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配達少女「お届けものでーす」1/4



配達少女「お届けものでーす」



1 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:06:38.81 ID:5oF6CZwo

少女「おはようございまーす、お手紙でーす!」

少女「ええ、一通だけですが?」

少女「それならポストに入れとけ呼び出すな?」

少女「……はーい、すみませんでしたー」

少女(でもそしたらあなたの顔が見れないじゃん、分かってないなあ)



2 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]投稿日:2011/01/08(土) 01:10:44.33 ID:5oF6CZwo
VIPでのスレが落ちたけれども、未練がましく続きがやりたいのでこちらに移住
一応VIPでの分はまとめられたけれど、あまり長くないのとほんのちょびっとだけ増築してあるので最初から
ちなみに最初は新ジャンル的な持ち寄り型を狙っていたんで、書きたい人がいれば遠慮せずに投下してほしい



元スレ
配達少女「お届けものでーす」
[SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServise掲示板]





3 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:12:00.26 ID:5oF6CZwo

少女「おはようございまーす、新聞でーす!」

少女「いやあ、今朝も冷えますねえ。って余計なひと言はいらない? これは失礼」

少女「え? あ、このマフラー自分で編んだんですよ」

少女「……マフラー持ってないんですか?」

少女「ふーん」


     ・
     ・
     ・


少女「ちわーす、お届けものでーす!」

少女「なんか軽い包みですよ」

少女「差出人? んー、書いてありませんね」

少女「中身何ですか? 開けてみてくださいよ」

少女「わ! マフラーじゃないですか、ちょうど良かったですね!」

少女「え? わたしがなにか? え、いや、なんのことだか……」



4 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:12:46.03 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お届けものでーす!」

少女「小さい包みですが、なんですかこれ?」

少女「えー、いいじゃないですか見せてくださいよお」

少女「えー、なになに? ボッキンパラダイ……」

少女「……」

少女「あ、備考欄にドラマDVDと書いておいてくださいってありますね。業者さん、失敗しちゃったんだ」





少女「追い出されちゃった」



5 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:13:32.32 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お手紙でーす!」

少女「え? 自分とこには本来だれからも来るはずないって?」

少女「そんなことないですよ、わたしが毎日出してますから」

少女「余計なことしなくていい?」

少女「でもホントはうれしいんでしょ?」

少女「そんなこと言って、でも本当は~?」

少女「からの~?」

少女「と見せかけて~?」

少女「いったぁい! 女の子叩くなんて最低です!」



6 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:13:58.67 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お届けものでーす」

少女「よっこらしょっと」

少女「ふー」

少女「あ、ハンコかサインお願いします」

少女「――はいどうも」

少女「ついでにこっちにもお願いします」ムチュー

少女「あ! 人の唇にハンコ押しつけるなんてどういう神経してるんですか!」



7 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:16:03.47 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お届けものでーす」

少女「はい、ピザ一丁!」

少女「え、なんでピザの配達もやってるのかって?」

少女「いまどき単一のバイトだけじゃ食っていけませんって」

少女「なんで黙るんですか?」

少女「……あー大丈夫大丈夫、わたしもう一人くらいは養えます。安心してください、プチ逆玉です」

少女「寝言は寝て言え? これは失礼」



8 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:17:06.60 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お手紙で―す」

