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後輩「ちょっと先輩!晩御飯どうするんですか!」4/5


後輩「ちょっと先輩!晩御飯どうするんですか!」



352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 14:58:12.48 ID:hGFhns7U0
先輩「あー……」

先輩「清々したー……」

先輩(手錠が外れて……なんて快適なんだ……)

先輩(……私は)

先輩(手錠を外してもらって、少しでもあいつに感謝してしまった)

先輩「……外して『もらって』?」

先輩(……まずい)

先輩(まずすぎる)



357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:02:26.05 ID:hGFhns7U0
先輩「おーいっ!」

先輩「誰かぁ!」

先輩「聞こえないのか!」

先輩「助けてくれ! 監禁されてるんだ!」

先輩「おーい!」

先輩「……ダメか」

先輩「壁は防音壁、窓には防音サッシに強化ガラスか? 雨戸まで閉めて……」

先輩「どうなってんだよこの窓の鍵は……絶対に開かねーぞこれは……」

先輩「くっそ……くそったれがぁ……」

先輩「おおおおいい! 誰かぁあああ! 助けてくれよぉおおお!」ドンドンドン

先輩「……そうだ、もっと壁を叩けばいくらなんでも隣に聞こえるはずだ」

先輩「……よし」

後輩「先輩」

先輩「ひっ!」



元スレ
後輩「ちょっと先輩!晩御飯どうするんですか!」





361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:04:17.32 ID:hGFhns7U0
後輩「何やってるんですか」バチバチバチッ

先輩「……か、帰ってたのか」

後輩「どうも、胸騒ぎがしまして」

先輩「……」

後輩「気持はわからなくもないですが……これはちょっとお仕置きが必要ですかね?」バチバチッ

先輩「や、やめろっ!」

後輩「……先輩、自分で手錠をつけてください」

先輩「な、なに?」

後輩「ほら、ベッドの手錠ですよ。こんなんじゃ、あんまり先輩を自由に出来ませんね」


362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:07:24.94 ID:hGFhns7U0
先輩「……」

後輩「ほら、早く」バチバチバチッ

先輩「く、くそっ……」

カチャリ

後輩「しばらく反省しててください」

先輩「くっ……」

後輩「まあ、お仕置きと言いながらこれだけというのも……そうですね。
   あ、心配しないで下さい。痛いことはしないですから。……まだ」

先輩「……」


先輩(チャンスだ。チャンスを待つんだ……)

先輩(絶対ここから脱出してやる……!)



364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:10:35.74 ID:hGFhns7U0
先輩「……おい」

後輩「……なんですか?」

先輩「……飯を食わせろ。こんなやり方って……ないだろ」

後輩「へぇ、意外と早かったですね、弱音が出るの」

先輩「ふざけんな……もう三日も水以外なにも食ってないんだぞ」

後輩「まあ、お仕置きですからね」

先輩「……う、うう……」

後輩「言ってるじゃないですか。逃げようとしてごめんなさいって謝れば、いくらでもご飯作ります。
   それに手錠も外してあげますよ」

先輩「……くそっ……」

後輩「……下手な意地張らないで下さい。私も困ってるんです。ここは、大人しくした方が、先輩のためです」

先輩「……死ねよ、本気で……に、逃げようとしてごめんなさい」

後輩「……もうしません」

先輩「も、もうしません……」

後輩「はい、よく言えました。嘘じゃないですね? じゃあ、すぐご飯作りますからね。手錠は出来てから外しますよ」

先輩「……地獄に落ちろ……」


365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:13:12.77 ID:hGFhns7U0
後輩「はい。沢山食べてくださいね。まあ、お腹がからっぽで、急に食べたら身体に毒ですから、まずはおかゆを少しずつ」

先輩「……」ズッ

先輩「……はぁっ」

先輩(う、美味い……)

先輩(こんなに美味いものは生まれて初めて食ったぞ……)

後輩「どうですか? 美味しいですか?」

先輩「……ふんっ」

後輩「……先輩も、あんなことしなかったら、こんな辛い目しなくて済むんですよ」

先輩「……」

後輩「今夜はご馳走にしましょう。そうだ、カニがいいですね。今の時期なら冷凍しかないでしょうけど……」

先輩「……カニ……」

後輩「楽しみにしててくださいね。あ、手錠はもうつけなくていいですよ」

先輩「……」



369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:15:40.54 ID:hGFhns7U0
先輩「やばい」

先輩「やばい」

先輩「やばい……」

先輩「私は、あいつに手懐けられているのか?」

先輩「……しっかりしろ! 島井みなみ!」

先輩「今の状況わかってんのか!?」

先輩「……くそっ!」


後輩「……」

後輩「……よかった……先輩が折れてくれて……」

後輩「……あのまま先輩が何も食べてくれなかったら……」

後輩「……うう」

後輩「あああああああああああ……」

後輩「……ごめんなさい」

後輩「ごめんなさいいぃ……」



371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:18:58.41 ID:hGFhns7U0
先輩(窓を開けるのは無理だ……あの鍵は壊せない……)

先輩(かといって、室内の扉を壊すのも無理だ……)

後輩「先輩?」

先輩(となると、やはり壁を叩いて助けを呼ぶしかない……)

後輩「先輩? 聞いてますか?」

先輩「……うっ」ビクッ

後輩「今日から、トイレ、普通に使って良いですよ」

先輩「えっ……」


372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:21:58.98 ID:hGFhns7U0
後輩「これまであんな携帯トイレなんかにさせて本当にごめんなさい。今日、廊下の扉にも鍵をつけたので」

