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女「そこまでです、タイムトラベラー!」男「またかよォッ?!」5/5

女「そこまでです、タイムトラベラー!」男「またかよォッ?!」


女「そこまでです、タイムトラベラー!」男「またかよォッ?!」




185 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/19(土) 21:38:01.15 ID:q/G07I5K0

―――――。

女「男さん…気持ちはわかりますが、いい加減世界を動かさないと……」

 女の至極最もな意見を聞き流し、俺はただうなり続ける。

友「ん~…私はこのまんまでもいいかな……やっと男とずっと一緒に居れそうだし。」

 友のとても魅力的な提案も聞き流し、尚も俺はうなり続ける。

女「それでは未来をみれないではないですか!」
友「いいよ、未来なんて。行き着く先はどうせ死んだ目の人ばっかなんだから…」
男「う~ん……」

女「貴方がわざとらしく悩んでいるから急かしているのに!」
友「このままでも良いけどさぁ…そこまで大仰に悩まれるとやっぱり焦っちゃうよぉ…」

男「いや、そうなんだけどさ。」

 正直どちらもとりたい。
でも…

男「…過去がこのままじゃあ、納得いかないんだ…」

 俺がいつかあぁなってしまうのは仕方ないかもしれない。
けれど、だからって女や友の家族を……

男「………っ」

 それだけじゃあないかもしれない。
ほかにも色んな人を…

女「もうっ!お二人は勝手にしていて下さい!!私一人でも世界を変えてみせますからね!!」

 そういって”閻魔帳”を開いた女は、しばらくページを捲ってから、俺に吼えた。

女「”バタフライサンプル”ですっ!!」

 やっぱりお見通しなんですね…。

女「当たり前です。これを手放すつもりなどまったくありませんから……ね………?」

 得意げに言う女の言葉は、やがて小さくしぼんでいった。

女「………?え~と…すいません、皆さん。少し集まってください。」

男「?」
友「?」

 言われるままに、俺は女の所へ寄っていく。
友は未だに俺の背中に引きずっている。

女「いえ……あちらの世界の男さんが皆さんを集めるようにと………」

男「?!ま、まだ何かあるのか?!」




元スレ

女「そこまでです、タイムトラベラー!」男「またかよォッ?!」
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186 名前:ハリーポッター面白すぎて集中できないわ ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/19(土) 23:03:55.99 ID:q/G07I5K0

 駆け寄って”閻魔帳”を覗き込む。

『やぁ!』

 ずいぶんと軽快な挨拶をされた。

男「えっ…誰…?」
『失敬な。驕りでなければ、君にパラドックスの中で指針を気づかせたと思っているのだがね?』
男「いや……ほんと誰だよ…」

 想像はできるけど、キャラが違いすぎる…。

『まぁ、こないだのあれはね。初めて接する人にはあぁいうペルソナを使うんだ。』

『敬語って便利だろう?』

男「あれは敬語…だったのか?」
『お前さんは細かいな。生まれてすぐ思春期かい?』
男「ウッセー!!」

 前も思ったけど、ズバズバ物を言うよなっ!

女「あぁもう…落ち着いてくださいよ…。」

 俺一人で握り締めていた”閻魔帳”を女が引っ手繰る。

男「あっ…」
女「似たもの同士で何を言い合っているのやら…」
友「ここに居る人みんな似たり寄ったりだけどね」 


187 名前:だいぶ間が空きました、申し訳ない。 ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/20(日) 01:48:25.60 ID:m6idbb000

『さて!みんな集まってくれたみたいだし本題言うけれどね、』

『そろそろ、そっちの俺に答えを出してもらいたいな。』

『俺にも無関係な話じゃないし、悩んでるのはわかるけど、時間が止まってるのはそっちだけなんだ。』

『――早くしてくれないと、こっちから過去に干渉していくぞ。』

友「………」
女「………」

 そこまで読んでか、二人は俺に振り返る。

男「…えっとさ、…」

男「――そっちから干渉して、こっちに影響はあるの?」

『あるよ』

男「えっ」

 口をついて出た俺の素朴な疑問に、向こうの俺はすぐに答えた。

『必ず、とは言い切れないけれどね。』
女「…それは、どういった理屈で仰っていますか?」
『うむ、質問に質問で返して悪いけど…―』

 あ、出た。向こうの俺の得意技。

『――友さんとやらにはあって、女ちゃんには無い過去の思い出ってあるよね?』
女「……ふむ」
男「ホラっ友、ご指名だぞ。」

 背中に無気力にしかし断固としてしがみつく友を揺すって促す。

友「んも~…わかったよぉ…」

 そういって友は、俺の背中に登り始めた。
……おい。

友「……うん、そうだね。私の記憶だと、ちょっと前の答えあわせで、私は言いたいことを言わずに我慢したって覚えてるよ。」
友「――今回の答え合わせだと、女ちゃんはちゃんと言いたいこと言ってくれたけどね。たっははっ。」

 おんぶの姿勢で”閻魔帳”を見下ろす友。
横から今の俺たちを見たら”T字”に見えるだろう。
友の照れたような笑い声を耳元で聞き、こそばゆさを覚えながら重さに唸る。

『―うん。それでね、実はその逆もあるんだ。』

『――女ちゃん、ごめん。勝手に昔のこと見させてもらった。』
女「…それは構いませんが、……そのような記憶、あるのでしょうか?」


『―俺と会った記憶があるはずだよ。』

女「?!」
男「?!」
友「…?」


188 名前:だいぶ間が空きました、申し訳ない。 ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/20(日) 02:26:39.54 ID:m6idbb000

 女は、異世界の俺に接触したことがあるのか?!

