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紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」5/5

紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」


紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」




842 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 03:28:37.55 ID:lRtc1bnu0
そうして、捜索がはじまった

眼鏡「趣味は料理、ですかね……?」

金髪「料理の本がいっぱいありますものね」

ツインテ「んー、服装は割りと地味」

黒髪「可愛い小物が好きそうね」

男「あー、えーと」

今思えばまったく他人の部屋なのだ、しかも女性の部屋に手をつけるとなると、消極的にならざるをえない

栗毛「あ、これ……日記帳……?」

金髪「おお! これは大収穫ですわ」

黒髪「よしさっそく見よう」

男「なっ」

眼鏡「ひ、人の日記をみるのは……っ」

男「そ、そうだよな、いかんぞ」

黒髪「そんな事いってる場合じゃないでしょーが」

男「はい……」



 
元スレ
紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」





846 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 03:56:31.20 ID:lRtc1bnu0
黒髪「三月の二三日から書かれているわね……、引越しした日がこの日みたい」

金髪「ふむ。とりあえず、最近の動向を見てみましょう」

黒髪「十月くらいでいいかな」

10/1
十月にはいっても、あの生徒達は保健室にいりびたる
……私が弱気だからいけないのだろうか
どうにもなめきられているようだ
私は保健室の先生にむいていないのかもしれない

金髪「……例の、不良かたがたでしょうか」

10/3
校長先生に相談をした
しかし、保健室の利用に支障はでていないと判断された
この程度は自分で解決してみろといわれた
あの子達は私の前以外では猫をかぶるから、大したことと思われていないようだ
もうとても長い期間、悩まされているのに

10/4
今日はあの生徒達はあまりこなかった
うれしい

男「……」



 
848 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 04:08:09.90 ID:lRtc1bnu0
10/5
おきにいりの東側の窓の外を、ずっと眺めていた
あの子達に消えてほしい

10/7
月曜日は憂鬱だ
学校にいくのが、つらい
今日は生徒に頭を叩かれた
先生をなんだとおもっているのか

10/8
生徒が問題行動をおこしていたのが発覚した
全員が謹慎処分をうけた
消えてほしいと書いたからだろうか。全員、保健室に入り浸っていた生徒だった
私が、指導で  きなかったから だろうか
私の せ い だろう  か

10/9
謹慎処分者がまた増えたらしい。保健室で見たことのある名前だ
                 私のせい だろうか
入院した子もいるらしい、
   私のせい?
どうやらいじめから発覚したようだ
          誰か教えてください

10/11
問題が浮き彫りに 死 なるたびに、死にたくなる
私はなん 死にたい のために保健室の先生になったのか
  先生あのねをわすれたのか
死んで、もう 全 部   投げ出してしまいたい



 
851 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 04:18:15.67 ID:lRtc1bnu0
黒髪「ここまで……ですね」

栗毛「こ、これ……」

ツインテ「す、すごい、なあ……」

日記の節々に、涙のあとがあった
引っかいたようなあとも見える

日記からは、“本来の私”の苦悩が、痛さを覚えさせるほどに滲み出ていた

眼鏡「せ、先生……」

ひし、と眼鏡の少女は俺の服の裾を掴み、顔を伏せる

男「入り浸っていた……、そういう、ことか」

今の自分がやっている保健室の先生とは、余りにかけはなれた姿
……いや、謹慎によって、保健室がリセットされた、と考えるべきだった

もとより入り浸っていた生徒は、謹慎により保健室から離れた
結果、普通の子達が入れるようになり、今ここに居る子たちが、保健室へとやってきた

男「リセット……。そうか、このタイミングで、俺が入れ替わっているのか」

紳士「……然様」

男「……」


 
853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 04:29:49.36 ID:lRtc1bnu0
男「まさか……」

“本来の私”はどこへ行った

嫌な予感が頭をよぎる
“俺”がどこへ行ったかの答えを、思い出す

男「……おい、どういう、ことだ」

紳士「……さあ」

男「……これ、は……」

男「い、いや、だが死んではいない、はずだ」

男(女)「ここに体が、ある。……彼女としての生活も、続けられている」

紳士「……」

金髪「……本来の中身は、いったい……」

男(女)「……っ」

男(女)「……気は引けるが……、他のページも、読んでみるしかない」

どこかに、手がかりが、あれば




 
856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 04:39:36.80 ID:lRtc1bnu0
後ろのページから、段々と前へ前へと、時間を遡る

九月はほとんど、十月とかわらない生徒への呪詛ばかり

男(女)「……ん」

9/19
彼のように自殺をする、というのも手かもしれない

男(女)「彼……?」

ところどころに、自殺とセットのようにして彼、というのが出てきていた

男(女)「……これか……!」

9/4
休日だから、勇気を出して、あの人の家を尋ねてみた
だけど、追い返されてしまった
そのときに聴いた言葉が頭から離れない
……彼は、自殺をしてしまったらしい
いつ? どこで? それもわからない
彼にまた会いたいと思って、もう十七年もたっただろうか
私のことを忘れていてもいいから、会いたかったのに
ひどいよ


