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狐娘「今宵旦那様の床のお相手をさせて戴きます」2/3


狐娘「今宵旦那様の床のお相手をさせて戴きます」



97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:04:28.75 ID:CRSRIyE50



男「おい、狐娘はいるか」

客引きの少年「あれま、旦那お久しぶりでございやすな。狐娘でいいんですかい?」ヘラヘラ

男「ん、案内してくれ。」

客引きの少年「はいはい、此方へどうぞ」ヘラヘラ

男「…お前の笑顔は不気味だな」

客引きの少年「ええ、そうですかい?初めていわれやしたよ。今日は親方様は一緒ではないんですねえ」ヘラヘラ

男「ああ、今日は一人だ。何か問題あるか?」

客引きの少年「いいええ、滅相もない」ヘラヘラ



元スレ
狐娘「今宵旦那様の床のお相手をさせて戴きます」



99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:06:25.81 ID:CRSRIyE50

ヒタヒタ…ヒタヒタ… …ヒタ

客引き「此方になります。どうぞごゆるりと…」ヘラヘラ

シュルシュル… ギシッ

狐娘「今宵、旦那様の床のお相手をさせていただきます、狐娘と申し―――」

男「狐娘」

狐娘「男様!…いらっしゃいませ」フワリ

男「こっちから会うのは久しぶりだな」

狐娘「もう座敷へは来て下さらないのかと思いましたよ」

男「金が無かったんだ。仕方ないだろう」

狐娘「ふふ」クスクス

男「…」カァ

狐娘「男様?」

男「(…いつ渡そう)」


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:09:03.46 ID:CRSRIyE50

狐娘「…如何か致しましたか?」

男「あー…お前」

狐娘「はい」

男「お前、ええと、…、お前のその目って普通に見えるのか?」

狐娘「普通に…とは?」キョトン

男「若干こう、…白みがかってたり」

狐娘「あはは、しませんよ。貴方達の目は世の中が黒ずんで見えているわけではないのと同じように」コロコロ

男「…言われてみれば確かにそうだ。」

狐娘「もしや男様、緊張しているのですか?」

男「……え」




 
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:10:56.90 ID:CRSRIyE50
狐娘「見ていれば解りますよ。男様はとても解り易いお方」クスクス

男「…っ」

狐娘「男様?」

男「き、狐娘」

狐娘「?はい」

男「良かったら、受けとってくれないか」

狐娘「え…?」

男「…いらなかったら、捨ててくれて構わない」

狐娘「私に、ですか?これを、私に?」

男「…ああ」



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:13:10.80 ID:CRSRIyE50
男「…ああ」

狐娘「…」

男「…」

狐娘「……嬉しい」

男「え…」

狐娘「綺麗…、とても、綺麗」


106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:15:02.60 ID:CRSRIyE50
男「(そんなにも、嬉しそうに笑われたら)」

男「(そんな風に顔を赤くされたら)」

男「(触れてしまいたくなる)」

男「(恋しい。)」

狐娘「男様、ありがとう、ございま―――」

ギュゥッ


109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:17:04.04 ID:CRSRIyE50

狐娘「男様?」

男「好きだ」

狐娘「え…」

男「お前のために会いにきていただなんて嘘だ。いや、最初は本当だった。しかし」

男「会うたび、想いが強くなった」

男「会いたかったのは俺の方だ」

狐娘「…」

男「…」

狐娘「…男様」

男「…」


112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:19:00.16 ID:OhXzMkRa0
江戸時代の吉原で身請けする場合20両~1000両らしい
一般人の年収が5両程度
たけええええええええええ



113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:19:11.22 ID:CRSRIyE50
狐娘「本当、ですか」

男「…」

狐娘「嘘、ですか」

男「…っ」

狐娘「…許さない」

男「えっ…」

狐娘「いくら、男様と言えど、言っていい、冗談と、悪い、冗談が、あるっ」ポロポロ

男「…狐娘」

狐娘「そんな、こんなに、優しくされて、こんなの、初めてなのに、ッ…そんなことを言われたら、あ、あたしははどうしたらいいんだっ」

男「狐娘」

狐娘「あたしだって、あたしだって解ってるんだっ、あたしは、化け物が、恋簿の気持ちをっ、抱いたところで、受け入れてッ貰えないなんて!」

男「狐娘!」


116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:21:19.75 ID:CRSRIyE50
男「狐娘!」

狐娘「…ッ」

男「嘘じゃない」

狐娘「男さ…」

男「好きだよ」チュ…

狐娘「ん…っ」

男「好き、好きだ」

狐娘「本当?…本当?」

男「…この状況で嘘をつける程、俺は器用じゃねえ」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:22:58.28 ID:CRSRIyE50
狐娘「ぁ…」