先輩「……」

先輩(なにをがちゃがちゃやってんのかと思えば……)

後輩「廊下の扉はトイレの以外は開かないようにしておきます。もちろんトイレの中に窓とかはありませんよ」

先輩「……」

後輩「下手なことは考えないで下さい……私も、つらいですから」


先輩(……少しずつ、人間らしい生活に戻っていく……)

先輩(これがあいつの作戦か)

先輩(……絶対に、乗ってたまるか)


373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:23:09.16 ID:rHWiXxUz0
後輩巧妙すぎる…



374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:25:12.84 ID:hGFhns7U0
後輩「先輩。家に居て暇でしょ。なんか欲しいものはないですか? 買ってきますよ。
   あ、残念ながらパソコンはダメですよ。もちろん。……あ、でもネットに繋がらないのならいいのかな?」

先輩「……」

後輩「でも、それじゃあんまり意味ないですよね」

先輩「……」

後輩「暇つぶしならゲームがいいですかね。PS3かなんか買ってきますか。一緒にやりましょう」

先輩「……」

後輩「でもwiiの方が一緒にやれるのは多いかな? どっちがいいですか?」

先輩「……」

先輩(こいつは、なんのためにこんなことをしているんだ)

先輩(私に何をするでもなし、身代金の要求なんかも……してないだろうな)

先輩(……理解できない)

後輩「あー、あと先輩、今日で正式に会社は辞めてもらいましたから」

先輩「……」ピクッ



376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:28:10.90 ID:hGFhns7U0
後輩「むしろ3ヶ月近くも欠勤してるのに、よく今までクビならなかったですね。私の声真似もなかなかのもんだ」

先輩(もう、仕事なんてどうでもいい……)

後輩「えー、で、先輩のお母さんからも電話がありまして」

先輩「……何?」

後輩「先輩今、自分探しの旅に出てることになってますから。
   なんか案外あっさりしてましたよ。どういう親子関係なんです?」

先輩「……」

後輩「なるべく心配かけないように、ちょくちょく連絡しておきます」

先輩「……そりゃ、ご丁寧なことで」

後輩「じゃあ、ご飯作りますね」


先輩(やはり、こいつが出勤している間にやるしかない)

先輩(隣も勤め人なら辛いが……賭けるしかないな)



378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:30:34.84 ID:hGFhns7U0
ドッドッドッ ドンドンドン ドッドッドッ
先輩「おーい!」

ドッドッドッ ドンドンドン ドッドッドッ
先輩「誰かいないか!」

ドッドッドッ ドンドンドン ドッドッドッ
先輩「聞こえたら返事してくれ!」

ドッドッドッ ドンドンドン ドッドッドッ
ドッドッドッ ドンドンドン ドッドッドッ
ドッドッドッ ドンドンドン ドッドッドッ

先輩「だめだ……留守らしいな」

先輩「次は反対側もやってみるか……」



380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:36:00.01 ID:7Z73TB6FO
ドッドッドッ ドンドンドン ドッドッドッ
ドッドッドッ ドンドンドン ドッドッドッ
ドッドッドッ ドンドンドン ドッドッドッ

先輩「SOSのモールス信号ってこれでいいんだよな……」

先輩「おーい! 助けてくれー!」

先輩「隣で監禁されてるんだよー!」

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン

先輩「駄目かぁ……」

先輩「時間を変えて続けるしかないか……」


382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:41:30.99 ID:7Z73TB6FO
先輩(駄目だ……朝も昼も夕方もまったく反応がない)

先輩(やっぱり直子と同じような生活パターンで出勤してるのか)

先輩(休みの日には一人になれないし……)

後輩「あ、先輩、醤油とって下さい」

先輩「……」スッ

後輩「ありがとうございます」

先輩(……この生活が馴染んできたのが悔しい)

先輩(早くなんとかしないと、本気で慣れてしまう……自分が監禁されていることに)

先輩(どうすればいいんだ?)

後輩「……先輩、ちょっとお話があるんですけど」

先輩「……?」


384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:46:01.07 ID:hGFhns7U0
後輩「確か先輩、約束しましたよね、もう逃げ出そうとしたりなんかしないって」

先輩「……」ビクッ

後輩「……よくないですね、壁をどんどんどんどん叩いちゃ」

先輩「……な、なんのことだよ」

後輩「しらばっくれないほうが良いですよ」

先輩「……」

後輩「監視カメラぐらい、仕掛けます」

先輩「……なっ……!?」

後輩「……これはお仕置きが必要ですねぇ……」バチバチバチッ



387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:52:44.60 ID:hGFhns7U0
カチャ カチャ カチャ
先輩「な、なんだよこれ……」

後輩「動けないでしょ。拘束具? 拘束着? っていうんですか。今は色んなものが手に入るんですねぇー」

先輩「ぐっ……」

後輩「いいでしょこれ。指開かせて無理矢理固定できるんですよ」

先輩「な、なにをする気だ……?」

後輩「……そろそろ、先輩にも身体で分かっていただこうかと」スッ

後輩「なにしろ、口で言っても理解してもらえないようなので」

先輩「……は、針?」

後輩「……拷問の定番といえば、爪の間に針、ですよね」



390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:55:52.06 ID:hGFhns7U0
先輩「なっ!?」グッ