いや、突然俺の目の前に現れたんだから、ありえなくも無いのか…
女の過去なんて、未来の俺らしきものに喰われかけたって事しか知らないし。…

女「…私が…貴方と…?」

 しかし、当の女には心当たりが無いようだ。
これはどういうことだ…?

『…正確には、俺に会ったことがあるっていう記憶が混ざってるはずなんだ。』

『――…君は昔、友達に自分のことを忘れられていて泣き尽くした事は無いかい?』

女「!!」
男「……!!な、なぁ!それって、俺が夢で見た記憶じゃあ…」

 その話には覚えがあった。
なんせ、俺がパラドックスに突入する2日前に見た夢で、似たような景色をみたからだ。
……い、いや、でもあれはこいつよりもっとちっこい女の子だったし…

『言ったろ?今のお前は、全世界の男と深いところで繋がってるんだよ…』

『――今、お前さん単体で”閻魔帳”に情報を並べても、かなりの量になるんだ。』

 そ、そうか……俺が夢で見た景色は、全部誰かの記憶なんだ…。

『それはともかくとして、…女ちゃん、どう?』

女「あ、はっはい。昔、この時代…この世界ではないと思いますが…―」
女「――この時代で暮らしていたとき、何度か友達に私の存在を忘れられていたことが、確かにあります…。」

女「……そうして泣いている時に、見覚えのある人に慰められた記憶もあります…もしかして…」

『うん、その時声をかけたのは俺だよ。』

『こっちの世界で、俺がこの時代に連れてきちまった女の子でね…―』

『――傍に居ただけで時間跳躍の能力を身につけたってそちらの彼女さんの話を聞いて、もしやってね…。』

友「何の話をしていたのかさっぱりだったぜ」


189 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/20(日) 02:44:46.38 ID:m6idbb000

『―と、いうことは、だ。』

 もったいぶるように、そう前置きをする。
この後、俺に話を振られるのは少しわかっていた。

『そっちの世界のことは存外俺に無関係じゃない。―』

『――お前が動く気が無いっていうなら、俺だけでも過去を変えさせてもらうぞ。』

男「ま、待てよっ!なにもそこまで焦って過去を変えることは―――」

『まだそんな腑抜けたこといってんのか?』

 突然、向こうの俺の口調が、激情を抑え込んだような口調に変わる。

『お前はいつの日か、遠い過去でその友さんとやらの家族を食い殺したいのか?』

男「っ」

『そうして最後には、過去の自分に更なる過去へと飛ばされて想像もできないような苦痛を味わうんだぞ?』

 想像もできないような苦痛―

生物大絶滅の始まりである地獄の事だろう。

『下手してみろ。もしかしたら、遺伝子の記憶とやらにもその地獄が刻み込まれていて、火の海の中死ぬことも出来ずに彷徨うかも知れないんだぞ。』

『そうしてからがら生き抜いた先で、また別の人の先祖を喰らうんだ。』


『そんな化け物を、過去に放ったままでいいのか!』


男「それは……嫌だ…」

 正直、隕石の直撃を受けて生きているっていう想像はしなかった。

―でも、ありえるんだ。


自分の中の、迷い決めかねていた問題を、解決へとさそう決心がついた。

男「…新しい世界をはじめて、出来るだけ自然な世界を作ろうと思った…」

男「…もしくは、自分だけが幸せな、楽園みたいな世界を始めようとも思った……」


男「そのどちらも、…始めるにはまず過去の俺をどうにかしないといけないんだっ!!」

『ようし!よく言った!!』

『――そこで俺に考えがある。』



 こうして、俺たちの”打倒!ケダモノ作戦”が始まった。



191 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/20(日) 10:26:15.46 ID:m6idbb000
一番最初の男視点でクライマックスです。


―――――。

政治家「困ったな……」

 一国の主が突然、そう漏らした。

口の堅い彼にしては珍しいことだ。

そして、そんな彼が珍しく人前で弱音を吐く事態は、誰もが察知していた。

横に居た俺は、ただありていに返す。

男「左様でございますね。」
政治家「君の意見を聞かせてもらえないかね…」
男「議会を開くべきでは?」

 貴方がこの世界を実質的に統治する以前に。


遠い昔、ある民族が決起して世界中に”自由”という言葉を訴えた。

そうして数千年にも及ぶその民族の暗躍により、広義になってしまった”自由”という言葉の元、――

――歴史は破壊された。

 言語統一、思想統一、収支統一により、各地の特色に合わせて進化してきたほかの民族は死に絶え、
現存する人間は、皆、数千年前に決起した民族の血筋であった。

 民族差別開放を掲げ、世界中に散布した彼らはやがて、世界を裏から支配するようになってしまったのだ。

そうして、数人の欲深きものが、自分たちの更なる利益のみを求めて、人々の奴隷化を始めた。


教育による個性的な思想破壊だった。


一部ではじまったその教育制度は、やがて世界中に蔓延し、”人”という名の意思無き機械を何世代も生み出した。

そうした世界の上に、己が欲望を忘れることが出来なかった一人の男はよじ登った。

 高みから眺めるは、民衆の個性が死んだ世界。

政治家「…本音を言えば、私は自分の欲のためにここまできた。」

 眉間のしわはよりいっそう深く、しかしそれでも、喜怒哀楽の伺えない表情だった。

政治家「だがな…私にはこれから子供が出来るんだ…」
男「おめでとうございます」

 何がおめでたいのかはわからない。

政治家「心にも無いことを……その子供だがな、流石に自分の子とあってはかわいいものさ。甘やかしてやりたくなる。」
政治家「…けれどな、その子の瞳に光は宿るのかと心配なんだ。」
政治家「私が片棒を担いだとはいえ、政治家も国民も、すべて無個性になってしまったこの世界で、――」
政治家「――私の子は、「生まれる時代を間違えた」と、必ず考えてしまうのではないだろうか。…」
男「左様でございますね。」