少女「そんなこと言われてもお仕事ですから」

少女「ほとんどお前の手紙だろって?」

少女「はは、まあそうですけど」

少女「あ、でも、今日は別のも混じってますよ?」

少女「あ……」

少女「あ、いえ、その、あなたのお母さんからです」

少女「駄目ですよ! そんなこと言わずに読んであげてください」



9 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:17:36.99 ID:5oF6CZwo

少女「おはようございまーす、新聞でーす」

少女「受験勉強の調子はいかがですか?」

少女「あー、その顔は芳しくないって顔だ」

少女「そんなんで大丈夫ですか? また浪人ですよ?」

少女「二浪だと、名前とおんなじになっちゃいます」

少女「あ、いた! また叩きましたね!」



10 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:19:05.35 ID:5oF6CZwo

 ブロロ……


少女「風を感じて~旅にぃ出ようか♪ っと」

少女「うー、朝早くのバイクはしばれるのう」

「ニャー」

少女「ん?」


     ・
     ・
     ・


少女「おはようございまーす、朝刊でーす」

少女「はいどうぞ」

少女「何ですか? 私の胸がそんなに気になりますか? エッチ」

少女「いたた、叩かないでくださいよう。分かってますって、この猫ちゃんですね。ここに来る途中の空き地で見つけたんです。捨て猫でしょうかね」

少女「そうなんですよ。わたしのとこじゃ飼えなくて……」

少女「……」ジー

少女「え、本当ですか!? あなたのところで飼ってくれるって!?」

少女「ありがとうございます! やっぱりわたしの上目づかいは効きますね!」

少女「いたた、叩かないでー」



11 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:19:35.04 ID:5oF6CZwo

<一年前>


少女「ここが今日からわたしが住む町、わたしの担当区!」

少女「張り切って配達にいってみましょー!」


     ・
     ・
     ・


少女「迷った……」



12 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:20:09.24 ID:5oF6CZwo

少女「こまりましたね……」

少女「わ! ごめんなさい! 前見てなくて……」

少女「ああ、わたしの担当物ですからわたしが拾います、ごめんなさいごめんなさい」

少女「え、ああ、わたし今日からこの町で配達業をすることになったものです。よろしくお願いしますね!」

少女(あ。握手の手、無視された)

少女(それにしても背の高い人だなあ。髪も長めでちょっと怖いけど……でも見ようによればかっこいいか、な?)