男「本当に、好きだよ」

狐娘「あたしも………でも、」

男「でも?」

狐娘「あたしが、…此処へ来た理由を知っても、男様は、あたしを、好きだと…言ってくれる?」

男「…理由?」

狐娘「……そう、理由。」




118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:25:00.51 ID:CRSRIyE50

狐娘「私は、貧しい一族の出なのです。」

狐娘「私達の一族は、額に大きな紋様があり、茶色の髪が特徴で、女のみが淡い銀色の瞳を持っているのです。」

狐娘「女しか持ち得ないその瞳の色は、一族の誇りで、夜に光る満月のようだと一族の男は言っておりました。」

狐娘「小さな貧しい村でした。」

狐娘「しかし幸せでした。」

狐娘「私には母が居ませんでしたが、裏に住むお爺さんは優しかったし、父は私を愛してくれたのです。」



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:27:32.99 ID:CRSRIyE50

狐娘「父の、声がとても好きでした。」

狐娘「いつも、私見る度頭を撫で、瞳の色を誉めてくれました。」

狐娘「母が居ないことを憂いたこともありますが父が入れば幸せでした。」

狐娘「ですが、私が十歳の頃人間が村へ訪れたのです。」

狐娘「ご存知でしょうか、「妖狩(あやかしがり)」という言葉を。」

狐娘「所謂、歴史には隠された賤しい金持ち共の道楽の一つです。」

狐娘「妖怪は人間に仇なす危険な化け物であり、排除しなければならないという名目を掲げて突然村を訪れ、男と子どもは一人残らず殺され、女は美しい者のみ生かされ安い遊女屋へと売られていくのです。」



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:29:35.96 ID:CRSRIyE50
狐娘「人間達からしてみれば妖怪は恐怖の対象以外何物でもなく、誰も彼らを止めようとはしません。」

狐娘「勿論気性の荒い妖怪居ますが、私達は人間のような武器を持っていません。」

狐娘「妖は皆貧しく、身体能力こそ人間に勝ってはいますが学はありません。武器を持つ人間が訪れたとて勝目はほぼ皆無に等しいのです。」

狐娘「私達の村とて例外ではありません。」

狐娘「私達には確かに特殊な能力が備わっていますが、それは満月の夜にしか使うことはできません。」

狐娘「何の意味も有りませんでした。銃や刀を持つ人間には勝目などありませんでした。」


125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:31:38.07 ID:CRSRIyE50
狐娘「人間が訪れた時、私達は急いで女と幼い子どもを逃がしました。」

狐娘「子どもと言っても女が抱いて走れる程度の赤子だけでしたので、六つを越えた子どもは村に残されたままでした。」

狐娘「じきに人間が訪れ、残った子どもは村の一番奥の蔵に身を潜め、人間達が去るのを待ちました。」

狐娘「しかし、結局その場所も見つかってしまい、皆蔵から引っ張り出されました。」



126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:33:05.43 ID:CRSRIyE50

狐娘「外は、地獄の様でした。」

狐娘「外壁は道は赤い斑点がばらばらと散っていて、見知った一族の民がそこらじゅうに倒れているのです。」

狐娘「咄嗟に父を探しましたが、その中には父の姿は有りませんでした。」

狐娘「もしかすると父は逃げることが出来たのかもしれないと安堵したのです。」

狐娘「ですが、死体を前にしている癖に安堵などした罰があたったのかもしれません。」



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:35:20.61 ID:CRSRIyE50

狐娘「自分の隣に立っていた子どもが斬られました。」

狐娘「頭から真っ二つになりました。」

狐娘「血が吹き出す様を初めて見ました。」

狐娘「私は腰が抜けてしまい、立っていられずその場に座り込みました。」

狐娘「人間はじっと私を見て、刃物で額を切りつけました。」

狐娘「ああ、自分は死ぬのだと思った瞬間、急に髪を引かれました。」

狐娘「何かと思うと男は私を見て笑ったのです。」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:37:16.66 ID:CRSRIyE50
狐娘「「こいつは金になる」」