政治家「………」
政治家「………頼む、君にタイムトラベラーとしてお願いがあるんだ。」

 仕事の指令だ。

男「お聞きいたします。」

政治家「…世界を、」

政治家「…救ってくれ。」

男「承知いたしました。」

 俺は世界中に核の雨を降らせてから、過去へ飛んだ。


192 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/20(日) 10:41:34.83 ID:m6idbb000

―――――。

 俺の所属する組織は、個性や何らかの大きな変化を恐れる人類を守るために作られた組織だ。

組織の活動内容は、現在以外の時や世界を恐れ、必ず現在へと通ずるように、未来から過去をサポートするというもの。

時間を越えて過去を導く際にも、幾つかの規定が存在するが、意思無きトラベラー達には、その規定をひとつとして破る勇気は無かった。


 俺の規定違反は、実質の処刑宣告が届いてから初めて犯した。

目的外の時間と場所への跳躍だ。

タイムトラベル理論の確立とタイムマシンの最縮小化を目的に、すべての意思無き人に望まれて生まれた俺の中には、
いつしか、過去に見た世界への憧れが芽生えていた。

男「我々が任務の合間に垣間見た光り輝く過去の世界の姿を、もう一度作り出そう!」

 そう、同業者の者たちに宣言したことが、人々には大層恐ろしいことだったらしく、
”未来の変革の材料として、旧世代の生命の大絶滅をその目で確認してくること。”という、実質的な死刑宣告を下された。

 生きるも死ぬもそう変わらないと感じた俺は、その指令を甘んじて受けた。

だが、どうせ死ぬなら、少しぐらい生きた心地を味わいたいと、少しずつ間隔を刻んで時を越えていった。


193 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/20(日) 10:58:32.40 ID:m6idbb000

今でも、それが正しかったのか間違っていたのかはわからない。


時を越えるごとに、人々の顔には様々な情景が見て取れて、

遠い未来でも寸分違わず守られてきた歴史的遺産も、過去ではまぶしいくらいに輝いて見えた。

芽生えるはずの無かった、憧れという感情が花咲き、

未来では何も感じえなかった人々の涙に心打たれ、悲しみの台詞に思考は何度も止められた。


 身体中が、喜怒哀楽を求めていた。

忘れ去られた生物としての本能が、遺伝子の記憶の中から呼び起こされた。


やがて、死刑執行の時期へとあと少しというところまで来たとき、俺の理性には限界が近いと察知した。


 立ち止まった時代の中で、俺の未来の姿をみた。


来る未来の俺は、野生へと還り、弱肉強食の理を肌で感じてうれしそうに駆け回っていた。


そんな彼が付け狙うは、人類の祖先の一人であった。


 今更になって、タイムパラドックスを恐れた俺は、紙一重で少女を助ける。


「小さい女の子を泣かせる奴は・・・っ」

「過去に飛ばされて死んでしまえっ!!」


 今の俺は、人の涙は見たくないんだっ!


……だから、未来で、


待っててくれ。


194 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/20(日) 11:10:49.63 ID:m6idbb000

―――――。


 永い永い旅をした。

その旅も、ようやくひと段落かもしれない。


星空から降り注ぐ、過去の俺に打ちのめされて、やっと休めるんだと感じた。


落ちてくる空を見つめて、まるで世界が俺のために喜んでくれているような、そんな錯覚までしてしまうほど、狂おしく幻想的だった。


 ―この先、生命大絶滅の火の海を、遺伝子のリカバリーで生き抜いてしまうかもしれない。

その後、先ほどの”怪しい覆面をつけたやけに未来的な装いの女性”の様に、また誰かを喰らってしまうかも知れない。

しかし、そんな事は今考えるべきではない。


禍々しくうねる指を、隕石のフレアに透かす。


ケダモノ「手が届きそうだ…」


 皮肉なものだ。

最期の瞬間に、理性が戻るだなんて…。


ゆっくりと瞳を閉じる。



――その最中、




―――そらから、蒼い光が降り注いだ。




―――――――NEXT エピローグ―――――――




 
201 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/21(月) 23:55:23.61 ID:wWmPzA0G0
 友と男

―――――。

店員「おぅっ!あんちゃん!」
男「やぁ、お兄さん。来ましたよ。」

 一度しか話した事の無い土産屋の店員に、会釈交じりに握手する。

男「あの時はどうも!」
店員「いやぁ…良いって事よぉ。それより、そちらのお連れさん、見た顔だねぇ、えぇ?」
男「おかげさまでねぇ」
友「知り合い?(むぐむぐ」

 ”餡も無いとっ!饅頭”という意味のわからない名前の菓子をもぐつき、俺につれれる様に店員のあんちゃんに会釈する友。
そんな友の訊ねを後ろに、店員とへらへら笑いあう。

男「このお兄さんが居なかったら、俺と友は今頃ここに居なかったかもしれないぞ…?」
友「!!そうなのっ?!そ、それはどうもありがとうです…」

 慌て過ぎて饅頭を取りこぼしながら、友は立ち上がって今度はしっかりとお辞儀をする。

店員「はっはっはっ!よせやぃ!俺ぁなんにもしてねぇやい!!」

 快活かつ豪快に笑い飛ばすあんちゃん。
やはり、この展覧会の何処か厳かな雰囲気を和らげているのは彼な気がする。
…外見年齢と口調が釣り合っていないのがとても不思議だ。

店員「今度はいい思い出になるといいねぃ!」
男「はいっ」
店員「はっはっは!そいじゃあまた帰りに寄っといで!」

 そう言ったきり、店員のあんちゃんはカウンターの中へと戻っていく。
倉庫整理の最中だったようだ。
饅頭の箱を大事そうに抱える友の手を引き、土産屋から出て集合場所に戻る。