857 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 04:42:56.17 ID:lRtc1bnu0
金髪「……貴方の事、ですね」

男(女)「……ああ」

金髪「一七年前……。貴方が小学生の頃ではありませんか」

男(女)「…………ああ」

覚えていない
全く、覚えていない

男(女)「君は誰、なんだ……」

まるで思い出そうとすると、そこだけ隠されているような感覚

紳士「……」

紳士はなぜか、少しさめた顔をしていた

男(女)「続きを、読むぞ」

日記を、めくっていく



 
859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 04:55:25.62 ID:lRtc1bnu0
八月は夏休みだったからだろうか
呪詛は見当たらない
それよりも、一般的な日常の生活が、たくさん書かれていた
知り合いと遊びにいったとか、研修が大変だったとか

でも、保健室の事には、ふれていなかった

男(女)「……こ、れは……」

8/14
お盆休み、実家に帰る前に、私は昔遊んだ土地へと行ってみた
山がきれいな所で、昔とあまりかわっていなかった
いつも書いている彼とは、ここで出会ったのだけど、
四年生の頃に私が引っ越してしまってから、会えていない
そうそう、タイムカプセルを彼と埋めた
たしか彼は「これはタイムマシンだよ」なんていっていたっけ
今度一緒に開けようと言っていたのに、結局開けずじまい
今日は小さな宿にとまる

8/15
好奇心に負けて、一人でタイムマシンを掘り返してみた
そしたら、あとから入れたような缶の中に、手紙がはいっていた!
住所が書かれていて、もし見る事があったら連絡をください、って書いてあった!
いつ入れたものだろう、きっとずっと昔だと思うのだけど……
でも今日は、恥かしくて、尋ねることができなかった
近いうちに今度、勇気をだしていってみよう


860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 05:03:36.09 ID:lRtc1bnu0
男(女)「俺があとから、手紙を入れた……?」

金髪「なるほど……、これならば、貴方が言っていた中学生以上高校生以下の時代という範囲から、すり抜けられる」

男(女)「……全然、覚えていない」

紳士「……」

男(女)「なんでだ、まるっきり、まるっきり覚えてない……」

男(女)「どういうことなんだ……?」

金髪「まるっきり、ですか」

男(女)「……」

ページをまた、捲っていく

七月は後半は比較的落ち着いていたが、前半はつらそうだった
それでも、罵る言葉は見当たらない

六月後半もまた、少し辛い文章がみえたが、時間を遡るにつれて、明るい姿になっていた
生徒達に手を焼いている先生、といったような文面

五月はすべて、明るい
不良の生徒の話は、ほとんどでてこない
頑張っているのが、よくわかった



 
863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 05:15:52.47 ID:lRtc1bnu0
これはどの月も同じであったが、ちょくちょく“彼”がでてきた
八月の文面からさっするに俺の事をさしているのだろう
俺の住所を発見するまでは、連絡先がわからなかったらしい

とはいえ、書かれた昔の事を読んでも、俺は全くピンとこなかった

四月は一日も欠かさず日記が記されていた

4/28
保健室の先生の仕事は、今日も大変
でも、夢が叶って嬉しい
私は何か気づくたびに「保健室の先生お仕事ノート」に書き込んでいる
研修の時につくって、それからずっと使っている
本当は「先生あのねを目指すために」っていう名前にしようとしていたけれど
人に見られるかもしれないと思うと恥かしくて、やめてしまった
ただちょっとわるあがき
裏表紙に、あとをつけてやった

男(女)「……夢が叶って嬉しい、か……」

九月や十月の日記を読んだあとでは、その言葉がとても、つらい

男(女)「……」

たまらず、ぐっと拳を握る


864 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 05:24:12.44 ID:lRtc1bnu0
日記を読み進めたことで、彼女の事をなんとなく、わかってきた
思ったとおり、心優しい人間のようだ

しかし彼女自身を見つけるための手がかりは、やはり何も、ない

男(女)「四月は、これでおわりか」

もう日記をじっくりと読んでいるのは、俺と、ブロンドの少女だけであった
結構な時間がたっている、すでに深夜だ

男(女)「あ、お、お前ら家に連絡は」

黒髪「大丈夫よ。知り合いの家に泊まってくるって言っといた」

黒髪「ここで寝てる二人も、ね」

黒い紙の少女を中心に、眼鏡の娘はよりかかり
元気な娘は、膝枕をされていた

金髪「私もメールで連絡していますし、この子も」

机に伏せて寝ている栗毛の少年の頭を、ブロンドの少女はそっと撫でる

男(女)「いつのまに」

黒髪「貴方が日記に集中している間に。結局一番よんでるじゃない」

男(女)「す、すまん、どうにも気になってな」



 
866 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 05:34:48.29 ID:lRtc1bnu0
三月に入った
どうやら、学校始まる前は引継ぎ作業をしていたようだ

3/28
もうすぐ四月
早く生徒が登校してこないかな
とってもたのしみだ!