狐娘「実に賤しい顔でした。」

狐娘「恐怖に支配された私は声すらも出せずその場でただ涙を溢しました。」

狐娘「「うちの見世に置こう」」

狐娘「「上手く使えば陰間茶屋に売るよりも良い金になるだろう。まるで雪か月のように暗く冷たい目をしている」」

狐娘「そう言うと私の手を掴み強く引きました。」



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:38:02.33 ID:CRSRIyE50

狐娘「最早抵抗する力など有りませんでした。」

狐娘「その時、聞き覚えのある声がしたのです。」

狐娘「大好きな、あの声でした。」

狐娘「父は震えながら私を護ろうと血濡れで人間達へ向かっていきました。」

狐娘「「俺の娘に触れるな」と叫んでいました。」

狐娘「私も思わず父を呼びました。」

狐娘「ですが、父は撃たれました。」

狐娘「たった一発で父は立てなくなりました。」

狐娘「びくん、びくんと痙攣しているところを人間にぐちゃりと踏まれ、遂に父は動かなくなりました。」

狐娘「名を呼べど、泣けど、父はもう動きません。」

狐娘「もう、私の名を呼んではくれません。」


134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:39:51.00 ID:CRSRIyE50

狐娘「じたばたと暴れても意味はなく、しっかりと抱えあげられたまま私は馬に乗せられ、父を葬ることすら許されず連れていかれました。」

狐娘「残った同じ年頃の子ども達はきっと殺されたのだと思います。」

狐娘「もし仮に生きていたとてもう会うことは叶わないでしょう。」

狐娘「そうして私は此処へと引き取られ、女郎としての生活がはじまりました。」


135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:41:43.74 ID:CRSRIyE50

狐娘「田舎の出だった私は最初にまず口を良く磨かれ、脇を洗われました。」

狐娘「きめの細かい肌になるようにと石榴の皮で乱暴に擦られ、三味も琴も叩き込まれました。」

狐娘「仕草も言葉遣いも美しくしろと言われ、かつての自分は押し潰されました。」

狐娘「それと同時に夜の訓練も始まりました。」

狐娘「初見世まで生娘で居るのが普通ですが、妖怪を女郎にする時は人間への恐怖心を植えつける為に初見世の前に犯されるのです」

狐娘「幾晩も幾晩も行為を繰り返され、慣らされていきました。」


136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:43:05.30 ID:CRSRIyE50
狐娘「最初は本当に痛くて痛くて声も涙も枯れるほどでしたが、次第に何も感じなくなりました。

狐娘「そうして暫くしてから、私は十一歳の頃、初めて客を取りました。」

狐娘「客は私を見て涙を流して叫びました。」

狐娘「「気持ちが悪い」と泣きました。」

狐娘「私とて初めての客はとても怖かったのです。」

狐娘「ですが勇気を振り絞り、言いました。」

狐娘「「私はあなた様に決して逆らいません」と」

狐娘「その場で只大人しくしている私を見て客はおずおずと触れてきました。」



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:45:10.37 ID:CRSRIyE50

狐娘「笑う私を見て客は私を殴りました。」

狐娘「あまりの痛さに涙が出ました。」

狐娘「ですが初めて挿れられた時の痛みよりは何万倍もましでしたので、まだ笑えました。」

狐娘「気を良くした客は笑いながら私を殴りました。何度も何度も何度も何度も殴りました。」

狐娘「初めて中で出されました。」

狐娘「死んでしまいたくなりました。」



141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:47:05.20 ID:CRSRIyE50
狐娘「父が美しいと言ってくれた瞳は皆に貶されました。」

狐娘「気持ちが悪いと、不気味だと、鬼のようだと。」

狐娘「勿論私とて、人間の男の皆が皆、こうなのだと思っている訳では有りません。」

狐娘「ですが私の元へ来る客は基本的に皆、見世の前で唸りながら張り見世に出る女の品定めをしている様な男ばかりです。」

狐娘「人間の女を抱くつもりが、相手が妖怪だというのですから荒々しくされるのも仕方ないというものでしょう。

狐娘「ですが、頭で解っていても辛い時があるのです。」

狐娘「自分は何をしているのだろうと、考えてしまうのです。」


142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:49:01.83 ID:CRSRIyE50
狐娘「男の精に濡れ、生きていて本当に幸せなのだろうかと、考えてしまうのです。」

狐娘「私は人間ではありません。」

狐娘「この先も人間にはなり得ません。」

狐娘「美しい着物が欲しいと思った事がないかと言えば嘘になります。」

狐娘「道中とて見てみたいと、やってみたいと思ったことがなかった訳ではありません。」

狐娘「けれど、人間になりたいと思ったことはありません。」

狐娘「人間になったとて私が私であったならきっと結果は同じであったでしょう。」

狐娘「結局の所私が妖怪だからだとか、そういった事は関係なく、私が私として汚いからこそこうなってしまったのでしょう。」

狐娘「男に抱かれることに抵抗を感じなくなった時点できっと私は女郎以外何者でもなくなってしまったのです。」

狐娘「父が呼んでくれた名を捨て、男に毎晩抱かれ喘ぐ私はきっと妖怪でも人間でもなく、ただの醜い女郎の化け物です。」

狐娘「こんな私を愛してくれる人など居る訳がないと、解っているのです。」

狐娘「そんなことは、解っているのです。」

狐娘「あなたもきっと私に近づけば近づくほど気持ちが悪いと感じるでしょう。」

狐娘「ですがそれが普通なのです。」

狐娘「……男様も今は私に同情なさっているだけなのではないでしょうか」


145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:50:09.49 ID:CRSRIyE50
男「…狐娘」