目的の場所にたどり着くまでには、すでに友は饅頭を食いきっていた。

教師「おいお前ら、トイレ休憩中に土産屋に寄るとは何事だ。」
男「下見です。」
友「えふっ。(ですっ。」
教師「ガッツリなんか食ってんじゃねぇ!!」

 俺たちを引率するいつもの教師は、早速のペースにやたらくたびれた顔をしている。
そんなんでこれから”化石展”一周持つのか……?あ、見て回るときは自由だからいいのか。

教師「ハァ…じゃあ、これから2時間半、中のブースを見て回ってもらうぞー。」
生徒全員「はーい」
教師「うむ、今の私みたく、場内では大声で騒ぐことのないように!」
生徒全員「は、はい…」

 自覚あったのか…

教師「集合時間まではかなりあるが、じっくり見て回るには意外とキツイぞ!」
教師「―だから、没頭したい奴はまたプライベートで来い!うちの学生だと特別安くしてくれるぞ!」
友「前のデートはそういうこと?(ボソ」
男「おう(ボソ」

 友の横からのささやきに、肯定で返す。
何を隠そう、その特典を利用してこの間のチケットを手に入れた口だ。
学年通信やらは読んでおいて損は無い。

教師「さてっ!んじゃあ自由行動!集合までに遅れんなよ~…」
教師「―どっかのバカップルみたくな…」
男「喧しゅうございます」

 教師の令に、生徒はそれぞれグループに分かれたり散り散りになったりして、入場ゲートをくぐってゆく。

何人かの友人と「またあとで」と言い合いながら、俺は友と会場に入った。


202 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 00:30:32.76 ID:Yhmgun/E0

―――――。

 友と二人、ほとんどのブースを流し見してゆく。
俺たちの怒涛のハイペースに驚いた、先頭の男子生徒が、そそくさと先の角へと消えていったが……それは違うだろ!

俺たちはすでにこの展示会のブースはほとんど見て回ったのだ。

友「…不思議だねぇ」

 てくてくと、出し物を見てゆくには速いペースで連れ立っていると、不意に友が呟いた。

男「…そうだなぁ。」

 友が言うのは、多分、今俺たちがいるこの世界の事。


あの後、パラドックスから旅立ち、ケダモノの所業をなんとかせんと過去に飛んだ先で、”閻魔帳”越しに何度も会話した”俺”と合流した。

男曰く、「どれだけ世界がどこかで分岐していようと、必ず過去ではそのどこかに繋がる」のだそうだ。

そうして、過去にて合流した俺と俺、その時代に同時に存在しているだけでとてつもないパラドックスを引き起こしているはずの俺たちは、
ケダモノに少女の家族だけは喰わせてはやらんと手を組み、様々なあれやこれやと策をめぐらした……

――が、結果的に人喰いになってしまったのは変わらなかった。

絶望に暮れんとひざを折った所で、異世界の俺は肩に手を置きながら、「少しずつ変えていこう。そうできる。」と言い、蒼い光に身をやつして未来へと消えてしまった。

”少しずつだが未来と過去を変えられる”と信じた俺も、同じく止まったままのパラドックスに戻ろうと、蒼い光を纏った。


――…しかし、その先にあったのは、動き始めた新しい世界であった。


友「…私たちの記憶はしっかり残ってて、世界は前の形に戻っちゃうなんて…どうしてだろ?」
男「…ふむ……それなんだけどな、実は答えを向こうの男から聞いてるんだよ。」
友「へっ?!ほんとにっ!!」

 目を輝かせて、「教えて教えて!」と体をゆらす友に、教えられた話を少しずつだが話していった。


――あの世界は実は俺だけが望んだものでは無かったということ。
俺が辿り着いたパラドックスは、実は友を救った時点で動き出していたという。
そうして、最後にいたパラドックスは、――俺たち4人、俺と、異世界の男、友と、女が望んで辿り着いた世界だったそうだ。

男「―だから、誰か一人だけじゃなくて、全員が望まないと、世界は動き出さなかった。」
男「…でも…過去に飛んでケダモノをどうにかするまでは、俺が、俺だけが世界の進展を望んでなかったらしくてな。」
男「――この俺に迷った先で絶望させて、また新しい希望を持たせるのが、向こうの俺の目論見だったらしい。」

友「ん~~…と?」

 友が、わからないと言った風に首をかしげる。

男「……まぁ、ようするに―」

男「―また向こうの俺に助けられたって事。」

 なんだか気に入らないなぁ。


203 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 00:47:40.72 ID:Yhmgun/E0

友「ふぅ~んそっか……そいでそいでっ?」

 鼻息荒く、興味津々の友が俺の顔を見上げる。

友「お前さんは今度は何すんだいっ?」
男「何って何を…」
友「まだ過去が気に入ってないんだろう?」
男「……ん、まぁそうだな。」

 結局、思うように過去を変えられていないしな。

男「…少しずつ変えていくよ。俺たちにはそれが出来る。」
友「………そっか。」

友「おっけ!ボクも手伝うぞ!」
男「おいおい…良いのかぁ?俺と違って友のルーツは過去にあるんだぞ~?」

友「ボクだって、君がいつ理性を失うか心配でたまらないんだよ!動かないと落ち着かないっしょ!」

 その場で、小さくシャドーボクシングをかます友。
そのなんとも健気な宣言に、自然と、頭に手を乗せてしまう。

友「ひょっ…?なっ、なんだぁ~い…?」
男「…いんや、ありがとよ。(ナデナデ」
友「…う、うぅ…~っ」

 ポスポスと、俺の腹にかわいらしいジャブを入れてくる。

?「そうね、…貴方がいつ理性を失うかと、私も気が気でないわ。」

男「うぇっ?!」
友「ひょっ!!」

 背後から突然声をかけられ、思わず友と二人抱き合いながら跳ねる。
振り返り、その人物を見る。

男「あ、貴女は…」


友「お姉ちゃんっ?!」


姉「はろ~」


204 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 01:21:06.99 ID:Yhmgun/E0