後輩「こんなこと、したくなかったんですけどね」

先輩「やっ、やめろ!!」

後輩「残念ですよ」

先輩「わ、悪かった! 私が悪かった! もう、逃げ出そうとか、助けを呼ぶとかしないから!」

後輩「……言葉じゃもう信じられないんです」

先輩「やめろ! や、やめてくれ……」

後輩「……力抜いた方が、多分まだマシですよ」スッ


392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 15:59:10.19 ID:hGFhns7U0
後輩「……い、行きますよ」プルプル

先輩「やめろ……頼むから……」

後輩「うっ……ううううう!」グッ


ブツリッ ググッ


先輩「う、うぁああああ!」

後輩「はぁっ……はあっ……」

先輩「うううっ!」

後輩「はっ……はあっ……や、やっぱり、つ、爪はやめておきましょうか」

先輩「う、……あ?」

後輩「それでも、指先をこれだけ刺さってたら十分痛いでしょ……」

先輩「あっ、あああ……」


397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:02:12.95 ID:hGFhns7U0
後輩「抜きますよ……」

ズブッ

先輩「うっ! ……いちぃいいい」ポタポタ

後輩「はぁっ……はぁっ……先輩、もうあんなことしないって約束してください」

先輩「……」

後輩「お願いです。お願いですから、約束してください……私、もう嫌です……」ポロポロ

先輩「……」

後輩「約束してくれないと……本当に爪に、刺します」

先輩「……や、約束する。もう、逃げ出そうとしたりしないから……」

後輩「あ、ありがとうございます。じゃあ、指きりげんまん……」

先輩「……」

後輩「……もう、嘘はつかないで下さい。今度嘘をついたら……もう二度とこんなことできないようにしますから」

先輩「……」



399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:07:31.62 ID:hGFhns7U0
後輩「ほ、包帯巻きますね。けっこう血が出てますから……」

先輩「い、いちちち……」

後輩「……ご、ごめんなさい」

先輩「……謝るくらいなら、はじめからすんなよ、こんなこと……」

後輩「……拘束具も、外してあげます。手錠も……もういいです」


先輩「いってー……」

後輩「……ごめんなさい」

先輩「……」

後輩「……私はもう寝ますから……」

先輩「……」

後輩「……先輩、一応言っておきます」

後輩「壁なんか叩いたって無駄ですよ」

先輩「……」

後輩「この部屋の両隣も、上の部屋も、下の部屋も……全部私が借りてますから」



405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:10:40.59 ID:hGFhns7U0
先輩「……!?」

後輩「知ってるでしょ……うちは、お金持ちなんです。最近どばっと臨時収入がありましてね。
   先輩の声も、壁を叩く音も、誰にも聞こえません」

先輩「……お、お前っ……」

後輩「……おやすみなさい」

先輩「……」ペタン


先輩「……あいつは」

先輩「本当におかしくなっちまったのか……」

先輩「……どうして」

先輩「……どうして……」



409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:15:36.19 ID:hGFhns7U0
先輩「……あ」

先輩(宮古島の写真……まだ飾ってたのか……)

先輩(今まで見ようともしなかったけど……)

先輩「……」

先輩「この頃は……」

先輩「こんなに楽しかったのに……」

先輩「……」

先輩「あんなに、楽しかったのに……」

先輩「……うう」

先輩「……うううー」ポロポロ

先輩「うぁああああん……」

先輩「なんでだよぉ……」



414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:20:39.07 ID:hGFhns7U0
後輩「……」ゴクゴク

後輩「全部」

後輩「計画通り」グビグビ

後輩「……全部」

後輩「……決めてたこと」

後輩「……」ゴクゴク

後輩「最悪だ」

後輩「最悪だ……」グビグビ

後輩「……レポートじゃないんだから」

後輩「止めれば、良かったんだよ」

後輩「……途中で、止められたんだよ」

後輩「うっ……おええぇっ」ビチャビチャ

後輩「はぁっ……はぁっ……」

後輩「先輩……ごめんなさい……」



416 名前:そろそろ終盤です[]投稿日:2011/10/10(月) 16:25:34.13 ID:hGFhns7U0
先輩(……眠れない)

先輩「なんか飲むか……」

先輩(私用の冷蔵庫や電子レンジまで用意して……至れり尽くせりだよな。そこらのホテルなんかよりよっぽど)

先輩(……この部屋から出られさえすればな)

先輩「ホットミルクでも作るか……」

ガチャ

先輩「ん?」

後輩「……」

先輩「……」

先輩(なんだ、こんな夜中に……な、なにもしてないぞ、私は……)



418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:30:11.33 ID:hGFhns7U0
先輩「……なんだよ?」

後輩「……」ボスッ

先輩(……そのベッドで、お前は私に拷問したんだぞ、わかってんのか?)

後輩「……先輩、こっち来てください」

先輩「……ッ?」ビクッ

後輩「……大丈夫です、何もしませんよ」

先輩「……」

後輩「嫌なら……別に良いですけど」

先輩(なんか、様子がおかしいな……)

先輩「……」


420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:35:03.09 ID:hGFhns7U0
後輩「……」

先輩「……」

後輩「……私のこと、恨んでますか?」

先輩「……当たり前だろ」

後輩「そうですよね……ごめんなさい」

先輩「謝るぐらいなら、はじめからするな。謝るくらいなら、ここから出せ。そうじゃなかったら、謝るな。
    私にお前を、心の底から憎ませろ」

後輩「……ごめんなさい」

先輩「……」

後輩「……先輩、もっと、くっついていいですか?」

先輩「……あ?」

後輩「先輩……」

ギュッ



422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:39:02.14 ID:hGFhns7U0
先輩「……」