狐娘「……はい」

男「俺は職人見習いを名乗っているが、実際はそうじゃない」

狐娘「え…?」

男「二十の頃、手首を折って、それから右手の中指が動かなくなった。日常生活に大きな支障はないが、もう職人にはなれない」

狐娘「…」

男「でも、職人になると言って十二の頃親の反対を押し切り飛び出してしまった俺には行く所がなくてな。親方はそんな俺を雑用として傍に置いてくれているんだ。」

男「使い物にならなくなった俺を傍に置いてくれる、親方の優しさが、痛くて仕方なかった。」

男「そして、その優しさに身を委ねるしかできない自分に呆れたよ。」

男「ただの甘ったれだと自己嫌悪に落ち入りながらもぬるま湯の心地よさから逃れられない自分がとても嫌だった。」



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:52:12.89 ID:CRSRIyE50


男「昔の事を、話してくれてありがとう、辛かったろう。」

狐娘「…」

男「お前は汚くなんかないよ」

狐娘「…っ」

男「凄く綺麗だ」

男「例えその細い身体で汚い男共の精を受け止めていたとしても、変わらず美しい。」

男「綺麗なんだ、本当に、本当に。」

男「汚いなんて、言うな」

狐娘「男さ…っ」

男「おいで、狐娘」

狐娘「え…」オロオロ

男「…」

ギュ


148 名前:忍法帖【Lv=38,xxxPT】[sage]投稿日:2012/02/02(木) 23:53:12.61 ID:TP1C3MzX0
男の懐の深さに絶句


149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:54:26.07 ID:CRSRIyE50

男「お前の、何処が汚いんだよ、こんなに、良い香りがする。こんなに、きれいだろ」

狐娘「男様、」

男「"男"でいい」

狐娘「ですが」

男「俺、俺、わからねえから、お前の考えてることとかはわかんねえからさ」

男「自分以外の奴が考えてる事なんて解らないからさ」

男「だから、教えてくれ」



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:56:01.94 ID:CRSRIyE50

男「お前は、本当はどうしたい?」

狐娘「…」

男「俺に、触れてほしくないならそう言ってくれ」

狐娘「そんな…」

男「何も遠慮しなくていい、お前の望む様にしろ」

狐娘「……ッ」

男「俺は、お前に触れたい。」

男「触れていたい」

狐娘「ずるいひと……っ」

狐娘「あたしだって、あなたに、触れたい…!」

男「好きだ、お前が本当に好きだ…」

狐娘「あたしも、あたしも…すきだよ……っ」



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:57:58.81 ID:CRSRIyE50

こんなことになると、誰が予想しただろうか。

俺は、こんなにも誰かを愛しいと感じることができるのか。

俺は初めて狐娘の額を見た。

其処には妖の証である紋と、上から付けられたのであろう傷があった。

其れにゆっくりと舌を這わせる。

泣き虫な狐娘。

涙を吸うと声を出して笑った。



152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/02(木) 23:59:38.66 ID:CRSRIyE50


男「狐娘、本当の名を教えてくれ。お前が愛した父がつけた名を」

狐娘「……少女、です」

男「少女…。」

ギュゥッ…


154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:01:49.13 ID:vENQaxKQ0
男「少女、少女…」

狐娘「……おと、こ…」

男「好きだ…」

狐娘「男、男…!」

男「少女…ッ」チュ

狐娘「ふ、んん…」チュ…

男「ん…」チュ…

狐娘「男…」

男「うん」

狐娘「あたし、もっと触れたい……」

男「……」

狐娘「…………あなたに溶かされてひとつになりたい…っ」


155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:03:16.68 ID:vENQaxKQ0
バサッ

スルスル…

狐娘「ああ…っ」

男「少女…」

狐娘「男……」

男「きれいだ、かわいい。」

狐娘「ふぁ、ん……、やあ…」ピクピク







156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:05:02.88 ID:vENQaxKQ0

狐娘「男の目は不思議だ」

男「目?」

狐娘「うん、真っ黒なのに、何処か青みがかってるんだ」

男「そうなのか?…自分じゃ気づかなかった。」

狐娘「凄くきれい、吸い込まれそう」

男「ありがとう…」

狐娘「……、今、凄く幸せ」

男「本当か?」


159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:07:30.91 ID:vENQaxKQ0

狐娘「まるで、夢を見てるみたい」

男「夢?」

狐娘「愛しい人に捨てた名を呼ばれ、強く抱き締められるなんてこんな幸せ」

男「夢なんかじゃないよ」

狐娘「もし、そうなのだとしたらきっとこれはあなたがくれた桜のおかげだ」

男「桜」

狐娘「うん、あの部屋の角に佇む春の雪があたしに幸せをくれたんだ」



164 名前:>>162先走った…こっちが先ですすまぬ[]投稿日:2012/02/03(金) 00:10:21.78 ID:vENQaxKQ0
男「足りないか?」

狐娘「足りない…もっと」

男「いくらでも」

狐娘「…、すき」

男「うん、俺もだ」

狐娘「もう一度、……名前を呼んで」

男「…少女」

狐娘「このまま…夜が明けなければいいのに」




167 名前:>>164の次[]投稿日:2012/02/03(金) 00:11:54.69 ID:vENQaxKQ0
狐娘「(彼に少女と呼ばれるようになってから、数週間が過ぎた。)」