 この人は友の義姉。つまり友のいつかの未来の姿………かも知れない人だ。
なぜか、この動き出した世界に到達してから、この人とも関わった記憶が頭の中に生まれた。
以前居た友の世界の時のような造られた記憶とは違い、その存在は違和感を伴わない。
……これからのタイムトラベルには、記憶の混線に注意しなければならないかもしれない…

姉「にしても、そんなに驚くことも無いじゃない?」
友「だ、だって…お姉ちゃん気配が…」
姉「ハァ……それは言わないで欲しいわ…」

 確かに、歴史的文献の多いこの”化石展”では、一般人もトラベラーもたくさん集まるのでここに居ることは不思議ではない。
しかし…
コイツ、歳をおうごとにキャラが安定していないな!

姉「…男クンは今、なんとも失礼な思考をしているわね?」

 俺の思考を、完全に見透かした義姉が俺へと詰め寄る。

姉「イイ……?」
姉「―貴方たちと他2人がこの世界をはじめたからって、私を仲間はずれにしないで頂戴。」

 威圧感は凄まじいのに、言っていることは寂しがりである。

姉「だって、私にはこの子みたくいい仲が居ないもの…」

 そ、それを言われましても…

この人が俺の思考を完全に読みきっているのは、今はこの人の手元に”閻魔帳”があるからだ。

姉「違うわよ?…」
姉「”腸の標本(バタフライ・サンプル)”……OK?」
男「お、おーけーおーけー…」

 登場からすでに本を開いて、なんとも腫れ物チックだ。

友「…お姉ちゃん…その常に脅すような姿勢が男君に敬遠されてるんじゃないかな…」
姉「……そう…警戒しすぎなのかしらね…」

 友が義姉さんの横に並び慰める。こうしてみると、女より少し身長が高い程度なのだが、どうしてここまで雰囲気が変わるのか。

姉「未来で、貴方を助けられなかったのよ……」

 それは、デリケートな質問だっただろうか。

姉「―まぁ、過去へ飛んで、こんな見たことも無い世界へ辿り着けたから、僥倖よね。」
姉「そういう意味では、貴方たちに感謝しているわ。」

友「………」
男「………」

 友と見合う。
少し微笑む。

男「もっといい世界にしてみせますよ!」


205 名前:どうしても駆け足になってしまう。 ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 01:58:37.89 ID:Yhmgun/E0
  チビと男と女。


―――――。

 向こうの男が、過去の少女を救ったとき、そいつの辿り着いたパラドックスは、
”少女の居ない元の世界”から”少女の居る新しい世界”へと動きだした。

その新しい世界では、男はケダモノと共に死に、それによりまた新たな世界が始まるはずだった。

しかし、助けられた少女が、”少女は生きて男は死ぬ新しい世界”を拒んだ。

――そうして、彼らは新たなパラドックスへと至った。

そこには、ただの観測者……というより、ただの読者であったはずの俺の意思まで介入して、
新しい世界の始動に「待った」をかけた状態で停止した。

―世界が動かなかった理由は簡単。

創造主たちの意思が揃っていなかったから。

そこにいた男が”現状に満足してしまったから”だ。

助けたい人は助けた、それでいいじゃないか!と。


男「けれど、あのままじゃあ、俺たちは守りたいものを何も守れなかったかもしれないんだ。」

女「だから、彼に接触してきた……と?」

男「そ。」

 昼下がり。

公園のベンチにて、俺は女ちゃんと憧れの茶話会を開いていた。

男「まぁ、缶コーヒーだけど。」
女「ふふっ、私はこれでも満足していますよ?」
男「そっか、ならいいかな。」

 少し遠くの遊具で、他の子供と遊ぶチビを見る。

今は本当に平和だなぁ…。



207 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 08:22:22.27 ID:Yhmgun/E0

女「コク)……ふぅ、では、教えていただけますか?」
男「ん?何を?」

 いじわるに、そんな風にはぐらかす。

女「…色々ですよ。過去のことや、今の状況、これからどうしていくか。などなど。」

 女ちゃんはそこまで言って、自動販売機で買ったコーンスープを小さな一口分あおる。

ふむ…そりゃあ、詳しく訊きづらい話だね。
なんてったって俺ですら全部わかってるわけじゃない。

男「んー…じゃあ、まず。女ちゃんが目下一番気にしてそうな……」
男「―君の正体について教えようか。」

女「っ――!!(ケホッ」

 いきなり確信を突かれてか、女ちゃんはコーンスープを咽る。

男「――むせる…ボト○ズか…」
女「??…ボトムスが何か……?」
男「あぁ、ごめん。話がそれた。」

男「…女ちゃんがあっちの世界に現れた理由だけどね?それは多分、俺が干渉しちまったからだと思うんだ。」
女「貴方が……干渉?今しがたもそのようなことを仰っていましたよね…」

 寒そうに服を着込んで、両手が見えないくらい袖の中に隠した手でコーンスープの缶を大事そうに包む女ちゃんを横目に、
うぅむとうなって思考をまとめる。

男「…実はね、あの友って人が新しい世界を作ったときから、俺はこの”本”でその世界を観測してたんだよ。」
女「そんなに…以前から…?」
男「…っても、そんなに昔じゃないけどね。」

