅した?」

僧侶「も、もちろん……世界平和のためでも……」

勇者「世界平和を盾に自分の私欲を隠さないでくれますか?」

魔法使い「なんですって……!?」

勇者「他人に任せてもいいと考える程度の願いでは、叶うことはないでしょうね」

魔法使い「ちょっと……今はきちんと自力で叶えようって思ってるわよ……」


191 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 18:39:22.09 ID:ELyUqoS0o
勇者「本当にそうですか?」

僧侶「も、もちろんです……」

勇者「まさかとは思いますが、僕に全てを託していませんか?」

魔法使い「何がいいたいの?」

勇者「貴女たちは僕を復讐の道具として見ているのではないですか?」

魔法使い「……っ」

僧侶「そ、そんなこと思ってません!!い、いくら勇者様でも……酷いですっ!!」

魔法使い「アンタだって……」

勇者「なんですか?」

魔法使い「アンタだって私たちのことを理想ための道具にしか見てないくせによく言うわ」

勇者「そうですよ?」

魔法使い「なっ……!?」

勇者「貴女たちは僕にとって理想郷を作るための材料に過ぎません」

僧侶「そ、そんな……こと……な、仲間じゃ……?」

魔法使い「最低ね。そんな男だなんて思わなかったわ……」


192 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 18:43:44.30 ID:ELyUqoS0o
勇者「初めに言ったはずです。僕は体目当てだと」

僧侶「そ、それはそうですけど……!!」

勇者「まさか嘘か冗談だと思っていたのですか?」

魔法使い「……」

勇者「でも、いいではありませんか。僕は貴女たちの体が欲しい。そして貴女たちは僕を復讐のために利用する」

僧侶「ち、違います!!」

勇者「交換条件としては悪くありません」

魔法使い「……本気で言っているの?」

勇者「はい」

僧侶「……」

魔法使い「分かったわ」

僧侶「あの……」

勇者「どうかされましたか?」

魔法使い「私は抜ける」

僧侶「え……!?」


193 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 18:48:45.13 ID:ELyUqoS0o
勇者「故郷に帰るのですか?」

魔法使い「馬鹿。ここまで来て帰る訳ないでしょう?」

勇者「な……」

僧侶「あの!!やめてください!!」

魔法使い「アンタのおかげで私なりの戦いかたが分かったし、独りでもやれるわ」

勇者「何を言っているんですか。相手はドラゴンですよ?」

魔法使い「体を張ればあのドラゴンにだって対抗できることは実証されたわけだしね」

勇者「む……」

僧侶「ど、どうして喧嘩になるのですか!?」

魔法使い「まさかアンタがそういう目で見るとは思わなかった」

勇者「……」

魔法使い「……おやすみなさい」

僧侶「あ、まってください!!」

勇者「……」


194 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 18:55:03.74 ID:ELyUqoS0o
―――テント内

僧侶「あの……仲直りしましょう?」

魔法使い「……」

僧侶「勇者様の発言には確かに問題はありました。ですけど、私たちの理由を知ればそう思われても……」

魔法使い「違うわ」

僧侶「え……?」

魔法使い「アイツがあんなことを言ったのが許せないの」

僧侶「……」

魔法使い「自分に正直で、言ってることは変態だけど……筋が通ってて……」

僧侶「あの……」

魔法使い「私たちの欠点を長所に変えてくれて……嬉しかったのに……」

僧侶「もう一度、話をすればいいじゃないですか」

魔法使い「もういいわ。あんな奴……」

僧侶「そんなぁ……」

魔法使い(どうしてあんなこと……言うのよ……ばか……)


195 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 19:02:38.30 ID:ELyUqoS0o
―――翌朝

魔法使い「今までお世話になったわね」

勇者「残念ですね。ナイスバディなのに」

魔法使い「……ホントね」

勇者「まあ、貴女レベルなら探せば……」

魔法使い「ふんっ!!」

僧侶「あぁ……」

勇者「ついていってあげてください」

僧侶「え?」

勇者「全身から魔法を作りだすことができても、彼女は遠距離から攻撃されたら終わりです。彼女の魔力はすぐに枯渇する」

勇者「決して燃費がいい放出方法ではないですからね。むしろ大技を継続して発動しているようなものですし」

僧侶「ゆ、勇者様はどうするのですか?」

勇者「ここから北に向かうと噂の森があるでしょうから、そこを目指します」

僧侶「噂の森……ですか?」

勇者「おとぎ話ですよ。ただ、ドラゴンが実在したので信じてみようかなと思いまして」


196 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/09(土) 19:15:44.10 ID:ELyUqoS0o
魔法使い「……」