少女「あ、えーと、○○って場所を探してるんですけどご存じありませんかね?」

少女「え、知ってる? ついてこいって……いや、ありがたいですけど場所さえ教えてもらえれば、ってちょっと待ってくださいよう!」


14 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:21:22.40 ID:5oF6CZwo

少女「ありがとうございました。これで最初の配達完了です!」

少女「まだ、沢山残ってる? あはは、そうですね……」

少女「困ったな、時間をロスしすぎて時間までに配達できるかどうか……」

少女「え、そんな、悪いですよ。わたしの仕事ですから」

少女「どうせ暇だから? で、でも……あ……行っちゃった」

少女「配達物半分持ってかれちゃいました。どうしよう……」


     ・
     ・
     ・


少女「あ、あなたはこの前の! あの時はありがとうございました!」

少女「おかげさまでなんとかこの町にもなじんできました。もう道に迷ったりはしませんよ!」

少女「いやーほんとあの時は助かりました。届け間違いの苦情もありませんでしたし」

少女「……どうしました? なんか顔色悪いですよ?」

少女「え? 受験失敗した? あまり話しかけないでくれ? ご、ごめんなさい」



15 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:22:50.90 ID:5oF6CZwo

<現在>


少女「こんばんはー、お手紙でーす」

少女「ええ、まあ、わたしからの手紙ですけれども」

少女「本命は猫ちゃんです、中に入れてくださいよ」

少女「わーい、おじゃましまーす!」


     ・
     ・
     ・


少女「ほーら、おもちゃ飼ってきたぞーポチ」

少女「む、わたしのネーミングセンスにケチつけますか!」

少女「どうせあなただってろくな名前を考えてないでしょう」

少女「ポ、ポッチャレータム? えーと、いやそんなドヤ顔されても……」



16 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:23:36.43 ID:5oF6CZwo

少女「ポッチャ、眠いか―い?」

少女「ああ、寝ちゃった」

少女「じゃあ、わたしはこれで失礼します」

少女「わたしの座ってたとこ、嗅がないでくださいよー」

少女「違います、おならじゃありません! もっといい匂いですよう!」



17 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:25:05.29 ID:5oF6CZwo

 ブロロ……


少女「ぼぉくぅら同じまいにぃちをー♪」

少女「あれ?」

少女「おーい!」

少女「へえ……あ、いや、部屋から出てる君は久しぶりに見たので」

少女「どこに行くんですか? ……ってあれ、ポッチャ」

少女「え、動物病院!? ポッチャ病気ですか!?」

少女「え、違う? 元野良みたいなものだから一応? なーんだ、心配させないでくださいよ」

少女「ついでにお前も診てもらえ? それ、どういう意味ですかー!」



18 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:25:35.59 ID:5oF6CZwo

少女「ポッチャに会いに来ましたー」

少女「えー、いいじゃないですか入れてくださいよう、さむいですよう」

少女「――おっと、いつまでも叩かれるわたしじゃありませんよーだ」


     ・
     ・
     ・


少女「結局入れてくれるあたり、優しいというか優柔不断というか」

少女「おーポッチャ、こんばんはーうりうり」

少女「今日は夜暇なんですよー、もうちょっとここいていいですか?」

少女「ちょっと、変なこと考えないでくださいよ。え、気のせい? 声上ずってますよ」



19 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:26:01.09 ID:5oF6CZwo

少女「いまどきスーパーファミコンですか」

少女「いえ、別に」

少女「カセットは何を?」

少女「これはナイスチョイス!」

少女「では早速やりましょう。えー、いいじゃないですかー」

少女「がちっとな」


 スーパー・プヨプーヨ!



20 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:28:07.34 ID:5oF6CZwo

少女「なんでそんなに強いんですかー」

少女「受験勉強の息抜きにやりこんだ? もっと外に出ましょうよ」

少女「頭の体操? 確かにそうかもしれませんが」

少女「大体ぷよぷよ、なんて響きが卑猥です」

少女「――おっと、へっへーはずれでーす」


22 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:28:30.15 ID:5oF6CZwo

少女「こんばんはー、おじゃましまーす!」

少女「ナチュラルに入ってくるなって? まあいいじゃないですか」

少女「あはは、やっぱり優柔不断だ」

少女「おっと、はずれー、っていたい! 二段攻撃ですか!」



23 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:29:05.19 ID:5oF6CZwo

少女「それにしても浪人生ですか」

少女「いえ、馬鹿にしてるとかそういうんじゃなくて」

少女「逆にすごいなーって」

少女「勉強一本の生活でしょう?」

少女「わたしにはとてもまねできません」

少女「あれ? どうして目をそらすんですかー?」



24 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:29:34.25 ID:5oF6CZwo

少女「そういえば、浪人生って普通は予備校とか行くんじゃないですか?」

少女「家に金を入れてるわけでもないのに無理な要求はできない?」

少女「はあ、なるほど」

少女「……」

少女「でもその割にはえっちいDVD買ったりするんですね」

少女「おっと、意外に大きなダメージ」



25 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:30:02.62 ID:5oF6CZwo

少女「ポッチャー。そうそうジャンプジャンプ」

少女「あはは、ポッチャ可愛いー!」

少女「え、お前の方が可愛い?」

少女「もう! 何言ってるんですかー」

少女「いた! 叩かないでくださいよう」

少女「いいじゃないですか、たまにはこんな寸劇してみても……」



26 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:30:41.51 ID:5oF6CZwo

少女「それではまた今度ー」

少女「――おっとそう言えば忘れもの」

少女「すみませーん、って何してるんですかそんなところにかがみこんで」

少女「……ははあ、わたしの残り香を嗅いでましたね」

少女「あはは、そんなムキになって否定しなくても」

少女「いったぁい! グーで叩いたー!」



27 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:31:10.34 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お手紙でーす」