 せいぜい数日前だ。
微糖のブラックを一口あおる。
ナシナシのが好きかも知れないな。

男「なんだろうな…あの世界は記憶や思い出で作られてたから、俺の、女ちゃんに関する記憶も反映されたのかもしれない。」

 組み込んでも、矛盾が少ないと、世界が独自判断したとしか思えないが…
その偶然のおかげで、今こうして女ちゃんと飲み物片手に話せるなら結構なことじゃないか。

女「貴方の、記憶…」

 悩ましく、缶の中を覗き込む女ちゃん。
その視線が俺とかち合い

女「私は、実際に貴方とは会っていない…と?」
男「どうだろうね?俺はその記憶があるし、女ちゃんだってその記憶を持ってるんだろ?」
男「――今回の件は、俺と女ちゃんは面識があったって事でいいんじゃないかな。」

女「…なんとも…煮え切らない言い方ですね。」
男「よくわからないことは言い切らなくていいんだよ。(ズズッ」
女「……フフッ…そうですね。そのような柔軟な思考は、良評価に値します。(コクッ」

 二人同時に、あたたか~い飲み物をあおる。

男「…ほっ」
女「…ふぅ」

男「今のこの世界のこと、だけど。何を話して何を話していないかわからないなぁ。」
女「それほどまでに複雑な経緯が?」
男「うん、凄く、口で言うにはめんどくさ過ぎるね。」

男「―まぁ、俺たちは今、凄い偶然でこの世界に居る。…って認識で十分だと思うよ。」
女「ふふっ、そうですか。柔軟すぎる思考は曲者ですね。」

 口元はマフラーで隠れていてわからないが、女ちゃんの目は凄く柔和に笑っている。

今のこの世界。俺がいるここは実際はあまり歴史が変わったという部分は見当たらないが、
大きな変異といえば、女ちゃんがこっちに来れる様になったってことか。

彼らの居た向こうの世界が今の状態になってから、その世界は色々なパラレルワールドにとぶ時間渡航者にとっての”駅”のような世界になった。

あの世界なら――世界を越えたメンバーによって動き始めたあの世界からなら、パラレルワールドに飛べるようになったのだ。

そうして、女ちゃんもここに居る。


208 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 08:35:51.69 ID:Yhmgun/E0

 向こうの世界が――ややこしいので便宜上”ターミナル”とする。(女ちゃん案)

…”ターミナル”が、今のように時間渡航者にとっての駅のようなシステムになってから、
俺は、悪質な渡航者の氾濫が起きるのでは?と気が気で無かった。

しかし、なってみれば意外なもので、逆に主観的には平和そのものになってしまった。

わざわざ同じ世界で反抗しあうトラベラーも減り、夢想したような世界を探しての当ての無い旅を始めるものまで居るほどだ。

時間渡航者にとっての制約が減り、よりいっそうの混乱が!という俺と女ちゃんの恐れは見事に外れてしまい、
この世界でほのぼのとチビを見守りつつ過ごすのが、最近のもっぱらの俺たちだ。

男「…女ちゃんは、思い出を守るために奮闘しそうだったんだけどなぁ。」

 俺の独り言に、女ちゃんはその眠たそうなまなこを不思議そうに輝かせ、俺に視線を送る。

女「今まさに思い出を守っていますが?」
男「…?そうなの?」
女「ふふっ、そうなんです。」

 そうして、またも遠くで遊ぶチビへと視線を戻す。

女「……それに、もし、私の過去が危うくなって、消えてしまうようなパラドックスが起きても…」

女「――…貴方なら、助けてくれるでしょう?」

男「……へっへへ…それは当然。」

女「ふふっ…なら、それで良いんです。」

 ずずっ

男「…ふぅ」
女「…ほっ」


209 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 08:51:32.26 ID:Yhmgun/E0

 女ちゃんがこちらに腰を下ろすと言った時、俺の持っていた”閻魔帳”は女ちゃんに渡した。

自分の力を卑下したくないという偏った考え方もあったが、多くは、ただそうしたかったからそうしたのだ。

男「…さってぇ~これからの話だけど。」
女「はい。」

男「…しばらくは、”ターミナル”で平和に過ごしてる俺と協力して、過去に居るケダモノの罪をなんとかしようと思うよ。」

 動物として至極当然の事をしている存在を指差して「罪」だのなんだの言うのはちゃんちゃら可笑しいが、
まぁ…こういうのは”俺”というでかいくくりの問題だ。

女ちゃんやチビの家族を食い殺させずに済んだとはいえ、
とっさに、俺が過去に飛ばした悪徳トラベラーを喰わせてしまった。

女「あぁ、そういえば、その問題が残っていましたねぇ。」
男「いやいや…お嬢さん、一番大事なところですよ?」
女「ふふっ、私にとっては、今このときのほうが大事ですので。」

 ……それは、素直に嬉しい。
…というか恥ずかしい。

女「顔、紅いですよ?」
男「っ――!!」

 手玉に取られてるぅっ?!

女「ふふっ、こちらの世界に来て正解でした。」
男「そっか、それはなによりだ。」

女「それで…」
女「―協力して過去に取り残された貴方を救うと仰いましたが、具体的にどのように…?」

男「う~ん……そうだなぁ…」
男「―じゃあ、次は、スナック菓子でも喰わせてやるかな?」

女「何も考えていないのですね?」
男「うぐっ?!」

女「ふふっ、まぁ、貴方たちが次に行動を起こすとき、私も同行致しますよ。」
男「ど、どうして…?」
女「決まっているじゃないですか。…言いたいことが、あるからです。」

 ……それは、
やっぱり、女ちゃんの中にも、割り切れない部分はあるのかもしれない…。

そう考えを改めようとしたところで――



女「”そこまでです、タイムトラベラー!”…と。」男「またかよォッ?!」


210 名前:しまった、チビがぜんぜん活躍していない ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 09:00:19.90 ID:Yhmgun/E0
 ケダモノと未来。