狐娘「(彼は今までと同じように週に二度訪れ、外の話を聞かせてくれる。)」

狐娘「(けれど今までと同じでも、やはり何処か違うような気がするのは一体何故だろう。)」

狐娘「(照れたように笑う男を見ていると満たされた気分になるのは何故だろう)」

狐娘「(口づけする度愛しさを増し、触れるたび体温は上がる)」

狐娘「(時が経てば経つほど離れるのが惜しくなる。)」




162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:09:03.79 ID:vENQaxKQ0




狐娘「(彼に少女と呼ばれるようになってから、数週間が過ぎた。)」

狐娘「(彼は今までと同じように週に二度訪れ、外の話を聞かせてくれる。)」

狐娘「(けれど今までと同じでも、やはり何処か違うような気がするのは一体何故だろう。)」

狐娘「(照れたように笑う男を見ていると満たされた気分になるのは何故だろう)」

狐娘「(口づけする度愛しさを増し、触れるたび体温は上がる)」

狐娘「(時が経てば経つほど離れるのが惜しくなる。)」





168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:13:11.07 ID:vENQaxKQ0
男「じゃ、戻るな。」

狐娘「うん、がんばって」

男「掃除ばかりだけどなー」

狐娘「でも、大事なことだよ」

男「解ってる」チュ

狐娘「ん…」

男「じゃあな」

狐娘「あ…」

ザッザッ…



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:15:55.59 ID:vENQaxKQ0

狐娘「…」

姐女郎「狐娘」

狐娘「姐さん、如何したのですか?」

姐女郎「亡八が呼んでるよ、行きな」

狐娘「…亡八が私に、何の用でしょう」

姐女郎「さあね。…まあ、うちの亡八は他の見世に比べて穏やかだし、優しいひとじゃないか。気を張ることないよ」

狐娘「…」

姐女郎「もう、ほら。私も一緒に行ってあげるから、立ちな」グイ

ヒタヒタ…ヒタヒタ…


170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:17:20.80 ID:vENQaxKQ0
狐娘「失礼します」

亡八「姐女郎、わざわざ済まないね。有難う」

狐娘「そんなこと気にしないでよ」

亡八「狐娘、久しぶりだね。元気にしていたか?」ニコ

狐娘「ええ、お陰様で。」

亡八「…さて、今日来てもらったのは他でもない。喜べ、身請けの話がきた」

狐娘「・・・え?」


173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:19:01.47 ID:vENQaxKQ0
姐女郎「うそ…、よかったじゃないか!」