少女「あ、いえ、今日はわたしのじゃなくて。そう、君のお母さんからです」

少女「そんな投げやりに扱わないでくださいよ」

少女「それと、それ、急ぎの手紙らしいですから、今すぐ見た方がいいですよ」

少女「もう! わたしが開けますよ!」ピリピリ

少女「えーと、――え?」



28 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:31:37.67 ID:5oF6CZwo

     ・
     ・
     ・



少女「あの手紙が来てから一週間が経ったよ」

少女「あの人は実家に帰ってる」

少女「あの人のお母さん、病気だったんだって。おっもいやつ」

少女「あの人の受験が近いから隠してたんだけど、ホントに危ないから帰って来いって」

少女「あんなにあわてた顔、初めて見たかも」

少女「そろそろ、戻ってくるかな? どう思う、ポッチャ?」



29 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:32:06.03 ID:5oF6CZwo

少女「おかえりなさい」

少女「……」

少女「え!?」

少女「な、なーんだ、お母さん持ち直したんですか! 暗い顔してるからてっきり……」

少女「よかったですね! 本当に良かったです!」

少女「え? どうしたんですか、そんなに思いつめた顔して」

少女「相談がある? はあ」

少女「いえ、かまいませんが」



30 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:32:39.82 ID:5oF6CZwo

     ・
     ・
     ・


少女「じゃあそっちお願いしまーす」

少女「え、多すぎる? そんなもんですって」

少女「さあさあとっとと出発出発」

少女「そうですよ、時間もあんまりないんですから」

少女「まあ、わたしみたいにベテランになれば余裕ですけどね!」

少女「……最初のころの話はなしですよー!」



31 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:33:07.52 ID:5oF6CZwo

少女「お疲れさまでーす」

少女「初めての配達はいかがでした?」

少女「どうってことない? じゃあその死んだ目は何ですか」

少女「大体浪人生という立場に甘えすぎて日々の鍛錬がですね」

少女「あ、聞いてますー!?」



33 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:34:23.11 ID:5oF6CZwo

少女「それにしても驚きました。まさか配達のお仕事をしたいとは」

少女「え、配達じゃなくてもよかった。そうですか」

少女「でも大きな転換ですよね。進学をやめて就職なんて」

少女「お母さんを安心させるためですね」

少女「気まぐれ? またまたー」

少女「……一緒に頑張りましょうね」

少女「そんな顔しないでください。このわたしがついてますから大丈夫ですよ!」

少女「それじゃ今日はお疲れ様ー」



34 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:35:31.54 ID:5oF6CZwo

配達少女「お届けものでーす」第一部



     ~了~


39 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:58:57.48 ID:5oF6CZwo

少女「こんにちはー!」

少女「お爺さん、お元気ですか?」

少女「ああ、いえ、別に配達ってわけじゃないんですけど、ちょっと顔を見に」

少女「あはは、ええ、頑張ってますよ」

少女「あ、今日もお手紙ですか。預かります」

少女「ええ、ちゃんと届けますよ」

少女「きっと、届くはずです……」



40 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 01:59:37.57 ID:5oF6CZwo

少女「ふう。さてと」

少女「あ、お疲れさまでーす」

少女「ずいぶん仕事の手際がよくなりましたね。いいことです」

少女「あ、このお手紙ですか? ある人から預かったものですよ」

少女「……あるお爺さんからお婆さんへの、お手紙なんです」



41 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:00:04.90 ID:5oF6CZwo