―――――。


 「おつかれさまです、タイムトラベラー。」


 蒼い光に包まれながら、何処か遠くにそんな言葉を聞く。


ケダモノ「誰だ…?今更俺に何のようだ……?」

 光に満たされた丸い部屋の中、カツカツとこちらに歩み寄ってくる人影をみる。

それはみるみる大きくなり、目の前で、俺を見上げるように立ち止まった。

…そして、その顔には、どこか見覚えがあった。


男「どうも、お待たせいたしました。」


ケダモノ「っ!!」


 俺だった。


211 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 09:25:07.62 ID:Yhmgun/E0

男「遠い未来、貴方の生まれた時代より救出に参りました。」


 涼しい顔で、そんなことを言ういつかの俺に今の俺は戸惑いを隠せなかった。


ケダモノ「なぜ、なぜ今頃?!どうして今更なんだ!!こんな理性を失った化け物を……」


男「理性ならば、少しずつですが取り戻しているではありませんか。」


ケダモノ「っ」

 もっともだ。

俺はどうして今、理性で体を動かせている…?

男「…あの時代で、なつかしい匂いを嗅いだからですよ。」

ケダモノ「懐かしい……匂い…?」

男「遠い昔、貴方が自分自身で救った少女を、お忘れですか?」


ケダモノ「あぁ…」


 あの少女か。

穴倉の中、脚を血に染めながら俺を呆然と見詰めていた…

ケダモノ「俺は、結局、あの子の家族を…」

男「そのような過去はもはやございませんが?」

ケダモノ「……なに?」

男「貴方が喰らったのは、あの時代の人間ではなく、いつかの時代の悪徳結社の尖兵ですね。」

男「なぜかあの時代に一人、穴倉に閉じ込められていたようですが」


 そんなものは聞いていない。


俺は、俺はあの子の家族を奪っていないのか…?


声ならぬ声でそう訊ねると、男はただ、「はい」と答えた。

男「貴方が、あの時代で陸や空や海の生物を喰らって生きていた文献は残っていますが…」

男「――人間を喰らった痕跡は一切ございません。」


 その言葉に、


最早色々忘れて、


俺はその場に膝を折ってへたりこむ。


212 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 09:43:35.87 ID:Yhmgun/E0

ケダモノ「そうか……そうかそうか…」

 未来が、変わったんだ。


理由はわからない。

今こうして隕石の直撃を避けたことすら予想外なのだ。

 あぁ、そうだ。まだそれが残っていた。



ケダモノ「…どうして俺を、この時代に連れ戻した…?」


男「……失礼を承知で申します。」


男「貴方に、我々を導いていただきたい。」


ケダモノ「………勝手なことを…」

 気でも狂ったのだろうか?

いや、過去の人々に比べて、元々狂っているのか。

男「無個性であることに命を懸けてきた我々ですが、…」

男「―貴方の今回の行動、発言の内容と、我々に巨大な影響を与えました。」


ケダモノ「ま!まて!!先から”我々””我々”と!お前はいったい誰だ?!さらなる未来の私なのか?!」

 その俺の問いにも、俺とまったく同じ顔をしたそいつは、淡白に答える。

男「いえ。私は、貴方の後継機として生み出されたタイムマシンです。」


ケダモノ「………」

 狂ってる。

この時代の人民は本当に狂っている……

俺と同じ存在をもう一度作り出すなんて……タイムパラドックスの恐ろしさを誰一人として主張しないのかっ!!

 静かに、怒りを震わせ、こぶしを硬く握り締める。

歪な太く鋭い爪は少し欠け、肌にはまた新たな裂傷が出来る。

ケダモノ「…本当にそっくりだよ…」

 その顔つきも、その反応も、最初の俺そっくりだ。


男「民衆が、貴方の再来を求めて、今一度と私を生産されましたが、私では力不足のようです。」

男「民衆は、貴方を連れ戻すようにと声を揚げています。」


213 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 09:48:59.23 ID:Yhmgun/E0


ケダモノ「………」

 耳鳴りのような、ちいさなノイズが聞こえる。

この時代は静かなものだと思っていたのだが…

ケダモノ「外では何が…?」


男「民衆が、貴方の帰還を待ちわびております。」


ケダモノ「……?」

 あの、死んだ目つきの者達が…?

どういうことだ、


どうして保守的思想からかけ離れている…?


男「先も申し上げたとおり、貴方の主張が、行為が、民衆に心境の変化を与えました。」


男「最悪、パラレルワールドに逃げるという手段も見つけました。」



男「ゆえに、我々は変化を求めています。」


男「それを、貴方に導いていただきたいのです。」



ケダモノ「………」


 腐っている。


性根から腐りきっている。

そんな者たちを俺に丸投げして、導けと……?




やってやろうじゃないか。


214 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 09:58:28.41 ID:Yhmgun/E0

ケダモノ「…案内しろ。」


男「はい。」


 つぶしてやる。

この世界は、ルート付けられた歴史に依存して、寄りかかってここまできた。


次は、パラレルワールドにまでのしかかるつもりだ。



そんなことはさせない。


俺が導いて、退路を断ってやる。


この世界を、変えてやる。



男「こちらです。」


ケダモノ「あぁ…。」



 広い、広い広いステージの上に案内される。


大きなノイズが、視界前面、横断幕の向こう側から聞こえてくる。



ケダモノ「…俺はケダモノ…欲深き者だ……」



ケダモノ「…いつかの政治家とは…違う」



ケダモノ「人民の成長こそを…求めるッ!!」


 俺の気合と共に、ステージの幕が上がる。


同時に、ノイズが止む。

その向こうに見える闇には、埋め尽くすほどの人、人、人。


その民衆の顔を見回す。


ケダモノ「………。」



 集まっている人の目にはそれぞれ、まぶしいぐらいの輝きがあった。




ケダモノ「タイムトラベルはッ!!ここまでだァッ!!!」

―――――――END―――――――


 
217 名前:時系列です。 ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 10:51:05.82 ID:Yhmgun/E0