僧侶「ま、まってくださーい!!」タタタッ

魔法使い「どうしたの?」

僧侶「はぁ……はぁ……わ、私も一緒に行きます」

魔法使い「どうして?貴女はアイツの信者でしょ?」

僧侶「べ、別にそういうわけではありません」

魔法使い「そう……ありがと」

僧侶「で、どこに向かっているのですか?」

魔法使い「ここ。西に行けば大きな街があるみたいだから」

僧侶「なるほど」

魔法使い「そこなら色々と情報が集まると思うわ」

僧侶「そうですね。では、そこに向かいましょう」

魔法使い「本当によかったの?」

僧侶「はい」

魔法使い「今頃、側室候補がゼロになったから泣いてるんじゃないの?」


197 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/06/09(土) 20:11:07.52 ID:h6YAiH9DO
うわぁ勇者に離れると役立て無いキャラになるな…


198 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県):2012/06/09(土) 20:18:19.10 ID:Y8Q+YK+To
未練タラタラでワロタ


219 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 19:33:55.61 ID:MPpuM4gXo
僧侶「割と平気そうでしたけど」

魔法使い「そう……」

僧侶「でも、これからどうするんですか?本当に魔王を?」

魔法使い「ええ。こんな体質でも十分に戦えるって分かったのよ?やれるわ」

僧侶「どのように戦うのですか?」

魔法使い「相手が攻撃してきたら熱を纏えばいいじゃない」

僧侶「熱に強い相手だったら?」

魔法使い「冷気を纏うわ」

僧侶「魔法に強い相手だったら?」

魔法使い「そのときは……」

僧侶「そのときは?」

魔法使い「考えるわよ」

僧侶「そ、そうですか」

魔法使い「今はとにかく魔王に関する情報を集めることが重要なの。わかった?」

僧侶「は、はい」


220 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 19:43:59.14 ID:MPpuM4gXo
―――街 酒場

店主「魔王に関すること?」

魔法使い「なにかしらないかしら?」

店主「私はただの酒場のマスターなんでね」

魔法使い「でも、客から色々話を聞いたりするでしょ?」

店主「そんな話題を口にするような人は貴女が初めてですよ」

僧侶「そ、そうですよね」

魔法使い「それじゃあ、何か魔物に関することでもいいわ」

店主「そういっても……特には……」

魔法使い(情報収集ってこんなに難しいの……)

店主「あ。気になることなら一つありますね」

僧侶「なんですか?」

店主「なんでも人身売買組織があるらしいですよ」

魔法使い「人身売買?」

店主「はい。今この国に大規模な人身売買組織があるらしく、裏ではかなりエグいこともしているそうです」


221 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 19:52:14.92 ID:MPpuM4gXo
魔法使い「ふーん……」

僧侶「なんて非人道的な……!!」

店主「まあ、人身売買自体は珍しいことではありませんがね」

魔法使い「身寄りの無い子どもが自分を売ったり、借金苦で売るって話はよくあるわね」

店主「時代が時代ですからね」

僧侶「でも、組織化されているってことは、人身売買で商売をしているってことですよね?」

魔法使い「そうじゃないかしら?」

僧侶「そ、そんなの許せません……!」

店主「気分のいい話じゃないことは確かですよね。噂では魔物が人間を拉致しているみたいですし」

魔法使い「なにそれ。人間と魔物が手を組んでるわけ?信じられないわ……」

僧侶「待ってください。魔物が協力しているなら、もしかすると魔王とも結託しているのではないでしょうか?」

魔法使い「可能性はあるわね……」

店主「とはいえ、私もお客さんから聞いただけで信憑性はあまり高いとは言えませんが」

魔法使い「その組織に迫れば、きっと魔王のことも分かるわ。―――どうやら、目標ができたわね」

僧侶「はい。その人身売買組織について調べましょう」


222 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 21:57:53.35 ID:MPpuM4gXo
―――夕方 街 広場