少女「こんにちはー」

少女「日向ぼっこですか? わたしも時間あるので混ぜてください」

少女「んー……」

少女「ん? 何考えてました?」

少女「あはは、お婆さんのことですか」

少女「……大丈夫、今頃お爺さんの書いた手紙を読んでるはずですよ」



42 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:00:34.46 ID:5oF6CZwo

少女「こんにちはー」

少女「今日は猫、連れてきました」

少女「ポッチャレータムっていうんですよ」

少女「ええ? いい名前?」

少女「お爺さんもあの人と同じネーミングセンスですか!」



43 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:01:03.45 ID:5oF6CZwo

少女「猫と縁側でまどろむ老人。絵になりますねえ」

少女「あ、カメラ持ってきたんです。撮ってもいいですか?」

少女「いや、一枚だけですから」

少女「恥ずかしい? そんな女子供じゃあるまいし」

少女「あ、ポッチャも逃げないでよう!」



44 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:01:42.11 ID:5oF6CZwo

少女「二人とも、っていうか一人と一匹さん、表情がかたーい」

少女「もうちょっと笑って笑って」

少女「こら、ポッチャ。逃げるとまんま、やらないよ」

少女「よーし、二人ともいい感じ」

少女「はいチーズ!」

少女「……え? チーズは嫌い?」

少女「じゃあ、一足す一はー?」

少女「いや、馬鹿にはしてないですって」



45 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:02:25.75 ID:5oF6CZwo

少女「デジタルカメラですから即確認できます」

少女「うん、いい感じですね」

少女「え、このボタンですか? スライドショーですけど」

少女「あ、勝手に押さないでくださいよう!」

少女「いや、これは、仕事の同僚と撮った写真です。決してやましいものでは」

少女「ていうかお爺さん、何怒ってるんですか」

少女「どこぞの馬の骨とも知れないやつに……って、お爺さん、わたしのお父さんですか」



46 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:03:06.74 ID:5oF6CZwo

少女「こんにちはー」

少女「何してるんですか?」

少女「これは将棋という奴ですね」

少女「わたしこういう頭を使うものが大の苦手で。いまだにあの人にぷよぷよで勝てませんし」

少女「でも将棋って二人でやるものじゃ?」

少女「詰め将棋?」

少女「ああぷよぷよでいう一人モードですか」

少女「ち、違いますって、ぷよぷよは卑猥なものじゃありません!」


48 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:05:31.58 ID:5oF6CZwo

少女「将棋……よくわかりせんねえ」

少女「あ、終わったんですか? 詰み? おめでとうございます!」

少女「……わたしも将棋強くなればあの人に勝てますかね?」

少女「あの」

少女「わたしにも将棋、教えてもらえませんか?」



49 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:06:06.52 ID:5oF6CZwo

少女「じゃあ、今日はこれで帰りますね」

少女「あ……お手紙ですか」

少女「ええ、ちゃんと預かりました」

少女「それではまた今度」

少女「ほら、ポッチャもばいばーいって」

少女「ばいばーい」



50 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:06:35.66 ID:5oF6CZwo

少女「おはようございまーす!」

少女「今日は将棋を教えてもらいに来ました!」

少女「前に約束したじゃないですか」

少女「そうそう、写真撮った時のことです」

少女「馬の骨? お爺さん、まだあの人のこと覚えてるんですか!」



51 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:07:23.19 ID:5oF6CZwo
ん? 時系列が若干おかしくなってるな
脳内補完よろしく