後輩「……細くて、あったかい」

後輩「先輩」

後輩「先輩……」

後輩「先輩、好きです」

先輩「……」

後輩「……好きなんですよ……」

先輩「……」

後輩「先輩……」スッ



425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:45:18.24 ID:hGFhns7U0
先輩「……んっ、んん……」

後輩「んうっ……んん……」

先輩「……んぐぅ……ぷはっ」

先輩「……息できねーだろ」

後輩「先輩……ん」

先輩(やわらかい……)

後輩「んじゅぅ……んんん……」

先輩(口の中で、舌がうねうねして気持悪い……)

先輩(でも……なんか頭の真ん中が……ぼーっとする)

先輩(……ああ、なんかもう……)

先輩(どうでもよくなってきた……)

後輩「先輩……」



428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:50:31.39 ID:hGFhns7U0
後輩「……私達、もっと早くこうしていればよかったですね」

先輩「……」

後輩「そうしたら、こんなことにはきっとならなかったんじゃないかと……」

先輩「……」

後輩「……どこで、間違えたんでしょう、私は」

先輩「……」

後輩「……私は、先輩が欲しい」

後輩「どこの誰にも、会社にも仕事なんかにも、先輩を取られたくないって……」

後輩「ただそれだけだったはずなのに……」



430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 16:57:11.94 ID:hGFhns7U0
先輩「……」

後輩「……私は、先輩を自分のものに出来たら、どんなに楽しいかと思ってました」

後輩「でも、でも……こんなの……楽しくないです……全然……」

先輩「……」

後輩「帰りたい……」

後輩「学生時代に帰りたい……」

先輩「……」

先輩「……私もだよ」

後輩「……」

後輩「私達、もっと早く、こうなれていればよかったのに……」


先輩(そう)

先輩(何もかも、もう遅すぎる)

先輩(……遅すぎたんだ)



433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:02:07.18 ID:hGFhns7U0
先輩「ご馳走様」

後輩「デザートにリンゴでも切りましょうか」

先輩「うん」

先輩「……」

先輩(もう、一年か)

先輩(私がいなくても、季節も、世間もちゃんと回って行くんだな)

先輩(お母さんやお父さんは私のこと、本当に知らないんだろうか……)

先輩(本当に、自分探しの旅だなんて信じてるのか?)

先輩(……どういう風に娘のことを見てるんだか)

後輩「先輩、はい、切れましたよ」

先輩「ああ、ありがとう」

先輩(最初のうちは逃げようと頑張ったが……その度にこいつに『お仕置き』されて……それから……)

先輩(……もう、疲れた)

先輩(もう、何も考えたくない)


434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:02:54.50 ID:p/pTC/6k0
なんだろな
アレ思い出した
先輩(男)と後輩(女)がなぜか同棲してて後輩が飲み会でやられちゃったヤツ


436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:04:17.73 ID:XkP0PT210
何でもできるけど何もやらない先輩か

448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:15:37.66 ID:N8hETjs2O
>>434
なにそれkwsk

 
451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:17:55.97 ID:5wAHLToR0
>>448
後輩「センパイ、今日何食べたいですか?」

後輩「センパイ、今日なに食べたいですか?」 1/4


 
437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:04:49.05 ID:hGFhns7U0
後輩「うわっ、すっぱ」

先輩「安モン買うからだよ」

後輩「今月厳しいんですよ~」

先輩(……もう、一生、このままでも……)


後輩「はぁー、落ち着いちゃう前に、洗い物しちゃお」

先輩「……私がやろうか?」

後輩「いやぁ、いいですよ。私の仕事ですからね」

先輩「……」

先輩「……ん?」

先輩「……ナイフ?」

先輩「そうか、あいつリンゴ剥いたまま……」スッ

先輩「これは……」ドクンッ

先輩「……チャンスかもしれない」ドクンッ



 
441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:08:18.78 ID:hGFhns7U0
先輩(……今なら)ドクンッ

先輩(あいつをやれる……)ドクンッ

先輩(ここから、出れる……ッ!)ドクンッ

先輩(不思議だ……さっきまで、完全にあきらめていたのに)ドクンッ

先輩(今は……違う)ドクンッ

先輩「なんだ……この気持ちは」ドクンッ

先輩「……」

先輩「……嫌な、気持ちだ」

先輩「……でも」

先輩「……今しかない」



446 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:13:40.33 ID:hGFhns7U0
ジャージャーカチャカチャ
後輩「んーんー……んーんんー」

先輩(相変わらず音痴だな)

先輩(こっち、向くなよ……ッ!)

先輩「……ふっ!」

後輩「ああ、そういえば先輩、この間言ってた……」

先輩「死ねっ!」ブンッ

後輩「きゃぁああああ!」ガタンッ

先輩「くそっ! 待てっ!」

後輩「せ、先輩!」

先輩「お前なんか、お前なんかぁあああああ!」ブンッ

後輩「……先輩のアホーーーーー!」

バチィッ!!