魔法使い「……」

僧侶「わかりませんね」

魔法使い「甘かったわ。裏世界の情報なんて普通、誰も教えてくれないわよね」

僧侶「そうですね。人身売買を行う組織があるってだけでは……」

魔法使い「身内が被害に遭ったわけでもないし、私たちは組織を追う法的機関でもない」

僧侶「そろそろ宿でも探しませんか?」

魔法使い「そうね。そうしましょうか」

僧侶「勇者様なら……」

魔法使い「え?」

僧侶「勇者様なら、そんな情報でもすぐに手に入れてこられたのでしょうか?」

魔法使い「もういいでしょ。あんな奴のことなんて」

僧侶「……」

魔法使い「行きましょう」

僧侶「はい」


223 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 22:05:26.92 ID:MPpuM4gXo
―――宿 寝室

魔法使い「ふー、いいお湯だったわ」

僧侶「……」ペラッ

魔法使い「なにしてるの?」

僧侶「え?ああ……その……」

魔法使い「なにこれ?エルフ伝説?」

僧侶「……知ってますか?」

魔法使い「エルフって伝説上の種族でしょ?魔法の礎を設計したって言われてるけど……」

僧侶「はい。人間と共存していたと言われるも、数百年前に歴史から姿を消した人間ではない……魔族の一種です」

魔法使い「魔物の中でも人間と近しい志向を持っていたから、かなり友好的だったとも言われているわね」

僧侶「いると思いますか?」

魔法使い「過去にいたかもしれない連中でしょ?そんなのいるわけ……」

僧侶「でも、ドラゴンはいました」

魔法使い「む……。それを言われると……」

僧侶「魔法を創造した種族。もしいるなら、私たちの体質も改善してくれるかもしれません」


224 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 22:12:56.96 ID:MPpuM4gXo
魔法使い「そうね。夢があっていいわねぇ」

僧侶「はい」

魔法使い「でも、どうして急にエルフ伝説なんて……」

僧侶「実は……勇者様が別れ際に―――」

勇者『その森にはエルフがいると昔から噂されていました。むろん、眉唾もいいところで誰も真剣に捜索なんてしていませんが』

僧侶『勇者様はエルフを?』

勇者『はい。エルフは美形が多い、否、美形しかいないという伝説もあります。一人ぐらい側室に居てほしいと考えています』

僧侶『探すというわけですか……』

勇者『ええ。貴重な側室候補が二人もいなくなってしまいましたからね』

僧侶「―――と、言っていました』

魔法使い「あっそ……!」

僧侶「もしエルフがいるなら、私たちの欠陥も直してくれるかもしれないってずっと考えていました」

魔法使い「可能性としてはあるかもしれないけど……」

僧侶「人身売買の件も全く分かりませんし、エルフを探すことも私たちにとっては有益なことではないでしょうか?」

魔法使い「うーん……でも……」


225 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 22:18:48.80 ID:MPpuM4gXo
僧侶「ダ、ダメ……ですか?」

魔法使い「アイツもさがしているのよね?」

僧侶「再会するかもしれないとお考えですか?」

魔法使い「……うん」

僧侶「いいじゃないですか。もし居合わせても利害は一致してますし」

魔法使い「……」

僧侶「恥ずかしい……とか?」

魔法使い「あんたねえ……!!ブロッコリー食べさせるわよ!?」

僧侶「そ、それだけは……!!」

魔法使い「まあ、いいわ。確かにこのまま居ても進展なんてしないだろうし……エルフなら魔王のことも知っているかもしれないし……」

僧侶「よかったぁ」

魔法使い「アイツの言っていた森ってどこになるの?」

僧侶「地図でいえば、この辺りだと思われます。ここからだと半日もあれば……」

魔法使い「なら、しっかり準備だけはしておきましょう」

僧侶「はい!」


226 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 22:23:17.67 ID:MPpuM4gXo
―――フィールド

僧侶「そういえば魔物に遭遇した場合はどうします?」

魔法使い「炎を身に纏って体当たりでもしてやればいいわ」

僧侶「それって魔力の無駄遣いじゃないですか?」

魔法使い「他にやりようがないから仕方ないでしょ?」

僧侶「そうですけど……」

魔物「―――グルルルル!!!」

魔法使い「って、言ってる傍から……!!」

僧侶「ひっ」

魔物「グルルル……」

魔法使い「来なさい」ゴォォ

魔物「ガァァァ!!!」ダダダッ

魔法使い「……っ」

魔物「ガァァァァ!!!」ガブッ

魔法使い「いっ?!」


227 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 22:28:40.94 ID:MPpuM4gXo
魔物「―――オォォォ……」ドサッ