超未来にて、男が作られる。

仕事で時間を飛び越えるごとに、男の無個性さが薄れて、過去の世界に憧れを持つようになる。

まだ見ぬ未来に活発的に向かってゆこうと宣言するも、保守派が)99%の世界では異端扱いされ、遠い過去で死ぬように言われる。

男「じゃぁいいよ、やってやるよ」民衆「マジで?!」 ←エピローグのラスト直前

しかし男はまっすぐに言われた時代へ向かわず、少しずつ過去へと遡って行き、歴史を改変していく。

目的の時間目前で、未来の自分が野生に帰っている姿を見る。

未来の自分から少女を救い、身寄りの無い少女を少し後の未来で育てる。


~少女――いつかの友との交流期間。~


友が、”蝶の標本(バタフライ・サンプル)”を用いて、異世界の自分がどれだけの間男と一緒に居たのか知る。

自分が過去で襲われた未来の男について、”蝶の標本(バタフライ・サンプル)”で調べ、その正体を知る。

タイムパラドックスを起こし、未来で男が野生に帰らない世界になることを願うが、そうなると男は生まれなかった。

仕方なく、自分の思い出のみで男を作る。

~ここから本編~

男、授業中に目覚める。

男のタイムトラベルの酷使の影響で、異世界の男と友の思い出が混線し、両方を併せ持った女が生まれる。

男、自分の存在を知る。

友、身勝手さに思いつめて過去の自分を殺す。

女も巻き添えを食う。

男、友や女の姿を追いかけて過去へ飛ぶも、”少女が助からなかった世界”に変わりゆく途中でのタイムトラベルなので、
矛盾が発生、世界の自己修復の範囲外だったので、そのまま世界は停止。

男、異世界の自分に教えられて過去にとび、もう一度少女を救い、女と友が未来に生まれ、”男は死ぬものとして”世界は動き出した。

復活した友は、過去へ飛んでそこで死ぬはずだった男を助ける。女も男を助ける。

今度は、男と異世界の男、友と女の意思によって、もう一度パラドックスが発生し、世界が停止する。




218 名前:時系列です。 ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 11:06:20.38 ID:Yhmgun/E0

男、現状に満足して、世界が動き出すことを望まなかった。

友の正体について知る。

男、自分の未来を教えられる。

異世界の男は能力を使ってあらくれを蹴散らす。

異世界の男が、”閻魔帳”を用いて新しいパラドックスを動かす人物というあやふやな検索を行い、メンバーが4人であることを知る。

異世界の男に教えられ、またも過去に飛ぶ。

未来の自分に、少女の家族を一人も殺させないようにするが、満足のいく結果にはならなかった。

男は、もっと満足のいく世界を望み、他4人と無意識に同調して、新しい世界”ターミナル”が動き始める。


~エピローグの後~

”ターミナル”を動かした4人が、”閻魔帳”または”蝶の標本(バタフライ・サンプル)”と呼ばれる本を製作。

全ての世界の始まり辺りに”本”を捨てるように置いておく。これによりほぼ全てのパラレルワールドに”本”が存在することに。



~異世界の男と男の頑張りはこの波線辺りで続いていますが、ご想像にお任せします。~



~エピローグラスト~

男、未来を変えるために動き出す。




 
220 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 11:12:34.04 ID:Yhmgun/E0
読んでくださった方皆さんに、まずはこの言葉を贈ります。


『バファリン』いります?

ボクはいります。

ここまで読んでくださった方は本当にお疲れ様でした!!


221 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 11:15:51.30 ID:Yhmgun/E0
やっべぇ…ギャグ書きてぇ…

”腸の標本”くっそわらったw



222 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]投稿日:2011/11/22(火) 12:56:32.92 ID:O0r5ljbSO
thx
ぼんやり分かった

閻魔帳は奴らが作ったのか
そんな描写あったっけ?

ってことはなんか凄い技術で作った閻魔帳を自分達で作り、時系列的過去の自分達が拾ったのか?



腸の標本(ホルモン・サンプル)
ホルマリン漬けの腸が頭に浮かんだぞwwwwww


223 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 16:57:37.85 ID:Yhmgun/E0
実は、異世界の男が三人を同時に観測する為に>>147にて、
”本の作者”というワードで”閻魔帳”を開いています。

あいまいなイメージでも引っかかるように作られています


224 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/22(火) 17:11:11.12 ID:Yhmgun/E0
最後の蛇足。

選択肢、1

―――――。

 このスレのここまでの文章を読む男と、それをかいつまんで聞かされる女。

男「………。」

女「………。」


 俺と女は、最後の最後まで読み、黙り込む。


男「なんか…」

男「―…ひどいネタバレをされた気がする。」

女「…そうですね……。」

―――――――END?―――――――



 
 
232 名前: ◆N1RGqRourg[saga]投稿日:2011/11/30(水) 22:16:13.81 ID:PQ4zzmdH0
一つ宣伝するなら、―――ギャグではございません。

ボクには狙ってギャグを書くことが出来ないと重々承知いたしました・・・。

ジャンルとしては、ハートフルオカルトといったところでしょうか?

ボクのブログにてすでに公開している作品の打ち直しのようなものと、
そのブログ内にて連載中の作品を一つ書かせていただく予定です。


233 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)[sage]投稿日:2011/12/01(木) 19:35:31.21 ID:bafRBhr8o
>>232
そのブログとやらを教えて頂きたい


234 名前: ◆N1RGqRourg[saga, sage]投稿日:2011/12/02(金) 00:09:57.69 ID:/DXS7WZP0
失礼、こちらで紹介するのがまだでした。

ttp://blog.goo.ne.jp/milk-produce

です。

よろしくお願いいたします。

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