先輩「あがぁああっ!」

 

449 名前:注意:ここからまた痛いです[]投稿日:2011/10/10(月) 17:16:48.18 ID:hGFhns7U0



後輩「はぁっ……はぁっ……」

先輩「あっ、がっ……!」

後輩「はぁっ……はぁっ……」

先輩「か、あ、が……!」

後輩「先輩……」

後輩「……先輩……」

後輩「……どうして」

後輩「……もう、終わりですか。私達は」

先輩「あっ、なっ、お……こっ……」

後輩「……嫌ですよ。こんなのは」

後輩「……約束を破る人には……」

後輩「……お仕置きです」


454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:20:43.85 ID:hGFhns7U0
カチャ カチャ カチャ
後輩「またこの拘束具を使わなきゃいけないなんて……」

後輩「がっかりですね」

先輩「……」

後輩「ほら、指広げてください。無駄な抵抗はやめて」

先輩「……今度こそ、爪に針か?」

後輩「……いえ」

ゴトッ

先輩「……? おい、なんだよ、それは……」

後輩「見て分かりませんか? 出刃包丁とトンカチです」

先輩「……何をする気だ」

後輩「……約束も守れないような、そんな指、切っちゃいましょう」

先輩「……なっ」

後輩「カニの足と、同じようなもんでしょ? 切れますよ」

先輩「……お、まえ……!」


460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:24:01.01 ID:hGFhns7U0
先輩「嫌だ! やめろ! やめてくれ! 悪かった! 私が悪かった!」

後輩「……決めてたことですから」

先輩「どうかしてたんだ! 二度とあんなことしないから!」

後輩「……包丁を小指の間接にあてて」

先輩「ずっと! ずっとここにいるから! 一生一緒にいるから! やめてくれ!」

後輩「……刃の背を、トンカチで、叩く、と」

先輩「なおこぉ……ゆるして……ゆるしてくれよぉ……」

後輩「先輩……」ポロポロ

先輩「直子ぉ……」

後輩「……後で、私のことを、殺して良いですから」ポロポロ

先輩「なおこ……」

後輩「憎しみもうらみも痛みも、全部私に返して良いですから」ポロポロ

先輩「や、めろ……」

後輩「これはやらなきゃいけないんですよぉおおおお!」


461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:24:13.45 ID:3by3Tv3I0
こんなのおかしいよ


462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:24:15.07 ID:D2ynKYDv0
おいばかやめろ
純愛ルートを断つなああああああああ


463 名前:忍法帖【Lv=24,xxxPT】[]投稿日:2011/10/10(月) 17:25:03.27 ID:dSAsFYXo0
どうしてこうなった……


465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:25:32.17 ID:LRI700oz0
読みたくないけど読みたい


466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:26:14.40 ID:HXXQPdbl0
      /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄
  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ
ウううううううぉぉぉぉあああああああああー!


467 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:26:42.71 ID:zIheH6P/i
      /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄
  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ
ウううううううぉぉぉぉあああああああああー!


469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:27:23.06 ID:hGFhns7U0



ブンッ

ガンッ

ばつんっ


先輩「ッ……ッ!!!!」

後輩「……ううううッ!」


473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:29:32.18 ID:hGFhns7U0
先輩「ぁ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! 」

後輩「ほ、ほんとに切れちゃった……」

後輩「うっ……ううっ……おえええっ……」

先輩「ああ……ああ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」

後輩「せ、先輩……」

先輩「ひぃ、ひぃ……ああああああ゛あ゛あ゛あ゛!」

後輩「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

先輩「あー、あー、あー……」

後輩「血を、血を止めなきゃ……血を止めなきゃ……血を……」

先輩「うううう……い゛い゛た゛あ゛い゛い゛い゛い゛! 触るなぁああああ!!」

後輩「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……でも血を止めないと……」

先輩「はぁーっ……はぁーっ……なおこぉ……なおこぉ……いだいよぉ……」

後輩「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

先輩「なおこぉおおお……なあああぉおおおこぉおおおおおお!!」

後輩「先輩……先輩……ごめんなさい……ごめんなざいいぃいいい……」


474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:30:13.76 ID:hGFhns7U0
先輩「ひぃー、ひぃー……」

後輩「はぁ……はぁ……せ、先輩、病院行きましょう」

先輩「ひぃ……あ? そ、そんなことしたら……うっ、うぅ」

後輩「いいから、いいから行きましょう……くそっ、外れろ! 外れろ!」カチャカチャ

先輩「ううう、ゆらすなぁあああ」

後輩「は、外れましたよ。さあ、早く、タオルはそのまま押さえて、私の車に……」

先輩「いたいよぉ……いたいよぉ……なおこぉ……」

後輩「大丈夫です。大丈夫ですから。大丈夫ですから……」

先輩「うう……ううう……なおこぉ……」
 

478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:31:34.13 ID:arG/IUdo0



ここまでされたら痛みなんて感じなさそうだけどな



480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:32:05.77 ID:hGFhns7U0
後輩「その、カニを食べようとしていて、包丁で切ろうとしたんですけど、手が滑ったみたいで……」

医師「ほう、カニをね……それで、切れた指は?」

後輩「えっ……?」

医師「切れた指があれば縫合できるかもしれません」

後輩「あっ、えっ、あっ……と、取ってきます! すぐ持ってきます! わ、私慌てて、その、あの……」

医師「落ち着いてください。指はビニール袋に入れて、氷を入れた袋に……」

後輩「すぐに、すぐ戻ってきます! すぐ戻ってきますから!」ダッ

医師「あっ! ちょっと!」

医師「……大丈夫かな」

看護婦「先生、準備整いました」

医師「よし、とりあえず止血して、感染症予防処置を……」

482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:33:44.85 ID:hGFhns7U0
後輩「指! 指ぃ! 先輩の指ぃ!」バタバタ

後輩「どこ!? どこにあるの!?」バタバタ

後輩「無い……無い……無いっ!」ガタガタ

後輩「何で無いの!? どこに……」ガタガタ

後輩「おちつけーおちつけーおちつけー、先輩を押さえて、縛って、包丁をあてて、トンカチを……」

後輩「ト……ン……カ……チ……を……」

後輩「あああああああああああああ!!!」

後輩「ごめんなさいぃいいいい!!!」

後輩「どこぉおお!? どこに行ったの!? 先輩の指ぃいいいい!」バサバサ

後輩「先輩の……先輩の……」

後輩「私が切った……」

後輩「先輩の……指ぃいいいい!!!」


484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:35:22.83 ID:hGFhns7U0
先輩「うう……」