魔法使い「やった……」

僧侶「大丈夫ですか?!」

魔法使い「腕を噛まれただけよ。傷は深くないわ。すぐに燃えたし」

僧侶「そうですけど……」

魔法使い「さ、行きましょう」

僧侶「あ、まってください」ギュゥゥ

魔法使い「ちょっと……!!」

僧侶「どうですか?」

魔法使い「……治ったわ。ありがとね」

僧侶「いえ。早めに有効活用してもらえないと、私はすぐに魔力が無くなるので」

魔法使い「あんたに触れられたら傷が癒えるなんて、誰も気がつかなかったわよね……」

僧侶「そうですね。魔法がすぐに使えなくなるって点は大きなマイナスでしかないですし。でも、勇者様は―――」

魔法使い「早く行くわよ」

僧侶「あ、は、はい!」

229 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 22:37:07.34 ID:MPpuM4gXo
―――エルフの森

魔法使い「はぁ……ここなのね……」

僧侶「勇者様が言うには……ここですね」

魔法使い「探索する前に休憩しておく?」

僧侶「いえ。パンを食べながらなら多少は大丈夫ですから」

魔法使い「雀の涙じゃない?」

僧侶「本当に危なくなったら言いますから」

魔法使い「そう……」

魔法使い(アイツは私たちの体調管理までしてたのよね……今、思えば……)

僧侶「にしても未踏の地だからでしょうか、鬱蒼としてますね」

魔法使い「住んでいる魔物も多いでしょうね。今までで一番、気合を入れないとダメかもしれないわ」

僧侶「が、がんばります」

魔法使い「こんなことなら用心棒の一人ぐらい雇えばよかったわね」

僧侶「そんなお金があればとっくに……」

魔法使い「言ってみただけよ」


230 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 22:42:53.95 ID:MPpuM4gXo
魔物「ガァァァァ!!!!」

僧侶「きゃぁぁぁ!!!」

魔法使い「させない!!」

魔物「ガァァ!!」ザシュ

魔法使い「うぁ!?」

僧侶「あぁ!!!」

魔法使い「ふ、ふれたわね……!」

魔物「ガ……?―――ガァァァァ!!!!」メラメラ

魔法使い「ふぅー……ふぅー……」

僧侶「今、治癒を!!」ギュッ

魔法使い「……」

僧侶「うーん……!!うーん……!!」ギュゥゥゥ

魔法使い「もう限界でしょ?」

僧侶「は、はい……き、休憩しましょうか?」

魔法使い「賛成。私ももう魔力が尽きかけてるし」


231 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 22:51:58.77 ID:MPpuM4gXo
魔法使い「疲れた……」

僧侶「まだ住んでいる形跡すら見つかりませんね」

魔法使い「まあ、これぐらいで見つかるなら伝説にはならないでしょうし」

僧侶「そうですね。エルフさんも意地悪です」

魔法使い「でも、考えないといけないわね」

僧侶「何をですか?」

魔法使い「引き際に決まっているでしょ?いない人をずっと探すつもり?」

僧侶「それは……」

魔法使い「意味の無い時間を費やすなら、魔王討伐に向けての準備をしたほうがいいわ」

僧侶「準備と言っても……具体的になにをすればいいのか……」

魔法使い「魔王の弱点を探すとか」

僧侶「判明できているなら人間側がこんなにも劣勢には……」

魔法使い「魔王の兵力を調べるとか」

僧侶「大国が全兵力を投じても、防戦しかできないぐらいの兵力です」

魔法使い「……あら、私たちじゃ勝てないじゃないの」


232 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/11(月) 23:08:37.23 ID:MPpuM4gXo
僧侶「ですから、こうして―――!」

魔法使い「分かってるわよ。冗談だから」

僧侶「なら、いいんですけど……」

魔法使い「そうよね。あの魔王と戦おうとしているんだから、いくら補強しても補強し足りないことはないわ」

僧侶「はい。あと人数も……」

魔法使い「……」

僧侶「……」

魔法使い「もう少し休憩したら出発するわね」

僧侶「あの、その前に……」ギュッ

魔法使い「いいって」

僧侶「そう言うわけにはいきません。薬草では限界もありますし」

魔法使い「もう……。アイツ、薬草持っていったわよね?」

僧侶「私がきちんとお渡ししておきましたから」

魔法使い「そう……」

僧侶「まだ、この森のどこかにいるんでしょうか……?」


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