3/26
養護教諭は、狭き門
実家からはちょっととおいけど、やっと採用してもらった職場だ
がんばって、立派な先生になろう
あのねっていわれてやる

3/24
こちらに引っ越してきた事で、学校に行くのが楽になった
研修のために毎朝5時おきは、ちょっとつらかった
今日からは7時起きです

男(女)「……なるほど、な」

男(女)「さて、これで最後か」

一番最初のページへ、たどり着く


男(女)「――ッ!?」

俺は目を、疑った



 
868 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 05:39:19.20 ID:lRtc1bnu0
3/23
今日から、日記をつけます

やっと勤務先近くのマンションに引越しをできた
業者の手続きに不備があったらしく、なんだかギリギリ
ダブルブッキングだったらしい
でも、相手の人が断ってくれたみたい
ありがたいけど、なんだか申し訳が無い

念願の角部屋だけど、相手も角がよかったのだろうか
なら、私は204号室でも良かったかもしれない
学校に近いし、家賃も高くないし、間取りは好きだし
角じゃなくても十分いい部屋だ

あ、そうそう鍵はいつもどおり、鉢植えの中に隠しました
なくすと、いけないからね

男(女)「……な……ッ!?」

金髪「どうなされました」

男(女)「そんな……、ありえ、ない、ありえない……ッ」

金髪「……?」


>住んでいるのは、三階建てのマンションだ
>俺が住んでいるのは205号室
>しかし204号室や104号室は存在しない
>四や九はよく縁起が悪いとかで抜け番にされるが、まさにそれ




 
871 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 05:49:37.88 ID:lRtc1bnu0
男(女)「あ、あるわけがない……」

男(女)「204号室は……存在しない……ッ!」

金髪「ど、どうしたのです」

俺は頭を抱える
なんだ、なんだ、それはなんなんだ

男(女)「ないんだよ……、ないんだ……」

男(女)「203号室の次は、205号……ッ!」

金髪「204号室が、ない……?」

男(女)「こ、これは、なんだ!? この日記は、なんだ!?」

これは誰の日記だ?
205号室は“どこの205号室”だ!?

どういうことだ……? 何故存在しないはずの204号室でもいいと、書かれている!?

男(女)「これを書いたのは……誰だ……!?」

205号室に住んでいる“本来の私”だと思って、この日記をよんできた
幼い頃に知り合ったが、俺の忘れてしまった誰か

でもこのマンションに、204号室は
存在しない……ッ!!!!!



 
875 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 06:00:09.30 ID:lRtc1bnu0
紳士「……」

黒髪「ど、どうしたの?」

金髪「204号室がないと、仰られて……」

黒髪「え……?」

おかしい、おかしい
204号室はないんだ、そんなもの見たこともない

俺は立ち上がる

紳士「……」

男(女)「答えろ……、この部屋は……、どこの、205号室だ……!」

紳士「……さて、どうか」

男(女)「のらりくらりとかわすつもりなら……、白か黒か、つけさせてやる……!」

男(女)「俺はこの日記から答えを読み解いた……」

男(女)「……この部屋、世界Aにおける“本来の私”の部屋、205号室は……」

男(女)「世界Bにおいて“俺”が住んでいた205号室とは、別物だ!」

男(女)「当たっているな!?」

紳士「……」



 
877 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 06:09:03.57 ID:lRtc1bnu0
紳士「……別物。ええ、そうですよ。世界が違うのですから、別物でしょうな」

紳士「前にも確認したはずですが」

男(女)「……、ち、違う、そうじゃない……」

男(女)「そ、そうだ……」

男(女)「この日記の書き手が住んでいるのは、このマンションとは別の場所にあるどこかだ……!」

男(女)「世界Aと世界Bで、同じ場所にはないどこか別の場所の、間取りが全く同じの、違う部屋だ……!」

紳士「……」

この205号室で、もう半年は過ごしていている
その俺だから、分かる
204号室はこのマンションに存在しない

紳士「その勢いに、久しぶりでいいですね」

紳士「そうでなくては、私も○や×をつけるのに、やる気がでません」

紳士はしかし、前のような含みのある笑いはしなかった
乾いた、苦笑い

紳士「あなたのその解答は――」


紳士「――不正解です」



 
879 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 06:25:43.16 ID:lRtc1bnu0
紳士「……正解していた答えを、何故わざわざ間違ったものにしたのか」

紳士「教えてほしいものですな」

男(女)「……っ」

そう、分かっていた
既に俺はこの二つの部屋が同一のものだと言っていて、もちろん正解ももらっている

男(女)「でも、おかしいだろ……!?」

男(女)「204号室は存在しない。でもこの日記では存在が示唆されている」

男(女)「そ、そうか、日記の書き間違いだな……?」

金髪「先生……」

す、と少女の手が背中に置かれる
俺は口だけ動かしながら、すでに机で、頭を抱えていた

金髪「落ち着いてください」

男(女)「で、でも……」

眼鏡「んん……、どうしたの……?」

男(女)「……」

眼鏡「先生……?」


880 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 06:29:57.44 ID:lRtc1bnu0
紳士はただ、いつものように姿勢正しく立っていて
そして俺を、じっと見つめる