医師「大丈夫ですか? もう血は止まりましたからね」

先輩「……」

医師「今、あなたのお友達が切れた指を捜しに行ってくれていますよ。ちゃんとくっつきますからね」

先輩「……」

医師「……えー、それで何故こんな怪我を? なにをしていたんですか?」

先輩「……えっ?」

医師「工場で勤務されている方が指を切断する事故というのは、割と良くあるんですが、女性の方が自宅でとは……」

先輩「……えっと」


486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:37:36.22 ID:hGFhns7U0
先輩「その、カニを……」

医師「カニ?」

先輩「カニを、鍋に入れようと思って、力任せに切っていたら、指まで包丁の下に入って……」

医師「……ふむ」

先輩「その、それだけ、です」

医師「……なるほど、分かりました。……それにしても、ちょっと遅いですね。お友達は」


後輩「……無いよ……」ポロポロ

後輩「……無いよぉ……」ポロポロ

後輩「……先輩の指……」ポロポロ

後輩「……うぁあああああん……」


先輩「……」

先輩「……なんで、私は……」


489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:42:23.95 ID:g5cc2EU10
長期間監禁されてると、逃げられる状況になっても逃げない心理状態になるというが


490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:42:29.93 ID:hGFhns7U0
私は監禁されている。大学の後輩に、もう、1年と半年も。

指は結局くっつかなかった。直子が指を捜すのに手間取って、しかも冷やさずに病院まで持ってきたかららしい。

「先輩、晩御飯どうしましょうか」

「あー、なんでもいいよ。カップ麺でいいんじゃねーの」

「駄目ですよそんなんじゃ」

退院した私を迎えに来た直子は、マンションの部屋に戻るなり、私に包丁を渡した。これで私を殺せ、と言って。

もちろん、私にそんなことは出来なかった。

「それに、もうカップ麺残ってませんよ。先輩お昼に食べたでしょ?」

「そうだっけ? お前も食っただろ」

「私はちゃんと自分の分作りましたよー、お昼」

私は知っている。

夜毎、一人浴びるように酒を飲んでは、狂ったように懺悔の言葉を叫ぶ直子のことを。

「っていうか、たまには先輩がご飯作ってくださいよ」

「えー、やだよ面倒くさい」

私の腕に抱かれ、必死に現実逃避をするように、嬌声と呻き声を交互に繰り返す直子のことを。


491 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:43:31.21 ID:hGFhns7U0
何故直子が私の指を切らなければならなかったのか、直子がなにを考えていたのか、それはわからない。

ただ、もう部屋の窓にも扉にも、鍵はかけられていない。それどころか、玄関の扉だって、自由に開ける事が出来る。

もちろん、手錠や拘束具で繋がれる事も、ない。

だけど、私は、相変わらず監禁されている。

私は……私の心も、身体も、全て直子に壊されてしまった。

私はもう外の世界では生きられない。この、下界から断絶されたマンションの一室でしか、私は生きられない。

「ほら、冷蔵庫にあった野菜やなんかででっちあげましたよ」

「おー、すげーじゃん」

「ただ、味はどうかな……」

「……うん、まあ、個性的でいいんじゃねーの」

「……そりゃ光栄です」

こんな会話は、単なる憧れだ。芝居だ。私が、直子が、ずっと憧れていた会話だ。

――私達は、かつてはこんな会話を、なんの気負いも無く、なんの演技も無くこなしていたはずだ。

あの、オンボロの学生寮に、いた頃は。


492 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:44:35.50 ID:hGFhns7U0
「そんなに言うなら、今度は先輩が作ってくださいよ」

「えー、めんどくせーな。キャラメル食って水で腹膨らませとけよ」

「……いやいやいや」

私達の未来に待っていることなど、分かっている。

どんな形にせよ、それは早いか遅いかだけで、いつか必ずやってくる。

「あー、なんか大学が懐かしいですねー」

「……そうだな」

私達は、後ろを向いたまま、破滅へと歩いている。

決して、前を見ようとせずに、ただ、あの美しかった過去だけを見ている。

それしか、私達が生きていく道が、ないから。絶対にそこには戻れないというのに。

そう、私達はもう、何処にも戻れない。何処にたどり着くことも出来ない。

私達はもう、何もかもが手遅れだ。

ただ、いつまで歩いていられるのか。どこに、破滅への落とし穴があるのか。

それだけだ。


497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:47:13.40 ID:hGFhns7U0
ピンポーン
先輩「……」ビクッ

インターフォン「宅配便でーす」

後輩「はーい」

後輩「えーっと、一応奥にいてくださいね」

先輩「分かってるよ」


ピンポーン
後輩「はいはい、ちょっと待って」

ガチャ
後輩「ご苦労様で……」

刑事「失礼」ズズイッ

後輩「なっ……!?」

刑事「騙すような手を使って申し訳ない。廣田直子さんですね。我々は警察の者です」

後輩「け、警察……」

刑事「何故来たかわかりますね。この部屋に捜索令状が出ています。ほら、これよく読んで」

後輩「捜索令状……」


503 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:50:30.98 ID:hGFhns7U0
刑事「逮捕監禁及び傷害の容疑です。あなたが人を監禁しているということで。
    傷害については医師から通報が……いえ、それよりも中を調べさせてもらいます」