52 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:08:07.03 ID:5oF6CZwo

少女「将棋の基本は駒とその動かし方」

少女「なるほど、基本を知らなくてはどうしようもありませんからね」

少女「ところで駒って何ですか?」

少女「ああ、この五角形たちの名前ですか」

少女「小人用のホームベースみたいですね」

少女「でもずいぶん多いですし、段差も大きい」

少女「……」

少女「でや! これでどれが本物のホームベースか分かるまい! おまけに段差も凄いからつまずくこと必至であるぞ!」

少女「……一昔前のスポーツ漫画のノリですね」



53 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:08:43.00 ID:5oF6CZwo

少女「まずは駒の名前」

少女「これはあゆむくんでしょうかあゆみちゃんでしょうか」

少女「え? 『ふ』?」

少女「なんで食べ物に……」

少女「あ、そうじゃない? これは失礼」

少女「で、これが総大将の王と玉。その隣をはさむ金銀に、桂馬、両翼を担う角と飛車」

少女「……」

少女「いえ、別に。金と玉が同時に目に入ったとかそんなんじゃありません」



54 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:09:15.15 ID:5oF6CZwo

少女「次に動かし方ですが」

少女「歩は前に一歩ずつ。地道ですね。わたしにはまねできません」

少女「飛車と角はすごいですね。びゅんびゅんいどうします。チートです」

少女「あ、王様はけっこう鈍重なんですね」

少女「え!? 何ですかこれ!?」

少女「お馬さんがトリッキーすぎますよ!?」



55 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:09:59.42 ID:5oF6CZwo

少女「これは……!」

少女「名前を覚える段で忘れていましたが、これ、香車」

少女「まっすぐ一直線。行ったら戻ってこない。実に潔い……」

少女「まるで私みたいですね!」

少女「おまけに香車と強者は読みが同じです!」

少女「猪突猛進?」

少女「まあそれもよし、です」



56 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:10:26.27 ID:5oF6CZwo

少女「今日はここまで、ですか」

少女「分かりました、ありがとうございました」

少女「次は実践編ですね、よろしくお願いします師匠!」

少女「あ、お手紙……」

少女「ええ、お預かりします」

少女「それではー」



57 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:11:55.02 ID:5oF6CZwo

少女「あれから数日経ち、実践編も進んできたわけですが」

少女「かたい! かたすぎます、お爺さんの穴熊囲い!」

少女「見た目通り堅実な防御と攻撃です!」

少女「初心者相手に容赦ない!」

少女「行け! 香車ぁ!」

少女「え、王手飛車取り? そんなあ……」


59 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:12:33.52 ID:5oF6CZwo

少女「ふー。激戦の後のお茶は美味しいですね」

少女「一方的な蹂躙だった? これは失礼」

少女「じゃあ、そろそろ帰りますね。次は絶対勝ちますから!」

少女「あ、今日もお手紙ですか」

少女「任せてください」

少女「……いつもと違う封筒ですね」

少女「――え、何か言いました?」

少女「気のせい? ならいいんですが」

少女「それでは失礼します」



60 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:13:19.75 ID:5oF6CZwo

 夜になってふと思い出した。
 あのときお爺さんは

 『これが最後だから』

 と言ったのだ。
 ……ひどく胸騒ぎがした。



61 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:14:25.45 ID:5oF6CZwo

少女「はっ、はっ……」


 タッタッタッタ…… ガラガラ!


少女「お爺さん!」

少女(家の中が暗い……雨戸が閉まったままだ……)