男(女)「どういう……ことだ……」

答えは分かっていた
でも、そんなはずが無いとおもっていた

男(女)「……20、4号室は……、存在……、しな……」

黒髪「先生」

ごつん

ツインテ「いてっ!」

膝枕をしていた少女が立ち上がったので、されていた少女の頭が落ちる

黒髪「204号室は――」

金髪「ま、待ちなさい。先生が、落ち着いてからで……」

黒髪「……でもどうせ、すぐ分かることでしょ」

黒髪「先生、204号室は」


黒髪「……この部屋の隣に、ありますよ」


881 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 06:35:40.68 ID:lRtc1bnu0
男(女)「そんな……、馬鹿な……」

男(女)「お、おい、冗談、だろ……?」

金髪「……」

男(女)「……、見て、くる……」

俺はゆっくりと立ち上がると、ふらりふらりと玄関へと向かう

金髪「付き添います」

靴はかかとを踏んではいた
がちゃりと扉を開けて、部屋からでる

真夜中だ
空にはいつかのように、月が冴えている

男(女)「……これ、は……」

隣の部屋をみて、言葉を失う

男(女)「あ……った……?」

204号室が、そこにあった



 
884 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 06:42:32.79 ID:lRtc1bnu0
男(女)「……ぐ、う……」

頭が、痛い
なんだ、なんだ、204号室は、なんだ

金髪「せ、先生」

男(女)「だ、大丈夫……」

部屋へと、戻る

男(女)「何で、だ……?」

何故俺は無いと、思い込んでいた?

黒髪「204号室に……何かあるわね」

男(女)「そう、なのか……?」

紳士「……ご自分で、確認なされたらどうですか」

男(女)「だ、だが、入れない……」

鍵などもっているわけがな――

男(女)「……まさ、か……」


>あ、そうそう鍵はいつもどおり、鉢植えの中に隠しました
>なくすと、いけないからね



 
888 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 06:49:44.02 ID:lRtc1bnu0
俺は窓をあけ、ベランダへとでる
そこには、鉢植え二つ置いてあった

そこで育っていたはずの植物は、かれていた
もう何だったのかもわからない
世話などしていなかった、というかあったこともしらなかったのだから仕方ない

男(女)「……」

俺はそれを、適当に掘り返してみる

男(女)「……あ、った……」

しかしそれは、見慣れた鍵

男(女)「205号室の……鍵じゃないか」

隣、204号室のベランダをみるが、何も無い

眼鏡「あ、あの、先生」

眼鏡「もしかして……、貴方の世界で、という意味ではないでしょうか……」

眼鏡「日記を読みました」

眼鏡「204号室に何かがある可能性は……、貴方が、この部屋を借りた場合に、生じるのではないでしょうか……」

男(女)「……そう、だよな」



 
891 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 06:54:56.99 ID:lRtc1bnu0
“本来の私”は角の部屋、つまり205号室を望んだ
しかし、相手が角の部屋を望むなら、204号室にする、と書いてあった

世界Aでは、彼女は205号室を手に入れた
では、世界B、俺が205号室を手に入れていた場合は――

一度部屋に戻る

男(女)「……」

男「こっちで、か」

眼鏡「わ、私も一緒にっ」

紳士「いいえ、それはいけません」

眼鏡「え……?」

紳士「貴方は、世界Aの人間でしょう」

紳士「彼が出る窓の外は、世界B。貴方は、いけません」

男「……外にでられるのは、その世界の人間だけ、ということだな……」

紳士「然様」

男「……わかった。一人で、いってくるよ」


892 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 06:58:26.33 ID:lRtc1bnu0
紳士「ああお嬢様方」

紳士「彼が窓から出る時、そちらは見てはいけません」

紳士「外を視認するだけでも、それは別の世界にはいった事になってしまいます」

紳士「それは、危険だ」

金髪「見送る事もできませんか……」

紳士「はい」

栗毛「ふ、ふえ、何が起こって……?」

金髪「あら、いま起きましたの。では一緒に、向こうを向いていましょうね」

栗毛「え? う、うん」

黒髪「私達も、玄関の方を向きましょう」

眼鏡「……気をつけて」

男「大丈夫だよ」

ツインテ「んー、寝てて状況がよくわからんけど、頑張ってきてくーださいっ」

男「はいよ」



 
894 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:02:00.01 ID:lRtc1bnu0
俺は窓を開けて、外へ出る

男「……」

今度は、205号室のベランダに、植木鉢はなかった
変わりに

男「204号室には、あるんだな」

俺はベランダの柵を登る

男「よっ」

そして飛び越えた
204号室の、ベランダへと、危なげに着地する

男「こいつ、だな」

枯れた花の植木鉢を、掘り起こす

男「……鍵、だ」

それは少し、俺の部屋のものと違う
204号室の、鍵だろう


895 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:09:55.49 ID:lRtc1bnu0
男「あれ……?」