狐娘「姐さ」

姐女郎「やっと、やっと幸せになれるんだよ!」

亡八「姐女郎、狐娘と二人で話がしたいんだがいいだろうか」

姐女郎「あ…、そうだね。無神経だったよ!すまないね。」

パタパタ…

狐娘「…亡八殿、あの」

亡八「うん、どうしたんだい」

狐娘「その身請けの話なのですが、」

狐娘「……申し訳ありません、そのお話お断りさせていただきます」

亡八「…」

狐娘「(…ごめんなさい、姐さん)」


174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:21:05.15 ID:vENQaxKQ0

亡八「……どうして?」

狐娘「…私はこんな身体ですし、人間ですらありません。相手の方は私を気に入って下さったのでしょうが、きっとそれも一時の気の迷いだと思えます。」

亡八「…ふむ」

狐娘「それに、私などに身請けの話を頂けたことはとても喜ばしい事なのですが、私はまだこの見世にご恩が有りますので…」

狐娘「(…嘘だ)」

狐娘「(本当は彼以外の所有物になりたくないだけ)」

亡八「そうか、うん。君がそう決めたのなら仕方ないね」ニッコリ

狐娘「…申し訳ありません」ホッ

亡八「いやいや、良いんだよ。僕はてっきり君が間夫(まぶ)でも囲っているのかと思ったよ」

狐娘「…え?」


180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:23:12.78 ID:vENQaxKQ0

亡八「そう、例えば中指の不自由な職人見習いとかね」

狐娘「!?」

亡八「いやあまさかそんな話あるわけないと思っていたよ。」

狐娘「…」

亡八「そのような事をすれば懲罰房行きだしね、…相手だってただでは済まさないよ。」

亡八「いいかい、君は陰間で、しかも化け物なんだから。金を貰って股を開いていれば良いよ。」

狐娘「…」

亡八「話はそれだけだよ。身請けの話は気にしないでいいからね、僕の嘘だから。君が言うように、化け物を所有しようなんて物好きはそうそういないよ」

狐娘「はい…」


181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:25:21.39 ID:vENQaxKQ0

ヒタヒタ…ヒタヒタ…

狐娘「(廊下、冷たい…)」

狐娘「(長くて、暗い。)」

「あれ、狐娘じゃないか」

狐娘「あ…、不寝番の」

客引きの少年「あい、座敷から出ているなんて珍しいねえ」ニタニタ

狐娘「亡八殿に呼ばれていたのです」

客引きの少年「そうかそうか、随分窶れた顔をしているねえ」ニタニタ

狐娘「ええ、最近少し寝つきが悪くて」

客引きの少年「そうかあ、ふうん」ニタニタ

狐娘「では、」


184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:27:02.22 ID:vENQaxKQ0

客引きの少年「あ、そうそう。伝え忘れていたよ。」ニタニタ

狐娘「はい」

客引きの少年「壁に耳有り障子に目ありだ。滅多な事は慎んだ方が身の為ですぜ。」ニタ…

狐娘「!?」ゾッ

客引きの少年「…そろそろ見世が開く。準備したほうがいい」ニタニタ

タタタ…


186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:29:11.12 ID:vENQaxKQ0

狐娘「(そうだ、亡八殿は何故男の存在を知っていた?)」

狐娘「(広い見世の中で何故あたしが間夫を囲っている事に気がついた?)」

狐娘「(一人で夜に座敷を回っていた?)」

狐娘「(いや、そんな訳はない。)」

狐娘「(彼とて暇ではないし、男が客として見世に来たのは数える程だ。)」

狐娘「(何より、亡八殿があたしの座敷に訪れるあの暗い道を歩いている姿だなんて、不自然すぎる。)」

狐娘「(あたしの座敷を頻繁に訪れるのは、姐さんと、案内役の客引き兼不寝番の彼くらいだ。)」


188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:31:08.98 ID:vENQaxKQ0

狐娘「あ…っ」

狐娘「見張られて…?」

狐娘「ふふ…そりゃあそうだ」

狐娘「あたしは汚い化け物だ」

狐娘「幸せになどなれるわけもない」

狐娘「男がくれた、髪紐…」

狐娘「…」

狐娘「「ただではすまさない」…」

狐娘「男にはもう…会えない」


190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:33:01.07 ID:vENQaxKQ0




狐娘「…」ハァ

狐娘「会いたくない…」

コンコン

狐娘「!」ビク

男「おおい、少女。」

狐娘「…はい、ただいま」

スッ



194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:35:03.15 ID:vENQaxKQ0

狐娘「申し訳ありません、本日既に予約が入っていますので、お引き取り願います」

男「…少女、どうした?」

狐娘「…その様な者は存じあげません、申しわけありませんが失礼します」

男「どうしたんだよっ急に!なあ!」

狐娘「…私は千年分の幸せを、使いきってしまったのです」

ピシャリ

狐娘「……あ、桜……枯れてる」


195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:36:39.76 ID:vENQaxKQ0



男「…どうして」

親方「おお、戻ったのか。思っていたより早かったな」

男「…」

親方「ああ?どうした、しけた面しやがって」

男「…」

親方「なんでえ、最近やけに仕事が早えから懇意にしている女でもできたのかと思っていたんだが…その様子ならこっぴどくふられたか。」

男「…気づいていたんですか」

親方「ひでえ面だな、ここ暫くはそこそこいい顔をしてたってのに」

男「……はい」


197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:38:03.35 ID:vENQaxKQ0
親方「そんなに惚れ込んでたのか」