後輩「……ッ! 先輩! 逃げて!」ダッ

刑事「! 取り押さえろ!」

後輩「うぅうっ! 先輩! 先輩!」

刑事「さっさと調べろ! 中にいるはずだ!」


ドタドタドタ
先輩「直子、どうし……」

警官「いたぞ!」

先輩「ひっ!?」


504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:52:31.93 ID:hGFhns7U0
警官「大丈夫ですか!?」

警官「さあ、こっちに!」

先輩「な、なんだよお前ら! おい! 直子! 直子! どうしたんだ!」

後輩「先輩!」

刑事「よし! 廣田直子、逮捕監禁の現行犯で逮捕する!」

先輩「直子! やめろ! おいコラジジイ! なにやってやがんだ! 直子を放せよコラァア!」

警官「大分錯乱してるぞ!」

警官「落ち着いてください!」

先輩「放せ! なんだお前ら! 直子! 待て! 直子をどこに連れて行く気だ!」

刑事「なにをやってるんだ! はやく保護しろ!」

先輩「直子! 直子ぉおおおお!」

後輩「せんぱぁあああああい!!」


509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:54:47.42 ID:hGFhns7U0
「みなみ! よかった……本当に良かった!」

「だから俺は言ったんだ! 突然自分探しの旅だなんておかしいって!」

「ゆ、指が……ああ、なんてこと……」

「1年半も監禁されていただなんて……とにかく、命だけは無事でよかった」

「あなた! みなみの指が切られているんですよ! それをよくも無事だなんて!」

「何を言っているんだ! 殺されていてもおかしくない状況だったんだぞ!」

先輩(……ああ)

先輩(うるさい……)

先輩(なんてうるさいんだ……)

「大丈夫だからね、みなみ。これから、いくらでも人生やり直せるから……」

「とにかく、まずはゆっくりうちで休め。辛かっただろう。本当に辛かっただろうな……」

先輩(……うるさい……うるさい……)


510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:55:50.95 ID:hGFhns7U0
「じゃあ、最初の1週間、手錠でつながれてたんだね?」「絶対に許せないわ。死刑よ! そんな女は……」「ふんふん、なるほど」

「弁護士に相談を……」「島井さん! 監禁されてたって本当?」「みなみ、何でも好きなもの食べていいからね」

「お前と相部屋だった女なのか。だから俺は寮なんかより一人で暮らした方がいいと……」「そいつイカレてるんじゃないの?」

「みなみん! ニュース見てびっくりしたよぉ~」「で、君には他に何もしなかったの?」「おい、外の記者どもをおっぱらえ!」

「……を一年六ヶ月にわたり監禁していた容疑で25歳の女を逮捕……」「先輩! ニュースで……まさか廣田が……」

「これからどうすんの?」「じゃ、これにサインして」「うーん、もちろん気の毒だとは思っているけど、やっぱり再入社は……」

「へぇー、ちゃんと皮膚で覆われるんだね」「痛かった?」「何されたの?」「……なんでそんなかばうようなことを言うのかね」

「手錠かけられたって?」「逃げ出せなかったの?」「なんでそんなことを……」「廣田さんがそんなことをするなんて……信じられない……」

「大学の後輩だったんだって?」「あんまりそういうことは言わないでもらいたいねぇ、こちらとしては」「辛かったろうねぇ……」

「なんでそんなことになったんだ?」「廣田容疑者は一貫して黙秘を……」「そういうのをストックホルム症候群とだね……」

「逃げようと思えば逃げられたんでしょ」「かわいそう……」「大丈夫で良かったね」「指不便じゃない?」

先輩(うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい……)

先輩(帰りたい……帰りたいよ……)

先輩(もう……いやだ……)


511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:57:36.16 ID:gYqpuWj10
ほんと人間って残酷だよな
悪気がないんだぜ?



512 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:58:45.49 ID:hGFhns7U0
刑事「だからぁ、どうしてこういうことをしたんだ。動機だよ、聞いたことあんだろ。動機」

後輩「……」

刑事「けっ、延々と黙秘権の行使ってか。小娘が味な真似をなぁ」

刑事「……警察を舐めてんじゃねぇぞこらぁ!!」バァン!

後輩「……」

刑事「ちっ……耳が聞こえねぇのかてめぇは。……それとも、自分が仕出かしたことがわかってねぇのか」

後輩「……」

刑事「……お前の監禁していた女だがよぉ」

後輩「……」ピクッ

刑事「ビルから飛び降りたんだぞ」

後輩「……っ!? なっ……ど、どういうことですか!?」ガタンッ

刑事「そのまんまだよ。ビルからぴょーん、ひゅー、ぐちゃーで、今も意識不明だ」

後輩「そんな……そんな……」

刑事「……お前が殺したようなもんだな」

後輩「先輩……先輩……せん……ぱい……」


513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 17:59:28.00 ID:arG/IUdo0
ストックホルム症候群だよって言われる側はこういう心境なのかな
なんか本気で鬱ってきた


516 名前:注意:ここからまた痛いです[]投稿日:2011/10/10(月) 18:00:32.25 ID:hGFhns7U0
「……など極めて入念な計画による犯行というべきである。また、被告人は監禁されている部屋よりの脱出を試みるという被害者として