205号室のベランダにもどると、窓にはカーテンが引かれていた

男「……あかない」

窓には鍵がかかっているのか、中に入る事ができない
電気もいつのまにか消えているようで、中は見えなかった

男「……今は戻るな、ってことか」

俺はベランダ用のサンダルのまま、柵に手をかける

男「せーの」

ふっと、体が宙に浮く

どすっ

男「いてえ」

駐車場へと、着地する

男「えーと、あっちか」

俺はマンションの入り口へと向かった



 
899 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:13:34.29 ID:lRtc1bnu0
見慣れた道筋をたどって、二階

204号室の前

目の前にしても、やはり目を疑う
俺はこの部屋を、ずっとないものだと思っていたのだから

男「……ふう」

三度、深呼吸

俺は震える手で、鍵を差し込んだ

かちゃり

男「あいた……」

あっけない

俺はドアノブに手をかける

がちゃり

男「……いくぞ」

そして、中へと入った



 
903 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:19:35.34 ID:lRtc1bnu0
中は暗かった

俺は電気をつける

男「―-ッ」

その部屋は、どこか見たことのある

男「……“本来の私”の、部屋、か」

205号室と違うのは、東側に窓が無いこと
そこはただの壁だった

部屋の中には、誰も居ない

男「どう、いう――ぐっ!?」

ピキ、と、脳にひびが入るような感覚

男「あ、ぁあ……ッ」

もう一度、ひびが入る

男「――ッ」

また、ひびが
また、ひびが

……そうして、まるで砕け散るような感覚が、襲う


 
906 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:28:03.76 ID:lRtc1bnu0
――十月も、半ばにさしかかろうかという時期のことである

俺は何も、する事がなかった
……いつものことだ

知り合いなど、大していない
友達と呼べる人間と、共に時間を過ごしたのはどれくらい前だろうか

男「……はあ」

男「いつ、死のうかな……」

なにかきっかけが、ほしかった
どこで暮らしていても付きまとう、自殺の願望
世界なんて、面白くない
このまま暮らしていたところで、何か将来があるとは思えない
金もどうせ、底をつく
ならそのまえに……

部屋のチャイムがなった

男「はいはい」

インターフォンから、聞きなれない名乗りを聞く
がちゃりと、扉を開けた

警察「どうも」

警察手帳を、見せられた


 
908 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:35:06.30 ID:lRtc1bnu0
男「警、察……?」

何かやってしまっただろうか
一瞬、身構えてしまう

警察「ああいえ、お話をお聞きしたいのですが」

男「……はい」

警察「隣に住んでいる……」

隣人の名前など、しらなかった
だからこのとき、初めて俺はその名を聞いた

男「自殺……した……?」

隣の部屋で、女性が自殺した
彼女の仕事先から、連絡があって、捜査に来たそうだ
発見されたのは、今さっき

いやそんなことよりも、その名前が、重要だった

男「あ……、あぁ……」

彼女の名を、俺は知っている
時たま思い出す、昔の記憶
俺がとても楽しかった頃の、思い出
その中で笑っていた、彼女の姿

ずっと――また会いたいと、思っていた


 
910 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:41:02.85 ID:lRtc1bnu0
彼女は、隣に、住んでいた、のか……

警察「彼女の遺品の中にこれが」

男「……?」

それは一枚の封筒
あて先に、俺の名前だけが書いてあった

警察「これが、結構な数あるんですよ」

男「……!」

警察「なんで、名前だけなのか分かります?」

男「……彼女……は、俺の住所を、しらなかった……」

覚えていてくれた
彼女はずっと、俺の事を、覚えていてくれた

忘れていると、思っていたのに

男「彼女と別れたのは……、小学四年生の、時……」

彼女が引っ越してしまったのだ
その日、いつかまた会おうといって、俺と彼女はタイムカプセル――いや、タイムマシンを作ったのだった

未来の自分達に、届きますように、と


911 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:45:02.08 ID:lRtc1bnu0
警察「……それはまた、ニアミスですな」

会いたかった彼女が、隣にいて
半年間も、隣にいて

しった時には、もう

男「な、何故、彼女、は……」

警察「……仕事がうまく行っていなかったようですね。まあ、よくありますわ」

男「……何をしていたん、ですか……」

警察「えーと、それは個人情報だからなあ……」

男「お願いします……ッ! 教えて、ください……ッ!!!」

警察「ん、むう……」

警察「……養護教諭、だよ。保健室の先生。勤務先までは、さすがに簡便してくれよ」

男「保健室の……先生……」

彼女は、夢を、叶えた、のか……

何年も忘れていた、感覚
ぼろぼろと、涙があふれた

男「ああ……あぁああ……ッ」


913 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:50:26.37 ID:lRtc1bnu0
なんと残酷な運命か
なんと非道な運命か

彼女は夢を叶え、そして俺を覚えていくれて、隣の部屋までやってきていたというのに……!