少女「……」

少女「お爺さん!」



62 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:14:52.26 ID:5oF6CZwo

 結局、お爺さんの遺体は寝室で見つかった。
 眠るように、実際ベッドに寝たまま亡くなったようだ。

 わたしは立ち尽くした。
 涙は出てこない。
 ただただ呆然としたまま、立ち尽くしていた。



63 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:16:55.04 ID:5oF6CZwo

少女「……」

少女「……」

少女「……へ? あ、ああ……二郎さんですか」

少女「ええ、大丈夫ですよ。もうお爺さんのお葬式から十日になりますし」

少女「大丈夫です」

少女「大丈夫ですってば」

少女「ああ、叩かれても反抗する気力がわきません。やっぱり駄目です」



64 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:17:26.34 ID:5oF6CZwo

少女「……」

少女「いえ、違います。こう言うとあれですけど、お爺さんが亡くなったことはもう吹っ切れてるんです。勝ち逃げされたのは癪ですけど」

少女「ああ、こちらの話です」

少女「ああ、いえ、ともかくとして、お爺さんの死自体は乗り越えてるんです」

少女「ただ……」

少女「わたし、お爺さんに嘘をついたまま死なせてしまったんです」



65 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:17:54.27 ID:5oF6CZwo

少女「ちょっと待ってください、なんでナチュラルに警察に通報しようとするんですか。まずは話を聞いてください」

少女「えーとですね、わたしお爺さんにある小さな嘘をつきとおしてたんです」

少女「それがこれ」

少女「そう、お手紙です」

少女「これは、前も言った通り、お爺さんからあるお婆さんに宛てられたお手紙なんですよ」



66 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:18:34.83 ID:5oF6CZwo

少女「正確には――よっこらしょ!」


 ドサ ザザザ……


少女「ここに積み上がったお手紙全てです」

少女「これは全てお爺さんが書き、わたしが預かっていたものです」

少女「なんで件のお婆さんに渡さないかって?」

少女「答えは簡単。渡せないからです」



67 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:19:43.20 ID:5oF6CZwo

少女「そのお婆さんというのは、お爺さんの奥さんなんですよ」

少女「……だったんです、の方が正確でしょうか」

少女「市の中心の総合病院に、身体を悪くして入院してらっしゃいました」

少女「お爺さんはそのころ足を悪くしていて、面会には行けませんでしたが、毎日お手紙を書きました」

少女「そして、お爺さんの足が治るかどうか、という時にお婆さんは病で……」

少女「それから、お爺さんはほんの少し、心を病んでしまいました」

少女「お爺さんは、お婆さんの死後も、お手紙を書き続けたんです」

少女「届くことのない、お手紙を」



68 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:20:12.67 ID:5oF6CZwo

少女「もちろん、お爺さんに、お婆さんは死んだという現実を突きつけることはできました」

少女「でもわたしはそうしなかった。それがお爺さんのためだと思っていたから」

少女「……いえ、そう思いたかっただけかもしれませんね」

少女「ともかく、わたしはお手紙を預かり続けました。お婆さんに必ず届けると約束して」



69 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:20:41.96 ID:5oF6CZwo

少女「わたしは……わたしはでも、やっぱりお爺さんにちゃんと言うべきだったでしょうか? お婆さんは死んだのだと」

少女「それとも嘘をつき続けたのは正解だった?」

少女「いえ、今となっては考えても仕方のないことですが」

少女「……」

少女「すみません、わたし、ちょっと自分と状況に酔ってるかもしれません」

少女「最低ですね……」



70 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:21:40.77 ID:5oF6CZwo

少女「……」

少女「え? どうしましたか、二郎さん」

少女「――ちょっと、勝手にお手紙をあけちゃあ……」

少女「え、読むべき? わたしたちがお婆さんに代わって?」

少女「どういう理屈ですか……」

少女「お爺さんの生きた証を……お爺さんからのお婆さんへの気持ちを、受け止める、ですか」

少女「……」

少女「よく、わかりません。ですが、了解です、読んでみましょう」



71 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:22:26.45 ID:5oF6CZwo

 お爺さんの流れるような、でも力強い字で。
 それらは静かにつづられていた。

 お婆さんへのいたわり。
 お婆さんを喜ばせるための軽快な言葉。
 お婆さんへの思いやり。
 そして、お婆さんへの直ぐな想い。

 お爺さんの葬式では流れなかった涙が、何かを思い出したかのように視界をうずめた。



72 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:22:53.09 ID:5oF6CZwo

少女「……」

少女「……いえ、泣いてはいませんよ、泣いては」

少女「本当です」

少女「最後の手紙ですね。開けてみましょう」


 コロン……


少女「なんでしょう、これは」

少女「将棋の駒?」

少女「……香車」



73 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:23:23.14 ID:5oF6CZwo

 そして、封筒の中に入っていたのは一枚の紙だった。
 ほんの一行。

 『ありがとう、恨んでいません』



74 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:23:59.81 ID:5oF6CZwo

少女「………………」

少女「二郎さん」

少女「泣きます。ちょっと席はずしてもらえますか」

少女「……あ、いや」

少女「ちょっと胸借ります。すみません」

少女「……」

少女「……グス」



76 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:24:42.72 ID:5oF6CZwo

 その夜は、久しぶりに泣いた。



77 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:25:39.87 ID:5oF6CZwo

少女「う、げほ……」

少女「なかなか、強い火ですね。警察に見つかったらまずそうです」

少女「まあ、こんな山のてっぺんにはだれも来ませんが」

少女「……こういうの、お焚き上げっていうんでしたっけ。違ったかな」

少女「何にしろ、天国に届くといいですね。あ、この場合は極楽なのかな?」

少女「ともかく、そちらで二人で読んでください」

少女「じゃあ、二郎さん、いきますよ。――よっこいしょっと」


 ザザザ ボッ……


少女「……」

少女「さようなら……」



78 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]投稿日:2011/01/08(土) 02:26:08.26 ID:5oF6CZwo

配達少女「お届けものでーす」第二部



       ~了~


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[ 2012/03/13 23:50 ] 少女「」 | TB(0) | CM(0)
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