 当然の行為に対して『お仕置き』と称し、指に縫い針を刺したり、手錠を用いて拘束し食事を与えないなどの著しい虐待行為を行い

 挙句に左手小指を第二間接より切断するという残虐な傷害行為に及んでいるが、これは、被害者の反抗心を抑圧し脱出

 救出への望みを絶とうという極めて身勝手な動機によってなされたものであり、被告人本人が行為の際に心苦しいとの

 罪悪感に苛まれていたとはいえ、むしろその罪悪感によって行為を中止しなかった点においても、強い非難に値する。

  このように被告人の刑事責任は重大なものであると言わざるを得ない。
  
  他方、犯行当時、被告人が父親の人脈により就職した勤務先において孤立し、人間関係などに悩みながらも相談する相手も無く
 
 大学時代の先輩である被告人にも、図らずとは言え度々食事等の誘いを断られ、ここに父親の死去という事情も重なって

 鬱状態に近いほど精神的に追い詰められた状況にあったこと、ある時期以降は室内の鍵を全て撤去し被害者が出て行こうと思えば出て行ける状況に

 あったのに、被害者は自らの意思で留まっていたこと、被害者の小指を切断した際に犯行の発覚の恐れをも省みず
 
 自ら被害者を病院に搬送したこと、また実際にこのことが事件発覚の端緒となったこと、さらに被害者より寛大な処分を求める嘆願書が

 繰り返し提出され、被害者が自殺未遂を図った際の遺書にも同趣旨の記載があるなど、被告人に酌むべき事情が存在する。

 また、被告人は被害者の監禁中において、度々多量の飲酒をし前後不覚になりながら、被害者への謝罪や後悔の言葉を繰り返しており、

 警察官による取調べや公判廷においても、落涙しながら必死に被害者への謝罪の言葉を述べ、さらには、既に被害者へ被害弁償金として

 500万円を支払い、被害者への償いに生涯を奉げる旨の供述をするなど、心からの真摯な反省悔悟が窺える。これらの点に加えて被告人は25歳と若く、前科もないものであり……」


520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:02:16.73 ID:hGFhns7U0
病室のテレビが、ある裁判の判決を伝えている。

あんなことをして、刑はこんなものなのか。裁判のことは良く分からない。

女が女を監禁していたということで、ほんの少しだけ、世間の好奇の目が私達に集中した。

だがどうせ、皆、明日起きれば私達のことなんか忘れている。世間にとって私達にはその程度の価値しかない。

それでも、逮捕直後に連行されていく直子の姿をテレビで見たときは、頭の真ん中でめまいがした。

――直子は悪人じゃない。

ただ、間違えただけだ。

悪人なんて、この世にはいない。

皆、どこかで間違えるだけだ。

ただ、一度間違えたら、もう間違える前には絶対に戻れないのも、この世だ。

それでも人は間違える。

直子は、ただ間違えただけだ。


521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:02:48.83 ID:hGFhns7U0
めまいは、ずっと続いている。

私はもう二度とまともに歩けないらしい。

あのめまいにやられて、飛び降りたことは、後悔していない。

――私は帰りたかった。あの、薄暗いマンションの一室に。

あの、カビの臭いがする、寮の相部屋に。

私は、ただ帰りたかった。帰れると、思った。

結局帰れは、しなかったけれど。


これから、どうしよう。

直子は私から、なにもかもを奪ってしまった。

あの美しかった過去すらも、私にはもう残っていない。

私にはもう、帰れる場所も、帰りたいと願う場所すらも無くなってしまった。

だというのに、私は生きていかなければならない。

「……キツイな」

テレビはもうとっくに何の関係もない次のニュースに移っている。


522 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:03:12.64 ID:hGFhns7U0
この責任は、全部、直子にとらせる。

あいつが出所するその日に、一番に迎えに行ってやる。

そして、今度は私が、あいつの全てを手に入れてやる。

私の人生を、全部あいつに背負わせてやる。あいつの人生を、全部私のものにしてやる。

泣こうが喚こうが、ずっと、一緒にいてやるんだ。

きっと苦しいだろうな。あいつも、私も。

だがまあ、あいつのしたことの代償としたら、妥当な所だろう。

無いはずの左手の小指が、ずきりと痛い。


「……あ、そうだ」

「パリ、行ってねー」

よし、とりあえず当面の生きる目的が出来た。

それまで、どうしよう。

どうにかするか。

どうにかなるだろ。

たぶん。


524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:04:26.44 ID:hGFhns7U0
これで終わりです。
保守してくれた人ありがてぇ。そしてごめんなさい。いやマジで。


527 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:05:24.86 ID:UA7UBlsm0
乙おつー


528 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:05:28.39 ID:3by3Tv3I0
乙カレー
まぁ・・・うん、お疲れ



 
532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:06:11.59 ID:/7ZZVAqK0
乙‼‼


533 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:06:34.04 ID:r3UlZumW0
で ハッピーエンドのifは?


534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:06:35.28 ID:B7n18OaS0
パラレルはループするのが筋だろう?

536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:07:05.20 ID:9LoPlTSo0

さぁロードしようか

539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:07:58.96 ID:gYqpuWj10
せめて指切らなければ病院に行く事もなく警察がくる事もなかった


540 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:08:13.34 ID:BpeGSXT10
どうしてこーなった……
とりあえず乙でした


541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2011/10/10(月) 18:08:23.63 ID:vcs2gTK10
俺は赤色でお願いします


542 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:09:01.42 ID:gYqpuWj10
まぁあれだ





543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/10(月) 18:09:56.56 ID:05Wlmsih0
>>524

さ、並行世界にちゃっちゃと行きましょ


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[ 2012/03/05 22:32 ] 先輩「」or後輩「」 | TB(0) | CM(0)
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