最期まで俺も、彼女も、気づく事はなかった
その上、夢を叶えたせいで、死んだ

こんなにも近くにいたのに……。たった一枚の壁をはさんで、隣にいたのに

男「……う、あああ……」

嘆かずにはいられなかった
声を上げずにはいられなかった

世界の誰もが、俺など気にしていないと思っていた
こんな世界、さっさと終わってしまえばいいと思っていた
全てがつまらない、全てが面白くない

生きている事に喜びなどなく
明日を追うことに生などなく

夢はどこかに、置き忘れた

男「ぁあ……あああああああああああああああ」

そんなくそったれな世界の中で
ただ一人、覚えてくれた人が

今はもう、いない



 
917 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 07:56:54.98 ID:lRtc1bnu0
その翌日からだったか、俺にとって204号室は消えてしまった

おそろしく深い悲しみから、あまりに濃いつらさから
俺は身を守る術を、それしかもたなかった

男「……」

世界はゆっくりと、時を刻む
時間が進む中で、俺はただ放心して、前を向く

男「ああ……」

男「俺は……」

朝から晩まで、今日は何をしていただろう
何故こんなに放心しているのだろう
まったく、わからなかった

男「気が、抜けてるな、俺……」

男「しゃきっとしよう」

ぱんと、顔を叩く
その時、だった



紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」

男「保健室の、先生……?」



 
923 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 08:03:47.00 ID:lRtc1bnu0
――くらりと、倒れそうになる

男「あ……れ」

そこは今さっき入ってきた、204号室

男「……ああ」

全てを、思い出した

男「そう、だった……」

俺は自ら、204号室を、忘れたのだった

男「……そう、か」

男「そういう、こと、だった、か……」

世界Aにおいて、彼女は205室の主となり、生きた。俺は、きっかけを得て自殺した
世界Bにおいて、俺は205室の主となり、生きた。彼女は、204号室に住み、そして半年後に、死んだ

彼女とは、俺の幼馴染
小学生時代に仲がよくて、でも、引っ越してしまった子

彼女が引っ越した二年後に、俺もまた引っ越してしまった
子供どうしだ。どちらも越してしまえば、これではあえなくなる
俺は危機感を覚えた

だから、タイムマシンなるものに、俺は追加で新しい住所をいれたのだ



 
925 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 08:07:17.44 ID:lRtc1bnu0
男「ひさしぶりに、泣いたなあ……」

そんなことをいいながら、また、頬を伝うものがあった

男「ああ……」

俺は、204号室から、出た

そうして、隣
205号室のドアノブに、手をかける

男「とっくに、終わってたんだ……」

俺の世界に、彼女はいない
彼女の世界に、俺はいない

ただそれだけの、お話

男「ああ……」

自殺なんて、馬鹿のすることだ
きっとだれかが、泣いている

皮肉だった

男「ちくしょう……」



?「……お帰り」


926 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 08:10:49.16 ID:lRtc1bnu0
俺は顔をあげた

男「おま、え……」

そこには、見知った顔があった
何せここ数週間、ずっと見てきた顔である

女「……おかえり。ひさしぶり、だね」

男「……お、え……?」

女「おかえりっていわれたら、なんてこたえるの?」

男「あ……っと」

男「ただい、ま……」

女「よく出来ました」

そこにいたのは、紛れも無い

男「なんで……」

幼馴染の、姿だった

男「ああ……」

女「もう、泣かないの」

その再会は、とてもじゃないが格好のついたものでは、なかった


927 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 08:20:12.46 ID:lRtc1bnu0
紳士「お帰りなさいませ」

男「……なんで、お前……」

そこは俺の部屋だった
しかし、出て行ったときにいたはずの、少女達がいない

女「この部屋にはね、204号室の鍵をもっていないと入れないの」

女「私もね、君と同じように、“君”になってたんだよ」

女「そして、先にここまでたどり着いて、待ってたんだ」

女「えへへ、私の、勝ちだっ」

紳士「難易度は、同じ。どちらも相手の顔を覚えておらず、自分が誰なのか分からない」

紳士「ただ、彼女の場合、隣に自分の死体がありましたから、気づけばすぐではありました」

紳士「しかしながら貴方は日記を書いていませんでしたから、それが大変大変」

紳士「とはいえ貴方は、日記に気づくまでがながかったですが」

紳士「……いやそれにしても何より。よく二人とも、たどり着きました」

紳士「心より、賞賛を」



 
931 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 08:29:07.66 ID:lRtc1bnu0
紳士「ああ、自己紹介がおくれました」