男「……すきでした、とても。今でもすきです」

親方「……」

男「でもっ」

男「別れを告げることもなく、遮られました。」

男「俺が、餓鬼だから……」

男「笑った顔が見たかっただけ、なのに…」

親方「……お前はやはりまだガキだなあ」

男「んなこと判って……っ」

親方「いいや、分かってねえ」



198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:40:15.09 ID:vENQaxKQ0

親方「いつも言っているだろう、図体ばかりでかくなってこっちの方は童のまんまだと」

男「……」

親方「いいか、ようく聞け。童がなに偉そうに悟ったようなことを言ってやがる。子どもが急に大人になれるわけねぇだろおが。大人んなるにゃ、これから何年もかけてだな、」

男「何年もかかっちゃ駄目なんだよっ」

親方「…あ?」

男「支えて、やりたい…違う。俺が支えたいんですよ!」

親方「……だからてめえは童なんだ」ハァ

男「…」

親方「なんで一人で支えようとすんだ?できもしねえのに、一人でそんな真似したって結局支えきれず共倒れが関の山だな」

男「……っ」

親方「童なら童らしく、支えあったらいいじゃねえか。何がわりい、童上等だろ。いきなり大人にゃなれんが、童には童なりのやり方がある。」


201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:41:44.41 ID:vENQaxKQ0

男「え……。」

親方「無理に駆け足してすっ転ぶことねえって言ってんだ。支えあいながらでかくなりゃいい」



__狐娘『そう、凄い…桜なんて初めて見た』

男「(アイツの笑った顔が見たかった。)」

__狐娘『いくら、男様と言えど、言っていい冗談と、悪い、冗談がっあるっ』

男「(泣き顔さえ愛しくて)」

__狐娘『俺だって、あなたに、触れたい…!』

男「(躊躇いがちに触れてくる手は、小さくて)」


__狐娘『凄くきれいだ、吸い込まれそう』

男「(俺の目をきれいだと言って。笑っていた。)」

__狐娘『私は、千年分の幸せを、使いきってしまったのです』

男「(それは俺と居た時間が幸せだったってことなのか、どうして使いきったと思ったのか。)」

男「(千年分では足りなかったのだろうか、それなら俺に何ができるだろうか。)」

204 名前:>>201狐娘の一人称が俺に…脳内変換してください[]投稿日:2012/02/03(金) 00:43:31.77 ID:vENQaxKQ0

男「…」

男「…」スクッ

男「…」スッ

男「…」パチン

男「…」シュルシュル

男「…」チョキチョキ

男「…桜」チョキチョキ






205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:45:47.51 ID:vENQaxKQ0
狐娘「会いたい…」

狐娘「……馬鹿だな。早く、諦めてしまいたい」

狐娘「暑い…」

狐娘「もう……夏も終わり…」

姐女郎「狐娘、入るよ」

ス…


208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2012/02/03(金) 00:46:54.60 ID:bBi9GvJL0
今北エロどこ?


209 名前:>>208すまんエロはない…[]投稿日:2012/02/03(金) 00:47:38.85 ID:vENQaxKQ0

狐娘「姐さん…」

姐女郎「…身請けの話、断ったって」

狐娘「ええ。ですが、その話は」

姐女郎「如何して」

狐娘「え…」

姐女郎「如何してだい?あんた、あんたもしかして間夫でも囲ってるんじゃ…っ」

狐娘「…!」


213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:49:12.54 ID:vENQaxKQ0
姐女郎「…」

狐娘「…」

姐女郎「…」ハァ

狐娘「っ!」ビクッ

姐女郎「馬鹿なことはやめときな、相手の方きっといい人だよ。まだ間に合うかもしれないしあたしからも亡八に掛け合ってやるから」

狐娘「(……やめて)」

姐女郎「女郎が金のない一客の男に惚れたとて、その道は地獄だよ、わざわざその道を歩む必要などないだろう」

狐娘「(…やめて)」

姐女郎「その間夫の男だって、もの珍しがってあんたに手をだしているだけかもしれないじゃないか」

狐娘「…ッ!」

パァン…



215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:50:57.68 ID:vENQaxKQ0

狐娘「彼を悪く言うのは姐さんでも許さない」

姐女郎「あたしは、あんたの為を思って」

狐娘「わからないでしょう、あなたには。人間のあなたには、生涯あたしの気持ちなどわからないだろう!!」

姐女郎「狐娘…」

狐娘「出て行ってください…」

姐女郎「…」

ギシ スッ ヒタ…ヒタ…

狐娘「…、何を偉そうにいっているんだ。あたしは」ハァ…

狐娘「あれ…窓に何か挟まって……」

狐娘「……!?」

"大門を出て、真っ直ぐに行くと小さな宿がある。そこを左へ曲がり、細い道へ入れ。桜の木下で今晩丑の刻に待つ"


216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:52:44.84 ID:vENQaxKQ0

狐娘「…これ」

ス…

禿「あの…狐娘姐さん」ビクビク

狐娘「申し訳ありません、今日は風邪気味なので、休むと伝えてください」

禿「は…はい」ビクビク

ス…パタパタパタ…

狐娘「…」


217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:54:26.24 ID:vENQaxKQ0



狐娘「満月…」

狐娘「ぐ…」

狐娘「…」フゥ

狐娘「こんな見世、全て燃やしてしまいたい」

狐娘「……よし」グッ

狐娘「よいしょ…」

狐娘「よっ…」ピョン

狐娘「…」タタタ…




218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:56:04.00 ID:vENQaxKQ0
狐娘「はぁ、はぁ…」タタタタ

狐娘「細い、道…」タタタタタ

狐娘「ここ、かな…」ハァハァ

狐娘「んっ…」

狐娘「まっすぐ…」タタタ

狐娘「村…?」

狐娘「ここが、あの人の…」

狐娘「今更…会ってどうするの……」

狐娘「…」

狐娘「…一目だけでも」


220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:57:43.47 ID:vENQaxKQ0

狐娘「村の…外れ…」テクテク

狐娘「…」キョロキョロ

狐娘「あ…」

男「…。…!」

狐娘「!」

男「少女!」

狐娘「っ」クルッ

ギュッ




221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:58:59.90 ID:vENQaxKQ0
男「少女…っ」

狐娘「…」

男「少女、少女…っ」ギュウウッ

狐娘「…」ジワ…

男「会いたかった…」

狐娘「あたし…」


――――亡八『彼もただでは済まさないよ』



222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:00:17.37 ID:vENQaxKQ0

狐娘「…男、様」

男「…」

狐娘「突然あの様なご無礼を働いてしまったことを御詫び致します」ペコリ

狐娘「ですが、今宵が本当に最期でございます。貴方様にお会いできて幸せでございました」

男「少女…」

狐娘「その様なものは、存じ上げません。」

狐娘「さようなら」クルッ

グイッ


224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:01:27.80 ID:vENQaxKQ0
男「待ってくれ」