紳士「わたくし、死神の紳士でございます」

男「死……神……?」

紳士「はい。いったでしょう、私は解かなくて言い、と」

紳士「それは、イレギュラーだからです」

紳士「私はね、あの日あなた方を同時に狩るつもりでおりました」

紳士「別の世界ではありますが、世界A、世界Bにおいて、あなた方二人は同時刻に自殺する予定でした」

紳士「ですが調べてみれば、これはまた不憫なお二人」

紳士「死神の私もびっくりの、運のなさ!」

紳士「そこで私は考えました」

紳士「二人の命を刈りとる前に、少しだけ贈り物をしようと」

紳士「……お二人を、再会させてあげようと」

紳士「ですから、ね。人の世にない力で再会させてしまった事を、どうか、お許しください」

紳士「そうでもしなければ……あなた方二人は、そう、どうしても相容れない。再会することは、できなかった」


 
933 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 08:35:20.32 ID:lRtc1bnu0
男「そう、だった、のか……」

紳士「言ったでしょう、敵ではない、と」

紳士「そしてほら、とてつもなく、損な役回りでしょう?」

男「……はは、そうだな」

紳士「仲良く、していただけますかな」

男「……おう」

女「ふふふー。私も5、6回くらい彼の事ひっぱたいちゃったよ」

男「あ、ああ、そうなのか……。俺は何回胸倉を掴んだかな……」

紳士「お二人とも、血気盛んでした、いやはや」

男「すまんな」

男「ん……、お前が死神だということは……」

男「俺達は、これからどうなるんだ?」

紳士「……ふふ、そうですね。貴方達は二人とも、死ぬ予定だったのですから」

男「そうだよな。お前が命を長引かせてくれていたわけだ」

紳士「……っふふ」


 
936 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 08:40:36.72 ID:lRtc1bnu0
紳士「これより先の問題は、そう、オマケのようなもの」

女「オマケ?」

紳士「ここにたどり着くまでが、私が自分で用意した、百点満点の問題」

紳士「でも。そう。この問題、実はオマケ点がありまして」

紳士「実質、百五点満点。なんです」

男「百五点……?」

紳士「どういう意味か。わかったならば。私は五点を差し上げましょう」

女「ま、また解答しなきゃなの……」

男「ここにきて、か……」

紳士「さあ、全てを思い出して」

女「……」

紳士「簡単な、最後の問題」

男「……」


紳士「貴方達は、これからどうなるでしょう」



 
938 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 08:46:03.13 ID:lRtc1bnu0
男「……」

女「……」

二人は、二人で、考える

男「こ、こうじゃないか……?」

女「ううん、たぶん……」

二人で、議論する

二人が思い返す、二つの物語
どちらも、とても面白く、そして、長かった

二人はたくさん、たくさん喋っていた
まるで17年分、一気に取り返すように

この世界はすでに、現実の世界ではない
だから時間は、たっぷりとあった

紳士(……百点でも、十分だったのですが)

彼らを再会させることが、目的だった
だけど私は……、死神のくせに甘い

私は最初から、それを用意してしまっていた
彼らが正解したら言ってやろう

こんなの、ヒントだらけでしたよ、なんて



 
943 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 08:56:05.96 ID:lRtc1bnu0
男「一つ確認をしたい」

紳士「はい、なんでしょう」

男「俺が“俺”の姿で外に出れない時と、出れる時の二通りのパターンがあったな」

紳士「……はい」

二人は同時に、存在できない
俺達がこの紳士からもらったのは、それぞれの“人”という役目
世界にソレがあったから、俺は“私”の姿でそとにでれて、彼女は“君”の姿で外に出れた

どちらも、存在している人間を、演じたから、外を出歩けたのだ
新しい何かを、生んだわけではない

つまり

男「それは――既に彼女が“君”の姿で外に出ていたから」

男「で、あたっているな」

その世界に“俺”と“君”は同時に存在できない
だから、家から、出られない

紳士「……正解です」

男「よし」

これならば、そう
最後の問題にも、自信がつく


944 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 09:03:39.42 ID:lRtc1bnu0
女「もう一つ、確認させて」

紳士「はい」

女「この、204号室の鍵をもっていなければ入れない部屋は」

女「私達を再会させるためにつくられた」

女「だから、再会を果たした私達がここから消えれば」

女「この部屋は、消える。……あたっている?」

紳士「……正解」

男「そう、か……」

女「……残、念……」

つまりもう、俺達は再会することが、できない

男「でも、ここで答えないわけには、いかない」

女「……うん。それを学んだのが、彼の問題」

紳士のだした最後の五点の、問題

答えは、出ていた


945 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 09:08:55.73 ID:0TswFZ420
もともと会えなかったはずの二人が同じ世界で共に存在し続けられるのか?



 
948 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2011/11/01(火) 09:11:16.18 ID:TaZLjohH0
>>945
会えない二人が会えた・・・
つまり・・・わかるな?






 
950 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 09:15:07.52 ID:lRtc1bnu0
紳士「ふふ、もう、わかっているようで」

男「ああ。ドヤ顔でいってやるぜ」

女「貴方が楽しそうに私達に不正解を突きつけたお返しよ」

俺達二人は横にならんで、紳士に向かう


二人「これで――チェックメイトだッ!」


紳士「く、くくくく……!」

死神は、その本性をさらけだす。世界がぐるりと、回転した
この部屋は今、役目を果たし終えたのだった

――さあ、答えを、聞かせていただきましょう!――

この問題は、とても簡単だ……!

――ほう……!――

その答えは――

――ふ、ふはは……ふははははははは!!!!――-

――そう、そのとおり、そのとおり!! 死神をも辞さぬその答え、それでいいのです!!!――

――大ぃぃぃぃ正ッ解ッですッ!!!!!!!!!!――



 
952 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 09:20:09.48 ID:lRtc1bnu0
崩壊する世界の中で、向かい合う

男「またいつか、絶対会おう!」

女「うん……うん……!」

分かっていた
それでも、会おうと、誓いたかった

女「きっと、きっといつか……」

男「ああ、きっといつか!」

俺達は、手を伸ばし
がしりと、つかみ合う

そしてすぐに、引き離された

離れ行く中で、叫ぶ

女「ずっと……!」

女「ずっと……ーーーーー!!!」

声はもう、聞き取れなかった

男「俺もだばか……!」

そうして、視界は、閉ざされる




 
954 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/11/01(火) 09:32:41.29 ID:lRtc1bnu0
朝目が覚める

男「ん……あ」

おきるとそこは、いつもの部屋
205号室だ

男「……そうか」

全ては終わっていた
だが、俺は生きている

俺はすぐさま走って、玄関扉を、がちゃりとひねった

男「ひらかない……」

紳士「さあ、なんででしょう」

男「……そりゃ、つまりそういうことだ」

紳士「……つれなくなってしまいました」

男「だってこの答えはもう貰ってるからな」

男「えーと、なら今日は……」

男(女)「こっちで行って、いいのかな」




 

955 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/01(火) 09:39:42.98 ID:lRtc1bnu0
彼の出したオマケ
  それは、思い返すだけで分かってしまう

  なぜなら最初から、言われていたから

  >紳士「これは貴方がやめなければ、終わらない妄想の魔法」

  問題の答えはつまり

  男(女)「俺達はまだ死なない。か」

  そもそも、彼は一度でも「制限時間」をだしたことはない

;  だから俺達はただ、魔法を続けることの宣言をすれば、良かった

  男(女)「わるいことしちまったかな」

  そのおかげで、紳士はいまだあの部屋にいるままだ

  紳士「いえ。私の時間は、人の時間とは比べ物にもならない」

  紳士「たまにはここで、貴方達が絶えるのをみるのも、いいでしょう」

  男(女)「そうかい」


 
957 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/01(火) 09:46:05.62 ID:lRtc1bnu0
男(女)「なあ、いつまで生きれるんだ? 俺達は」

  紳士「……さあ」

  男(女)「ふむ」

  俺と彼女は、もう会うことは出来ない
  それでも、自分から死ぬわけには、いかなかった


  俺は保健室へと向かった

  男(女)「よっ」

  眼鏡「あ、あれ、“俺”のほう、ですか……?」

  男(女)「はは、正解」
  
  金髪「昨日はびっくりしましたわ。帰ってきたと思ったら“本来の私”の方になってるんですもの」

  男(女)「まあ、これからそっちの方が多くなるんじゃないかな」

  黒髪「交互でもいいって言ってましたよ、彼女」

        男(女)「いやいや、これは本来彼女の仕事だからな……」

        男(女)「俺は俺自身を、がんばらなきゃいけない」


 
962 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/01(火) 09:56:27.06 ID:lRtc1bnu0
彼女と直接会うことは出来ないが、
 しかしこうやって、誰かを介して、何かを介しては、伝える事は出来る

  これこそ、この魔法の真価
  今になったからできるわけじゃない 
  気づきさえすれば、最初からできたことだった 

  直接会う事が大変なだけで――彼女はいつも、近くにいる  栗毛「うう、でも、先生が来なくなるのはさびしいです」 

  男(女)「ちょくちょくはくるようにするよ」 

  ツインテ「楽しみに待っててあげますよ!」 

  男(女)「はいはい」 

  男(女)「さて……」 

  保健室の先生お仕事ノートを開く 
  すると、書き足しがあった 

  ―― 一緒にがんばろうね! 

  男(女)「……、……おう」 

  俺はそのノートに、そう書き足したのであった 

  fin



 
994 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/01(火) 10:04:26.06 ID:lRtc1bnu0
お疲れ様でしためちゃくちゃながかったです 
  たぶん最長です 

 付き合ってくださった皆様がた本当にありがとうございました 
  保守してくださったかたにも、心より感謝を 

  見返すと誤字脱字が多く修正したいなとかすげーおもいます 

  あと一応最後にちょっとだけ宣伝をさせてください 
  現在フリーでエロゲ「玉響ノ花」を作ってますので、もしよければ完成し次第、プレイなんぞしてあげてくださいまし 

 それではそれでは、失礼いたします 
  皆さんお疲れ様でした! 





 
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