狐娘「…ッ」

男「待てよ」

狐娘「…」ジワ

男「…少女、渡したいものがあるんだ」

狐娘「…」

男「見てくれ、お前に会えない間ずっとこれを描いていたんだ。」

狐娘「…」

男「……俺はお前の客なんだ。多少の我が侭くらいは聞いてくれよ…」

狐娘「…」ウル

男「ごめん、本当は、着物にしたかったんだ。でも、何度書き直しても、手が震えて……」

男「……いや、言い訳なんか男らしくねえな。」


225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:02:37.52 ID:vENQaxKQ0

歪な線、幾度も幾度も書き直した跡。


真っ白な布の上に踊るように散る花びら


彼が見せてくれたのは


大きな大きな桜の絵



226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:03:45.03 ID:vENQaxKQ0

男「お前は、千年分の幸せを使いきったと言ったな」

狐娘「…ぁ」

男「一人で背負い込むな、馬鹿」グイ

狐娘「(離れなければいけないのに)」

男「桜じゃ、足りねえなら、俺がもっと幸せをやるっ」ギュッ

狐娘「(突き放したのはあたしなのに)」

男「千年ぶんなんてケチなこというなっ一万年ぶんだって一億年ぶんだって幸せにしてやる!」

狐娘「(それなのに、貴方は。)」

狐娘「(出来るかもわからない絵空事であたしを繋ぎ止めようと。)」

男「お前をっ、連れていくっ」

狐娘「でも、っ……でも!!」


229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:05:59.24 ID:vENQaxKQ0
男「一緒に、居てくれっ」

狐娘「…っ馬鹿だっ貴方は馬鹿だっ」

男「大人のやり方なんてわかんねえよっ金なんてないし、どうしようもないっでも、それでも一緒に居てほしいっ」

狐娘「あたしも……っあたしも男と一緒に居たいっ」




 
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:07:19.38 ID:vENQaxKQ0
この人となら地獄谷に堕ちたとしても構わないと思ってしまった。


あたしの決意など、もはや水面に浮かぶ泡のように消えてゆく。


逆に今、此処で感じていることはまるで激流のように溢れて止まないというのに。


232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:08:09.75 ID:vENQaxKQ0



狐娘「連れていって……っ」



233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:09:10.18 ID:vENQaxKQ0
桜が、舞う


歪な線が踊るようにはためいて


まるで、本物の花びらのように


235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:10:29.94 ID:vENQaxKQ0

男「冬が近くなるとこの桜の木に訪れる者は、殆どいなくなる。」

狐娘「どうして?」

男「前にも言ったろう。ここは冬になると雪が深くなるんだ。危険だからと余り近づかないようにと言われている。もちろん冬は危険だ。冬になる直前に、此処で待ち合わせよう。三月後の新月の夜、同じ時間に。
そして山奥で二人で暮らそう。楽な生活ではないだろうが、きっと暖かい光に包まれるだろう。」

狐娘「…」

男「不安か?」

狐娘「ええっと…」

男「…はは、大丈夫だ。俺が居る。暫く会うことは出来ないが、それまでに準備を整えるよ」



236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:11:27.08 ID:vENQaxKQ0

狐娘「うん…」

男「どうした?」

狐娘「何も、聞かないんだね。あたしがあなたから離れた理由も、何も」

男「言ってもいいと思った時、いつかお前から話してくれ。ずっと一緒なんだ、焦ることはねえ」

狐娘「…うん、ありがとう」

男「お前が心から離れたいと思うのなら…」

狐娘「…ううん、あたしも許されるのなら、男と居たいよ」

男「そうか」


237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2012/02/03(金) 01:11:29.31 ID:GNAu1yA40
もうだめかと思ったよ


238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:12:28.50 ID:LmgDSwDX0
いや、これは駄目なフラグだわ


239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:12:36.00 ID:vENQaxKQ0
狐娘「うん、すごく好きなんだ。自分でも信じられないほどに」

男「…俺もだ。厳しい冬を越えたらこの村に降りてこよう。共に桜を見にこよう。俺の絵など比にならないほどに美しい桜なんだ」

狐娘「うん、すごく楽しみ」

男「その時、親方にも紹介できたらいいな」

狐娘「うれしい…」

男「…おう」

狐娘「じゃあ、そろそろ戻るね。夜が明ける」


243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 01:13:23.00 ID:vENQaxKQ0
男「ああ、三月後を楽しみにしてる。…ずっと待ってる、だから、どんなに時間がかかっても絶対に来てくれ…!」

狐娘「うん…必ず…、必ず来るから…!」

男「ああ、少女。」

狐娘「なに?」

男「愛してる。お前と共に生き、共に逝きたい。…構わないだろうか」

狐娘「…はい、生きるも逝くも、あなたと共に」





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